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失われたドーナツの穴を求めて

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自分を見つめ直す、自分のためのエッセイです。
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#小説

その時の感情や想いも乗っけて、瞬間を未来へ連れていこう。

「ファイルカメラ」って知っていますか。 一言で言うと「昔のカメラ」。 撮れる枚数は決まっているし、液晶画面もないものだから、どんな写真が撮れたかなんて、すっぱりさっぱり分からない。 はじめてファイルカメラで撮った時は、どんなものが撮れたか気になって、ちゃんと撮れたか心配で、後ろの蓋を開けちゃいました。そしたら光が入っちゃって、変な写真のできあがり。 一言で言うと「不便なカメラ」。 でも、その変な写真も、実は僕のお気に入り。ベンチに座ってあたふたしながら、こっそり裏蓋を開け

400kmはなれた人との3分間の応援合戦。

2020年8月5日、午後7時46分。 僕の頭のうーんと上を、ISSが通過中。 ISSにも名前があって、あれは「きぼう」って言うらしい。 とっても近くに見えるけど、ホントはすごく遠いらしい。 とってもノロマに見えるけど、ホントはすごく速いらしい。 噂によるとISSでは、「宇宙飛行士」が暮らしているらしい。 中にいる宇宙飛行士さんは、いったいどんな人だろう。 小さい頃から勉強家?いつの日からか冒険家?はたまた実は宇宙人? 中にいる宇宙飛行士さんは、今、何をしているだろう。 無重力

小さい世界の大きな出来事

   そいつは突然やってきた。6ー1前のろう下にやってきた。自分の体よりも大きいほどの、ホコリをたくさん巻きつけて。  そいつの名前は「クワガタ虫」。平べったい体をしているから、おそらくヒラタクワガタだろう。体長は小指程度だが、足をわさわさ激しく動かし、自分を大きく見せようとしているようだった。  どこからともなくやってきて、ホコリまみれになりながらも、必死に体を動かす姿を見て、先生は思った。  「もしかしたら、このクワガタ虫は、何かから逃げてきたのかもしれない。」  そこ