【メモ】「K-1ダイナマイト」巻ごとの読書メモ

自分用に書き留めていたメモです。自分用にもかかわらず、後々記憶が飛んでから見返すことがあったときのため凡例を書いておくあたりが偉いな、わたし。でも、カッコの用例あんまり本文中で機能してないぞ……。

(2022.10月下旬ごろに追記) 8巻だけ書いてなかったので書き足しました。 ーーなお、この記事のオリジナルがnoteに公開した記事のなかで1番古いため当時の作文意図の記憶がほとんどなく、1-7巻まで書き上げてあったぶんの内容と違和感があるかもしれません。

当時、たぶん三段論法がMyブームでした。

参考 - 各単行本収録タイトルを一覧できます

○ 凡例

記事構成は、

A 各話の作品番号(※1)およびタイトル
B 各話の内容の要約とも感想ともつかない短文メモ
C 巻全体の内容の要約とも感想ともつかないまとめ
D 読書メモ(※2)

の順に記述しています。

※1
作品番号は番外編を除外して若いものから順にふっています。
※2
読書メモはわたしが作品内情報からどういう文脈を読み取ってるかを書き留めています。情報、考察、雑感入り混じった混沌です。第三者からみても「何なんだ、この人?」みたいな面倒くさいことをごちゃごちゃ言ってるだけなので鵜呑みにしてはいけません。出まかせみたいなものです。

本文中のカッコの用例

  • 「」…… 引用。台詞、単語など作中からもってきてます。

  • 〔〕…… 典拠。例)3巻第11話からなら〔3巻(11)〕と記載。

  • 『』…… 個人的に強調しておきたい言葉。

  •  ”” …… 個人的に強調しておきたい文章。




● 巻ごとのまとめ‐ 1巻

【1巻】
1 世界最強を目指す奴
‐ 舞人、名門校に転入して空手デビュー。フグ先生に見つかる。
2 K計画――選ばれし者
‐ 舞人、青道会館入り。家木、きたない手やめるってよ。
3 謎の少年、C4登場!!
‐ 大技に憧れる。「天魔」の片鱗。基本を身につける大切さを学ぶ。
4 「最強」の誇りにかけて
‐暇な大人に絡まれる。C4との交流。四天王の影登場。K計画詳細。

最強を目指す小学5年生・大奈舞人(だいなまいと)くんは空手をはじめる。最強とは具体的になぁに? というのはまだわかんないけれど、その筋道として「K計画」――最強の空手家育成計画の選抜メンバーになるといいっぽい。ライバルC4との邂逅があったり、究極の空手奥義「天魔」のことが読者に知らされる第1巻★

― 読書メモ ―

※ 舞人は、身の危険を案じ格闘技は野蛮なものと言って禁止する母親を「小うるさい」と感じていた。教育熱心な母親の意向を汲みつつ、親の監視から解放されたいという舞人の願いも叶う《名門小学校への転入》を猛勉強の末に成し遂げる。名門小学校へ転入することは《空手をはじめられる(獲得する)》ことであり、舞人にとって《空手は最強》の格闘技だ。

以上のことを世で言う詭弁の類である三段論法で言ってみれば、
“《名門小学校へ転入》して《最強(空手)》を手に入れた”
ということになる。

さらに、名門小学校へ行ったのが身の危険を案じる「小うるさい」母親と距離を置くためだったことを考え合わせると
“《最強》を手に入れれば《母親の監視から解放される》”
という意味も導き出せる。

でも、これが論理展開としておかしいのは、そもそも三段論法が詭弁だと先に言った通り。「最強」とは、《空手の獲得》《名門小学校への転入》《母親の監視を退ける》それらをまるっと成した状態をいうのだろうか? あるいは、「最強」になればそれらすべてを成し遂げられるということなのだろうか? ――もちろん、おかしい。このおかしい話は最終話のタクマの行動を理解しようとするときに響いてくる、ハズ。

※ 舞人の師匠がアンディ・フグだったのに対し、このあたりまでC4の「師匠」の話題があった。コミックのおまけページで初期衣装のカットとメモおよび、コミック〔4巻〕に同時収録されている実在のK-1選手の伝記マンガとを見比べるとピーター・アーツだったか。色々な事情によると思われるが、この「師匠」は正体不明のまま話題からフェードアウト。最後まで登場しなかった。

※ C4のフルネームはクリス・ククトミューゼン・C・カスダン。忘れても支障はない。



● 巻ごとのまとめ‐ 2巻

【2巻】
5 おれが最強だ!!
‐ ニトロ登場。のっけから必死感空振ってる。C4が気に病んでる。
6 K計画への試練
‐ 舞人、父-息子(翔矢)癒着のブラックな道場で合宿させられる。
7 見えない敵
‐ 丸木の一本橋で勝負。翔矢の成長。舞人、K計画選抜メンバーに。
8 四天王、現る!!
‐ かわいそうと言われて怒る地雷。舞人、発想力ヤベェ。

舞人がK計画の選考のために送られた山奥の合宿所は自分の息子をこそメンバーに抜擢させたいコーチが運営していた。キックボクサーに因縁をもつ父の遺恨を晴らすため翔矢は精進していたが、舞人との戦いで自分の意思に目覚める。ニトロがどんな気持ちなのかは知らせたい当人以外はわかってるのにーっとか、地雷が「かわいそう」がられるの嫌ってるみたいな細かい話とかもある。四天王の顔出しはこの第2巻★

― 読書メモ ―

※ C4も翔矢の父に古傷を負わせたのもキックボクサー。舞人が志す空手に対立する格闘技にキックボクシングを位置づけようとしていたっぽい。次巻に登場する仮面の男も本来はキックボクサーだろうと見抜かれたりもする。……仮面の男の中の人がキックボクサーってなんか意外。

っていうか、C4が存在する時点で他に登場するキックボクサー詰んでね?

