見出し画像

【2020シーズン振り返り】8月

2020シーズン振り返り企画。今回は8月編。

7月編はこちら↓

8月はルヴァンカップとリーグ並行のため、1ヶ月で9試合という超過密スケジュール。コンディション面を考えると不安にはなるが、成熟などを目指す鹿島にとって、このスケジュールはポジティブだったかもしれない。

【8/1】明治安田生命J1リーグ 第8節 VS 大分 4-1 ○ 

試合前の順位で最下位であった鹿島にとって連敗中の大分は勝たなければいけない相手であった。立ち上がりから大分は積極的にプレスをかけて鹿島に圧力をかけた。結果的にそのプレスに食われ、またも先制点を許してしまう。ハイプレスを仕掛けてくる相手に対して、お付き合いをしていくのか、異なる解決策で回避していくのかを問われているかのような立ち上がりでもあった。しかし、今節はここから鹿島のエースが暴れ始める。相手のミスから追いつくと、鹿島のカウンター&エヴェラウド追撃でリードする。最終的にはこの試合でエヴェラウドはハットトリック。大分ディフェンスの手こずり方を見ても、彼は稀に見る規格外の助っ人だ。後半開始早々に2点リードし、あとは時計の針を進めながらもベンチメンバーを積極的に起用することが予想されたが、ここでザーゴの色がでた。ザーゴは早々と交代させずにかなり引っ張った上でベテランを中心に投入した。この采配を見るにザーゴはオープンな展開やいわゆるカオスに抵抗があり、確実にクロージングしたい監督なのかもしれない。

【8/5】JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第2節 VS 川崎 2-3 × 

大分戦から4日後。ルヴァンカップの変則レギュレーションにより、この試合で鹿島は勝たなければいけない状況にあった。そのため、スタメンを入れ替えた川崎とは逆に鹿島は大分戦と同じメンバーを出した。しかし、結果は3点奪われての反撃で2-3。川崎相手にビルドアップの柔軟性や主体的なサッカーの片鱗は見せることはできたが、質的な部分も含め完敗であった。終盤の怒涛の攻めでチャンスを作るも決めきれないあたりに、鹿島の現在地が映し出されたようだった。

【8/8】明治安田生命J1リーグ 第9節 VS 鳥栖 2-0 ○

ついに鹿島の若武者、沖悠哉がデビューする。ザーゴも前節までの疲労や負の雰囲気を一変させたかったのだろう。期待を託された沖は、このチャンスをものにした。彼のキャリアが一気に進み始めたのだ。持ち前のキック精度の高さでビルドアップをヘルプしては、陣地回復のロングキックでも大きく貢献した。この貢献度が、現体制の後方ビルドアップや押し込んでからのゲーゲンプレスにカチッと作用したことも大きかった。ザーゴからの期待や評価はコメントからも見て取れる。

--沖 悠哉選手がプロデビューを飾りました。彼を起用した理由と、評価を教えてください。
就任当初から沖と山田(大樹)をずっと見てきて、彼らが成長している実感はありましたし、これは僕だけではなくて、われわれスタッフでもそういう話をしている中で、そういう話がありました。練習試合でも非常に良い成果を、あるいはパフォーマンスを示していたというところがありました。どこかのタイミングで彼を起用したいなという思いが芽生えたし、そういう気持ちを芽生えさせたのは本人自身なので。ボールを持ったときに、特に足元のときに慌てずに状況を見るというところ、あとはキックのミートがうまいので、いろいろな要望を出したところで「自然体でやってほしい」ということを言ったら、今日非常に良いパフォーマンスを示したと思いますし、いくつかのシュートを打たれましたけれど、非常に良い対応ができていたのかなと思います。アントラーズというクラブのためにも若い選手を育てていかなければいけないし、今後もこのような日々の姿勢というものを変わらずやり続けることを願っています。

試合内容的にはいまいち主導権を握りきれない前半から、三竿・荒木の投入で後半は一気に流れを引き寄せた。勢いそのままに、染野、荒木が得点を演出し勝利した。

【8/12】JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第3節 VS 清水 3-2 ⚪️

【8/16】明治安田生命J1リーグ 第10節 VS 神戸 2-2 △

敗退が決定したルヴァンカップでは思い切ってスタメンを大きく入れ替えた。また、GKには前節デビューの沖に続いて山田が起用された。前節のコメントを見ても、ザーゴからある程度評価をもらっていたようだ。結果的にこの試合では今シーズン加入したルーキーズが大活躍して3-2で勝利した。勢いそのままに次の神戸戦でも躍動し、ザーゴも彼らには手応えを感じているようであった。

