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2024/8/11(日)の宿題:ひみつ道具は使わない

 『今日の宿題』(Rethink Books編、NUMABOOKS)に毎日取り組んでみる22日目。本日は大橋裕之さんからの出題で、「ひみつ道具」について書く。

ロボットの友人が不思議なポッケから一番望む道具を出してくれたら

 タイムマシンに憧れている。過去に戻りたいのではなく未来を見るために使いたい。
 すると、ロボットの友人が不思議なポッケからタイムマシンを出してくれた。実際に未来に降り立っちゃだめだよ、覗くだけだよ、未来を変えようとしたらだめだよって口酸っぱく言われる。それを話半分に聞きながら、私はもうわくわくしてタイムマシンに乗り込んでいる。時空が揺らいで、未来にとんでいく。

 1年後はどうなってる? 私の生活は地味に変わっているだろうか。少しでも良い方向に変わっていればよいのだが。

 じゃあ10年後は? 今よりひどい災害が起こっていなければいい。これ以上戦争や虐殺が続かない未来だったらいい。どうか地球のどこも平和な10年であってほしい。

 50年後。次の元号はなんだろう? 想像がつかない。「令和」も発表された時はなんだか変な感じがしたものだが、今はすっかり馴染んでいるから、次の元号も心配しないで大丈夫だよ。

 100年後。テクノロジーはどれだけ進化しているのだろうか。車は空、飛んじゃってますか? 食事は完全栄養食になって、一人につき一AIがついていたりするだろうか。SFで描かれる世界みたいに。
 気候は今よりへんてこになっているだろうか。夏は40℃越え、冬は氷点下、梅雨が半年続く、みたいなめちゃくちゃなことになってやしないかな。

 1000年後。文化はどのように変わっているのだろうか。今の世の中の全ては化石になって、2024年にはみんなわざわざ小さな板を操作して日記を書き残していました、とか学校で習うのだろうか。というかもはや学校すらないのかもしれない。
 環境がめちゃくちゃになって、どこかの町は沈んだり、逆にどこかの海は干上がったりして、地図が変わっていたりするかも。

 そのもっと先。人類はどのような経緯で滅ぶのか。人類が滅んだ後の地球はどんな生物が支配するのだろうか。氷河期が来て、間氷期が来て、また氷河期、間氷期。そのもっともっと先、地球はどのように終わるのだろうか。

 私はタイムマシンに乗って、夢中で未来を覗いている。昼も夜も覗いている。ご飯は食べない。眠らない。病的なまでに、あらゆる未来を目に焼き付けようとしている。逃れられない。いくら覗いても何かを変えられるわけじゃない。事件も事故も災害も、そのほかの大変なことも、何も止められない。ただ見ているだけだ。私は疲弊する。それでもご飯も食べない、眠らない。ただ血走った目で未来を見ている。その私が、私に向かって振り向く。「タイムマシンに乗るのはやめときな」って言う。

 だから結局、タイムマシンは一度も使わないまま、ロボットの友人に返してしまった。




 数年前に、大橋裕之さん原作の「音楽」が映画化されたものを友人3人と新宿で見た。終演後「なんかすごいもんを観た」と言いながら言葉少なに劇場を出て、らんぶるに入ったという良い記憶がある。主人公の声優が元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎で、彼の声が好きな私にとってはたまらなかった。何もかも忘れてもう一度観たい映画かもしれない。おすすめです。


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