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2021シーズンレビュー

鹿島アントラーズの2021シーズンが終了した。ということで本記事ではさまざまな視点から今シーズンの鹿島を振り返っていく。

■データ

あれこれ言う前に、まずは数字の部分を参考に振り返る。比較対象は直近5年間。

【2016シーズン】
リーグ優勝 ルヴァン予選敗退 天皇杯優勝
54戦 30勝 勝率55.6% 6分 18敗 85得点 平均1.6 57失点 平均1.1  26.3歳

【2017シーズン】
リーグ2位 ルヴァンベスト8 天皇杯ベスト8
49戦 33勝 勝率67.3% 4分 12敗 90得点 平均1.8 48失点 平均1.0 26.9歳       

【2018シーズン】
リーグ3位 ルヴァンベスト4 天皇杯ベスト4
60戦 29勝 勝率48.3% 15分 16敗 100得点 平均1.7 71失点 平均1.2 26.8歳

【2019シーズン】
リーグ3位 ルヴァンベスト4 天皇杯準優勝
55戦 29勝 勝率52.7% 14分 12敗 92得点 平均1.7 56失点 平均1.0  26.4歳

【2020シーズン】
リーグ5位 ルヴァン予選敗退 
38戦 19勝 勝率50.0% 5分 14敗 60得点 平均1.6 51失点 平均1.3  26.0歳

【2021シーズン】
リーグ ルヴァンベスト8 天皇杯ベスト8
52戦 29勝 勝率55.8% 8分 14敗 94得点 平均1.8 50失点 平均1.0   25.6歳

ざっと直近の成績と比較してみると、他のクラブによっては「平均年齢が低い中ならまあまあ」との見方もある。しかし、それは鹿島では一切言い訳にならない。タイトルを獲る義務のあるクラブである鹿島にとっては最悪のシーズンだった。

■新外国人選手の合流遅れ

2021シーズンの始動。チームは久しぶりに年末年始にじっくり休暇を取ってから合流。しかし、新加入の大目玉であるピトゥカとカイキの合流が遅れ、ザーゴ鹿島は新しいエッセンスを加えることが叶わなかった。どのチームも同じ条件ではあるが、彼らの合流後の活躍ぶりやプレースタイルを考えると、彼らがザーゴと満足に戦えなかったことは大きな誤算となってしまった。僕はこれがザーゴ解任に大きく影響したと考える。また、それだけ高品質な助っ人を獲ってきたという裏付けでもある。

■昨年からの上積みと監督交代

そんなこんなでシーズンは開幕。ショッキングな開幕戦と共に鹿島のシーズンスタートは昨年同様よくなかった。相馬さんに交代するまで、4勝2分4敗と、決してタイトルを獲るチームの戦いではなかった。おそらくこの時点で強化部は4チーム降格を避けることを一番に考えていた。仮に結果が良くなくても少しでも昨季以上の積み重ねが見せればよかったのだが、最後まで昨季の強さを戻すことはなかった。

>解任のタイミング
クラブが下した解任のタイミングについて。まず今年は降格チームが増えるので、判断を誤れば降格まっしぐらになる。これだけはクラブが絶対に避けたいところだろう。そのため、鹿島に限らず変えるなら早く!がセオリーなのでこのタイミングは仕方ない感はある。一方で外国籍選手合流を待っての判断も選択肢として当然あったはず。特に鹿島は概ねザーゴのリクエスト通りの選手を揃えたと考えられる。ザーゴサッカーのラストピースとも言えるかも。しかし、今のチーム状態を考えれば規格外のスーパーストライカーやセンターバックでない限り、2選手に過度な期待を寄せるのはリスキーでもある。そのバランスを考えてこの決断に至ったのだと思うので同意できる部分はある。

