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『行きつ戻りつ』乃南アサ 読書記録

目標とすべきライフステージというのがありますよね。

高校・大学進学、就職、結婚、妊娠出産

私が高校に入学した時も、大学に入学した時も同じ感想を抱いた。目標としている時点ではゴールと思えたその場所が、到達した途端にスタートラインに変わって、刺激のない生活の場所になってしまう。

就職した時も。
ずっと夢だった職業に就いて。だけどそこでは私は一番下っ端で、何もわからない、何もできない、情けないし悔しい。楽しいばかりじゃない。ハッピーエンドにはこのような続きがあるんだ。

私はまだ結婚してないけど、結婚って結婚式が幸せの絶頂、ピークだってよく聞く。本当にそうなのだと思う。
結婚してめでたしめでたしとはいかないよねえ

行きつ戻りつ は、主婦が主人公の短編集である。
一人一人がそれぞれの問題や葛藤を抱えているが、それがとてもリアル。
青春小説や単純な恋愛物とは違う大人の現実は、ハラハラドキドキするストーリーではないけど、じんわりと共感が生まれる秀逸な心理描写が刺さったなあ

私がこの短編集を知ったのは、共通テスト対策用問題集にこの本の短編の一つ(「越前海岸」)が使われていたから。国語の物語文って、つい問題そっちのけで面白いこの話! って夢中で読んじゃう時なかった? 私はよくあって、問題集でいいなと思った本を買って読むのが大好きです。

この本は、短編ごとに舞台となる地域が違うのが特徴。一つ一つの短編の初めに、その地域がどういう場所か、何で有名なのかなどや、地図が描かれているのが興味深い。私も行きたい! なんて思ってみたりする。そんな楽しみ方もありかもしれない。

女性心理がよく表されていることから女性におすすめだが、男性がこの物語をどう読むのかも個人的には気になるところ。女性のリアルを垣間見るつもりでぜひ読んでみてもらいたい。

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