マガジンのカバー画像

karakurist目録

6
これからからくりを作りたいという人に向けてまとめているものです。 「設計を始めてみたい」 「からくり機構の知見を深めたい」 に答えた内容です。 中学生以上を対象として、専門用語は…
運営しているクリエイター

記事一覧

karakurist目録#6_カムを作る

機構特化型からくりの醍醐味、運動の変換についてです。 ここでは運動の方向を変換するカムについて記載します。 カムの構成カムは回転する原節とそれに伴って動く従節から成り立ちます。 原節は一様な輪郭をした円盤ではなく、回転すると接触している従節が輪郭をたどるように動きます。 以下のGIFは基本となる板カムです。 カムの種類 代表的なカムは以下の通りです。 ・板カム ・確動カム [紹介リンク] ・直進カム ※立体カムについては製作難易度が高いのでここでは紹介しません(๑˃

karakurist目録#5_てこクランク機構を作る

機構特化型からくりの醍醐味、運動の変換についてです。 ここでは基本となる回転運動から往復運動へ変換するてこクランク機構について記載します。 往復運動の基本はてこクランク機構 これまでにも何度か紹介したてこクランク機構は、往復運動を簡単に作ることができます。4つ(もしくは3つ)のリンク(棒状の部品、節とも呼ばれます)を繋ぐことで回転運動を往復運動に変換します。からくりにおいて、てこクランク機構は様々なメリットがあり、 ・部品点数が少ない ・確動性がある ・早戻りをさせたりも

karakurist目録#4_からくり設計のきほん

設計についてです。 設計の方法はPCでも紙に書くことでもできます。CADソフトを使って設計するとより細部までの設計がしやすいですが、複雑すぎなければ必須にはならないと思います。 ので、ここではどのように設計しても基本になりそうな部分を書いていきます。 大き歯車と小さい歯車 大きい歯車と小さい歯車をかみ合わせて回すとどうなるかです。 大きい歯車→小さい歯車に回転を伝えると、小歯車は大き歯車よりも速く回ります。逆に、小さい歯車→大きい歯車に回転を伝えると大きい歯車は遅く回りま

karakurist目録#3_からくりならではを考えてみる

からくりの面白いところには、設計に歯車やリンクなどといった工業的な機構以外にもユニークなものを使うという点があります。 例えば、からくりと近しいものに「ピタゴラスイッチ」があります。 ピタゴラスイッチはからくりと違い再帰性(連続的な動作)は低いですが、ロボットなどには見られない面白い動きがあります。 ボールを転がすボールを転がすといえば、マーブルマシンというボールの動きを楽しむアート作品もあります。ボールは重力によって高いところから降りてきます。使い方次第では、次のこと

karakurist目録#2_設計を始める前に

実のところ、からくりに興味があったとしても自分も作りたいと思う人は1割にも満たないと思います。 更に、自分も作りたいと思う人でも具体的な作品をイメージしている人は少ないでしょう。 はじめに「何を作るか」です。 何を作るか。どういうからくりを作りたいのか。ここが一番大事です。 「この機構はかっこいいからこの機構を使って何かしたい!」という考え方はあまりお勧めしません。プログラミングを例にすると、機構とは条件式のようなものです。つまり機構はあくまでもプロセスであり、最終的なア

karakurist目録#1_材料と加工法を決める

からくり作りたい!って人へ書きました。 今回は「何で作るか」です。 材料によって完成形のイメージは大きく変化しますし、作り方は精度に影響するので作る物の大きさを考慮する必要があります。 まあ、基本的には得意なもので作るのが一番でしょう。 もし過去に工作で何かを作ったことがあるなら、その方式で作るのがいいかもしれません。だいたい以下のような感じです。 木材 = 暖かみ 単板と合板があり、単板は種類が多く材料のみで色を使うことができます。合板は種類が限られますが、単板より安