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スンテの起用について考えてみた。

広島戦、久しぶりに出場したクォン・スンテ。今回は彼の良さや起用することによって何をチームにもたらすかを考えてみた。

■ゲームコントロール

GKは試合の中でボールを奪えるポジションでもないし、極端に攻撃参加しない限り時間が限定される。その中、彼の特筆すべきプレーとしてゴールキックによるゲームコントロールが挙げられる。個人的に沖を起用するときと一番大きな違いが出る部分だと思っているプレーだ。例えば、チームが劣勢でバタついてるとき、スンテは極端に時間をかける。この時間によって、フィールドの選手には、ポジション修正の時間、フィジカル的な回復時間、頭の整理、味方とのコミュニケーションなどが生まれる。おそらく、沖もこの重要性については理解しているとは思う。しかし、観客がいてアドレナリン出まくりの中で能動的にコントロールするのは相当な経験値と冷静さがいる。だからこそ、スンテのゲームコントロールによって、味方はあらゆることを整理できるのだ。また、相手目線で言えばせっかく自分らのペースで息つく暇を与えたくない時にのんびり準備されるとフラストレーションもたまるし、スタジアムの雰囲気も落ち着いてしまう。地味さはあるが大きなプレーということだ。

■感情表現

スンテをみていると、今チームがどのような状況にあるべきかすぐにわかる。例えば、不甲斐ないプレーが多ければ怒鳴りつける。攻め込まれていても、自分らが適切な対応をしていれば毅然とした態度で賞賛する。また、自らがピンチを招くプレーをしても、イラついたりしぼんだりせず、苦笑いで済ませる。それら感情表現が大きくてわかりやすい且つポジティブに作用するものが多い。

■ハイボールの強さ

続いてはハイボール。僕は彼が特別ジャンプ力があるGKだとは思わない。だけど、ハイボールに滅法強い。おそらく、これには大きくわけて2つの要因があると思う。一つ目は単純な体の強さ。ハイボールを処理する時、どうしてもGKは不安定な体勢になる。ジャンプしながらも敵味方関係なくぶつかってきて、おまけに着地場所も狭い。しかし、スンテはその状況下でもぶれないフィジカルコンタクトの強さを持っている。飛ばせない行為や直接当たってくる敵が多いなかでこのフィジカルの強さは重要だ。二つ目は予測の良さ。スンテは滅多に目測を誤ることがない。これは経験値から来るかもしれないが、スンテは予測がいいし、ある意味で目が良い。おそらく、本人はオートマチックにやっていることと考えられるが、ボールの軌道、敵、味方の動き、自分の可動域などを一瞬で計算してハイボールの処理をしている。年齢は衰えても目は全く衰えていない。

■試合の締まり

以上を踏まえて、スンテが試合に出ると基本的に試合が締まる。彼自身の存在がチームをピリつかせていることもあるだろうし、プレーでも緩みを感じさせない。また、個人のプレーを切り取っても、彼は無理をしない。自分ができる範囲のプレーを把握しているからか、できないことを無理矢理しようとしないし、逆にできることをハッキリ大きく忠実にこなしてくれる。だから試合が締まるのだろう。

てなわけで広島戦を終えての簡単な感想まとめでした。

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