【仮説】ザーゴと鹿島強化部が抱えるジレンマ
大苦戦している鹿島が、なぜ上手くいっていないのか、どうしてこのような状況になってしまったのかを僕が持つ仮説とともにまとめていく。
■予想外だった2選手
鹿島が苦戦している原因は様々なものがある。その中で昨シーズンからずっと引っ掛かり続けていたことが1つある。それはエヴェラウドと上田の存在だ。一言で言うなれば、彼らの影響力がザーゴ、強化部には予想外に強すぎたことだ。
■2020シーズン 〜開幕前〜
時系列に沿いながら、ザーゴと彼とチームを編成した強化部の視点で整理してみよう。
強化部の思惑(仮説)
・目指す方向性「主導権を握れるサッカー」
※主導権を握る=ポゼッション&攻撃的な守備
・上記テーマを実現するにあたってブラジル人且つ欧州サッカーを知っている監督がザーゴだった
・序盤は苦戦してもおかしくない
・夏から秋頃に調子をあげて終盤にタイトル争いできればいいよね
・エヴェラウドっていう良さげなFW獲得しておいたよ
(ヘディングが極端に強いとは把握していない)
・他にも実力者を頑張って揃えたからな
・アカデミー出身の上田に期待してますよ
(去年4得点だからいきなり覚醒するとは限らないだろうけど)
ザーゴの思惑(仮説)
・RBブラガンチーノ(1部昇格の実績)はクラウジーニョというスーパーな選手中心のチームでした
・鹿島にそのような選手がいないということを把握しています
(トップスコアラーのセルジーニョは退団濃厚)
・鹿島は優勝を義務付けられているクラブ(他クラブ以上に)らしい
・現在は主導権を握るサッカーを目指したいんですね(だから呼ばれた)
・強化部は補強も力入れて進めてくれた
・エヴェラウドっていう有望FW獲ってくれたのね
・クラブ期待の上田も育てねば
■2020シーズン 〜開幕後連敗時〜
強化部の思惑(仮説)
・やっぱり手こずっているけど最下位はやばい
・ザーゴよ、理想ばかりではなく選手の特徴とかも考えておくれな
・ファイナルサード攻略を選手に委ねるなら、もう少し自由にやらせてあげたら?
・ポゼッションに偏りすぎているし、ロングボール当ててもOKとかさ
ザーゴの思惑(仮説)
・強化部の言う通り、少し柔軟にやってみます
・あら不思議。勝ち始めた
・ひとまず遠藤とか土居は頼りになりそう
・エヴェラウド、ヘディング強くね?
・上田もいいもの持っているね
■2020シーズン〜中盤以降〜
強化部の思惑(仮説)
・予想通り順位が上がってきた
・主導権を握れているのか微妙だけど結果はよさげ
・この調子を落とすことなくタイトル争いよろしくな
・エヴェラウドがここまで無双するのは正直予想外
ザーゴの思惑(仮説)
・やっと結果がでてきてひと安心
・エヴェラウドと上田のコンビ使えば楽に勝てるかも
・勝つのはいいけど理想とは違うな〜
・主導権を握れているのかな?
・いや、ACL圏内目指せそうだし、ひとまず今年はこのまま戦うしかない
■2021シーズン〜開幕前〜
強化部の思惑(仮説)
・優勝とACLは逃したけど今年こそは頼むな
・要望通りの選手も獲ってきたし
・30周年に優勝じゃ
ザーゴの思惑(仮説)
・今年こそ優勝だ
・去年よりも準備できるし、メンバーも大きく変わらないからいけるぞ
・ただしエヴェラウド&上田戦法だけでは難しいだろうな
・2人に頼るのは簡単だけどそれは理想じゃないし頭打ちがあるはず
・このチームはもっとポテンシャルがある
・新外国人も加われば昨年以上の結果も夢じゃない
■現在
強化部の思惑(仮説)
・おいおい、優勝候補どころじゃなくなってきたな
・ザーゴも色々試したいのはわかるけど、このままじゃやばいて
・エヴェラウド&上田戦法はダメなの?
・仮にここで解任したらまたやり直しだし、代わり見つからなそう
・またOB路線に頼っても、長くは続かなそうだし
ザーゴの思惑(仮説)
・もう少し勝ち点を重ねながら試行錯誤するはずだったのに
・優勝したいし、優勝求められるのはわかってるよ〜
・でも、このままエヴェラウド&上田に頼ったら昨年後半と変わらない
・主導権握れるサッカーから離れてしまう
・3枚替えも効かなくなってきた
■まとめ
かなり大雑把な見立てとはなるが、僕自身が考える両者の思惑は以上。今回エヴェラウドと上田を引き合いに出したが、勘違いしてほしくないのは彼らを獲得し起用したのがミスだと批判したいわけではないこと。むしろ上手く作用していたものが、いつしか苦しい状況を招くひとつの要因になった「ジレンマ」がある意味リアルで面白さがあると思っている。
おそらくクラブでは今、目先の結果とそれに至る過程(どのように勝つのか)、中長期的計画(志向するスタイル)が議論されている状況かと思う。ここからどう立て直すか、注目してみてみよう。
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