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【TRPG】「スタンダードなTRPG」は存在しうるのか
スタンダードなTRPGは存在しうるのか。
昔、あるTRPGデザイナーが「若い子たちのあいだでは、もっとスタンダードなシステムが普及してほしい」と言っていました。その方は自分が作るTRPGは「スタンダードではない」という自覚があり、「もっとスタンダードなものを」という意味をこめて前述のような言葉を発していました。
では、「スタンダードなTRPGとは何か」あるいは「スタンダードなTRPGは存在しうるのか」。
この点について今日は考えたいと思います。
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まず、スタンダードなTRPGの定義ですが、これができれば話が終わるくらい、難しい問題だと思います。
過去に(有)F.E.A.R.が「SRS(スタンダードRPGシステム)」というものを作りました。「アルシャード」「メタリックガーディアンRPG」「拳禅無双」などがSRSに則って作られています。
ではこれが本当に「スタンダード」……「TRPGとして標準的なシステム」かというと、おそらくちがいます。
「スタンダードなTRPG」の定義というのは、人によって異なると考えた方がよいかもしれません。
私が考える「スタンダードTRPG」というのは、
・ルールの説明が簡単で(≒ルールが簡単)、
・キャラクター作成に時間がかからず(サンプルキャラふくむ)、
・少人数から大人数……具体的にはプレイヤー2人から6人ぐらいまでで遊べて、
・なおかつGMの負担が少ない(セッション運営、シナリオ作りが容易)システム。
です。
要は「GMにとってもプレイヤーにとっても負担が少なく、TRPGそのものの面白さを楽しめるシステム」だと言えます。
1990年代にこれに当てはまったのが、「ソード・ワールド完全版」で、
・2D6を振ればいい。
・ダイスを振ればキャラができる。
・少人数でも大人数でも遊べる。
・GMの負担は少ない(戦闘その他でダイスを振らなくていい)。
と、前述の定義にすべて当てはまりました。
2000年代になると、「ダブルクロス The 2nd Edition」が台頭してきます。これは
・とにかくダイスをたくさん振ればいい。
・キャラ作成は難しいがサンプルキャラがある。
・少人数でも大人数でも遊べる。
・GMの負担は少ない(世界設定が現代のため、説明することが少ない)。
と、「ソード・ワールド完全」ほどではありませんが、おおむね当てはまります。
2010年代になると、「クトゥルフ神話TRPG」「ダブルクロス The 3rd Edition」が現れます。
「クトゥルフ」に焦点を当てると
・ダイスを振るだけで行動の成否がすぐにわかる。
・キャラクター作成自体は難しくない。
・少人数でも大人数でも遊べる。
・GM(KP)の負担はやや重い(判定でGMが難易度をコントロールしにくいため、失敗したときのフォローが大変)。
と、こちらもほぼ当てはまります。
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ここまで、「スタンダードなTRPGはある」と思って書いてきましたが、年代によって「スタンダードなTRPG」というものがちがうことがわかります。
つまり、
「普遍的なスタンダードTRPGは存在しない」
のかもしれません。
スタンダードは、デザイナーの鈴吹先生がよく言っていた「ビッグゲーム」「スモールゲーム」「タイニーゲーム」などの区分に取ってかわられたのではないかと思います。
「ビッグゲーム」とは、平たく言うと、「プレイヤーキャラクターが何にでもなれるゲーム」のことです。
「トーキョーN◎VA」というシステムでは、プレイヤーは警察官や殺し屋、探偵、ハッカー、ヤクザ、アイドルなどになって、セッションを進めていきます。つまり、「トーキョーN◎VAという街で暮らしているキャラなら何でもできる。ゆえにビッグゲームと呼ぶ」ということです。
逆に「スモールゲーム」は、小さなゲームという意味ではなく、「プレイヤーキャラクターの立場がある程度決まっているゲーム」のことです。
探索者、冒険者、オーヴァード、国王、騎士など、キャラクターの立場がシステム上、あるいは世界設定上決められているものを「スモールゲーム」と呼びます。
この下に「タイニーゲーム」というものがあるらしく、これは「キャラクターの立場だけではなく、そのゲームでできる遊び方まで決まっているシステム」のことを指します。いわゆる「ニッチなジャンル」のシステムがこれに該当するかもしれません。
「フタリソウサ」「銀剣のステラナイツ」あたりが該当します。
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「若い子にはスタンダードなTRPGが広まってほしい」とおっしゃっていたゲームデザイナーの話はしましたが、今はもうTRPGにスタンダードという概念はなく「ビッグゲーム」「スモールゲーム」「タイニーゲーム」の区分しかないのかもしれません。
そして個人的には、「タイニーゲーム」ではなく、「ビッグゲーム」「スモールゲーム」がもっと発売されればいいなと思っています。
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