【清水戦後】
--若手の活躍や復帰した選手もおり、リーグ戦につながりそうだったが、監督としてはどう捉えていますか?
若手というのは非常に重要であって、彼らを少しずつ、水曜・土曜で中2日や、中3日で試合があるのでチーム全体が必要であるし、可能な限り若い選手に試合経験を積ませて、練習でやっていることを試合で表現してもらうということを考えています。今後も、この試合だけではなく、まだリーグ戦が長期でありますので、それをただ11人や18人で乗り越えようと思っても不可能です。何かがあったとき、あるいは状態が良いときにその選手にチャンスを与えるということで、若手にしっかりチャンスを与えていくことは非常に重要です。彼らの成長という部分で、試合勘や試合体力を試合の中で身につけていかないといけないと思いますし、少しずつ成長させられればと思います。

【神戸戦後】
非常に難しい試合だったのではないかと思います。経験豊富な選手がそろっているチームに対してゲームをやらなければいけませんでした。そういう意味で戦略を立てて、みんなで実行することができたと思いますし、チャンスは作りましたが、残念ながらGKだったり、ポストだったりバーだったり、ちょっと慌ててしまったりしたところはありましたけど、そういう中で途中から入った選手たちが、特に若手が、活性化を求める中でしっかりできたことはチームとして大きな収穫でもあり、チームとしても大会を通じて成長してきている感触があります。GKだったり、神戸の選手にシュートブロックされて決めることはできませんでしたが、チームとしてやろうとしたもの、戦略を立てたものをみんなで実行したところで、グループとしての勝利だったのではないかと思います。


【8/19】明治安田生命J1リーグ 第11節 VS 横浜FC 0-1 ×

今シーズンの鹿島は自ら試合展開を難しくしてしまうことが多々あった。横浜FC戦は典型的とも言える試合であった。序盤からある程度やりたいことができていたのもかかわらず、勿体無い形で失点するある意味いつもの負け試合にも見えた。

【8/20】内田篤人 現役引退発表

内田篤人現役引退の急な発表。惜しまれながらも、自身のフィジカル・メンタルと他の選手とのギャップが決め手であったようだが、異なる見方をすれば鹿島にとってはポジティブでもあると思う。これだけ実績ある選手をある意味追いやるだけの空気や練習の質が確実に浸透してきており、それを実行できない選手居づらくなってしまう。この代謝は鹿島ならではであり、今後も続けるべき文化である。

【8/21】佐々木 翔悟選手がいわてグルージャ盛岡に育成型期限付き移籍

今季出場機会に恵まれていなかった佐々木をレンタル。左利き、長身SB、アカデミー出身者を考えると希少性高い選手。クラブの期待があるからこそのこのタイミングでの送り出しである。

【8/23】明治安田生命J1リーグ 第12節 VS G大阪 1-1 △

内田の現役ラスト試合。負けかけた試合を彼のキックから同点にするあたり、最後までスペシャルであった。内容はザーゴから見れば毎度毎度のチャンスを決めていれば勝てたパターン。試合後の内田へのコメントで興味深い内容があった。

--前半のアクシデントで内田 篤人選手が早い時間でプレーした。あらためて今日のプレーについてはいかがですか?
ほぼウチのチャンスメークは彼から生まれたと思います。SBとしてどうプレーするのかというのをよく知っている。チームとしてのオーガニゼーションを崩して無闇に攻撃することはできるのですが、決まり事を尊重しながら臨機応変にやるところを見せてくれたと思うし、若手が学ぶべき部分を多く見せてくれたと思います。そういう選手が去ることは、日本のサッカーだけでなく、サッカー自体にとっても残念です。ただ、今日彼が示したことがずっと彼がやってきたことなので、僕自身は残念です。

このコメントを読む限り、ザーゴが選手に求めるものの1つに、「大枠の決まり事は守りながらも、それに縛られすぎずに自分で判断してプレーしてね」というメッセージがあるように感じた。

【8/25】広瀬負傷

■受傷名: 右大腿二頭筋損傷

■治療期間: 約2か月

ガンバ戦で広瀬が負傷。内田が引退してしまったので右SBはここから小泉に完全シフトされる。

 【8/26】明治安田生命J1リーグ 第26節 VS 東京 2-1 ⚪️

個人的には暫定ながらシーズンベストゲームだった。先制点を献上しての逆転という試合内容であったものの、失点の仕方もザーゴのやりたいサッカーをチャレンジしようとしてのエラーで、いい経験にはなったはずだ。得点を見ても、2得点とも狙っていた形であり、内田引退の寂しさを吹き飛ばすゲームであった。

【8/29】明治安田生命J1リーグ 第13節 VS 柏 3-2 ⚪️

ようやく鹿島に勢いがでてきた。正直、まだまだ課題は山積みで成熟感はない。その中でもチームを背負う土居や三竿が中心となって試合をひっくり返せるようになったことは自信にもなるし、個人的にこの時期はその練度でいいと思っている。

【参考】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?