■相馬体制

そして相馬体制に変わった鹿島はどうなったかという話へ。新たに荒木をトップ下起用し、上田とのホットラインをつくった。また、結果では10戦負けなしと一気にV字回復。なんとか応急処置はできたのだ。しかし、内容は相馬エッセンス+大岩鹿島であったのは否めなく、タイムリープした感覚だった。そして、良くも悪くも昨年のザーゴサッカーのベースは消え、クラブがタイトル獲得に全振りしてきたようにうかがえるものだった。それであれば、真っ正面からぶつかって是が非でもタイトルを獲りたいのだが、そう簡単に上手くはいかない。川崎に3敗、名古屋に2敗と、リーグはACL権が現実的目標になり、カップ戦タイトルも程遠かった。

※相馬体制のサッカーについては後ほどロニーさんタケゴラさんと研究発表します。

■クラブの決断への評価

次にクラブ全体の話へ。まず、ザーゴ解任について。結果的に、解任するのであればあのタイミングがギリギリだったと思う。そのため、降格を免れる意味ではいい判断だった。しかし、鹿島は残留が目標でもなく、ただ漠然と上を目指しているクラブではない。鹿島は優勝目指しながらも新たな改革をしている最中のクラブだ。そのため、ザーゴを解任することは昨年一年分を丸ごとドブに捨てると見られても仕方がない。事実、サッカーの面で残ったものはかなり少ない。ただ、これもクラブを強くする財産であると信じたい。甘い考えかもしれないが、鹿島が時代の流れと戦うのはそう簡単ではないだろうし、川崎もマリノスも時間はかかっている。

今回の件をトライ&エラーと捉えるのであれば、次はそれを評価するタイミング。今シーズンをどう評価するのか注目していきたい。

■主力選手レビュー

・荒木遼太郎
今シーズン、一番輝いた選手だろう。10代で二桁得点の偉業を成し遂げ、チームの中心となった。これだけ期待されて活躍できる彼のメンタリティには脱帽だ。一方でチームとしてプレッシングの部分を整理できていればもっとできることもあっただろうし、荒木自身の伸び代もまだまだある。もっと突き抜けた存在になるよう期待している。

・土居聖真
今年も頼れる存在だったのは間違いない。ここまでくれば彼の才能には疑いはないはず。しかし、前線の他のメンバーと比べると強度のあるプレーや連続性で課題があり、逆に土居聖真がそれを身につければ鹿島はタイトルを獲れると思っている。まだまだ高みを目指して欲しい。

・三竿健斗
シーズン序盤は確実にスランプだった。しかし、ピトゥカと荒木という新たな柱が出てくると自分のプレーに専念ができ、復調した。やはり鹿島はこの男次第で調子が決まる。後半戦のプレーが年間通じて見れれば、代表も見えてくるだろうし、地道に頑張ってほしい。優磨に負けるな。

・沖悠哉
昨年同様に出場時間は残したものの、終盤は安定感がなかった。指揮官が代わり、沖ではなくてもいいタスクが求められらことも影響しているのだろう。課題はゲームコントロールの部分とハイボールか。

・町田浩樹
今季、覚醒した選手。まさにチームの大黒柱になった。特に五輪活動明けのパフォーマンスは高く、出場機会が少なかったなりに、代表でいいものを吸収し鹿島に還元してくれた。

・犬飼智也
相変わらず鹿島の主力であるだけのパフォーマンスは見せただろう。しかし、成長著しい町田に既に安定感という意味では追い越されているのが僕の見方。また覚醒間近の関川にも追いつかれているので、来シーズンもCB争いは激しくなりそう。

・常本 佳吾
ブレイクした選手の1人。彼の守備力がなければ相馬アントラーズは成り立たなかったし、J1でも十分活躍できることを証明した。来季以降、攻撃面やクロス精度が改善されれば、クラブのレジェンドになってもおかしくない。

・上田綺世
今年も得点量産してくれたエース。A代表にも招集され、順調にレベルアップしてる。もしかしたら来年いないかもしれないが、先輩である鈴木優磨とW杯のピッチで見れることを楽しみにこれからも頑張ってほしい。

・ディエゴ ピトゥカ
夏に来た救世主。彼のテクニカルな部分以上に情熱やこだわりに間違いなくチームは影響を受けた。国籍問わず、チームのリーダーとして来年も引っ張ってほしい。

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