※ 《全開》の概念については「おれが最強だ!!」で初出。

格闘は一人では成り立たない。どんな優れた力も、それを引き出してくれる相手なしでは、全てを開放できない。

C4とニトロの師匠らしき人のセリフより

※ この作品では、既出の出来事が《伏線》として機能するほか、説明された概念は内容を理解するためのキーワードのようになっているというようなテクニカルな語りがされていると思う。

「四天王、現る!!」の《意識誘導》は随所で登場している。

舞人は地雷との戦いにおいて、封じた右手に地雷の意識を集中させて別の場所からの攻撃を予期させず一撃を当てた。つまり、本意を相手に悟らせないために別のことに意識を集中させる、ということ。(作中では地雷の実演つきで手品の手法として説明されていた。)

似たようなことに、“見せかける” “そぶり” という挙動がある。

例えば、6巻で登場するタクマの獣技「ヘリンボーンダウン」は別の動作と“見せかけて”他人にバレないように相手に致命傷を与える技だ。故意の破壊的な攻撃であるとバレないのは見せかけの別の挙動のほうに他人の意識をそらしているからで、対外的には事故に見えるというのが恐ろしい。

同様の手法はラジャのまんじゅうのテストにも言える。

読んでいると、この作品の語り自体にも読者に悟らせないための《意識誘導》がなされているという感じがするので、細部を注視すれば色々別のことが見えてくる(ように思える)のが楽しい。



● 巻ごとのまとめ‐ 3巻

【3巻】
9 爆発!! Dモード
‐ キルリアン博士やらかす。
10 だれだ!? 謎の強敵
‐ 仮面の男は誰だ学級会で発言するタクマのさくらももこ感。
11 たおせ!! 仮面の男
‐ キルリアン博士またやらかす。
12 ねらわれた四天王
‐ たけしぃ~~~っっっ!!! (´;ω;`) “自分が強ければ、相手のコンディションは関係ないだろ?”
13 勝利のかたち
‐ “火山は戦う前からぶざまだ!!” “「ひきょう」も「きたない」も技術なんだ!” というやりとり。
14 明かされた真実
‐ タクマは逃げることにした!

空手家育成は船上――カルネアデス号で行われる(だからK計画)。極限状態に追い込まれたファイターたちが「気」を発することで潜在的な力が発揮されるとかなんとかのヤバイ訓練内容に加えて、彼らを傷つけるならず者・仮面の男が潜伏してるなんて安全性に問題だらけ! でも、安心してください! これはマンガだッ!! 仮面の男との攻防で四天王たちのキャラクターがみえてくる第3巻★

― 読書メモ ―

※ 四天王……地雷 元、海高 武、勝 火山、又 拓磨
地雷は苗字で、火山は名前。私の「また」枠はまタローちゃん(別の漫画のキャラクター)に捧げているのでタクマが又さんと呼ばれる日は永遠に来ない(知らん)。武くんのお姉ちゃんの想像図、ほぼ『女の友情と筋肉』じゃないか!? 時代が来たっ!!

※ 作品終盤の重要概念である“気(スピリチュアル)”はこの時点で登場している。「だれだ!? 謎の強敵」に詳しい。

人は…、「気持ち」で強くなれる!! / 筋肉の力、「筋力」というものは、二つの要素で決定される。一つは、そのものずばり筋肉の「太さ」だ。もう一つは「神経系」!! / 「気持ち」をこめると、脳の運動中枢は筋肉へより多くの運動単位を送りこみ、より多くの「力」を引き出す!

キルリアン博士のセリフより

なので、気持ちのこもってないパンチよりも気持ちがこもったパンチのほうが強い。舞人は素人(空手を始めて1年にも満たない・技術面は不完全)にも拘わらず四天王を倒し得る強さを発揮できるのは気持ちを込めて戦えるからで、“気持ちの天才”と博士は評している。

なお、気の計測機械によって常人より数値が爆発的に大きくなった舞人が強さを発揮している状態を“Dモード”と呼称されるが、台詞で言われる機会はあまりない。絵の描写によって舞人がDモードに切り替わったらしいことは説明されている。

Dモード中、舞人の頭髪はチリチリと鳴って心持ち逆立つ。



● 巻ごとのまとめ‐ 4巻

【4巻】
15 沈まない闘志
‐ 仮面の男誕生秘話。お釈迦になる船。K計画のB面詳細。
16 だれよりも強く!!
‐ 仮面の男との決着。舞人、K-1ジュニアGPへ。
17 開幕!! K-1ジュニアGP
‐ GP開催地ファイ島着。選手の顔ぶれ。ビーストもいるっぽい。
18 炸裂! ダイナマイト・キック
‐ グローブを使った戦い方の話。ウンチくん登場。

安全性に問題のある船はとうとう沈んでしまいました〈完〉。舞人はK計画の代表としてK-1ジュニアGPに挑戦するため、開催地のファイ島へ。C4・ラジャ・マイケルというGP編で活躍する顔ぶれが登場。ビーストも潜ってるっぽい。この段階でマイケル負傷の布石があるのが不吉。K-1はグローブはめてやるのに、舞人はその訓練してないという衝撃の事実が発覚。モバイルパソコン・ウンチくん(RO-718)が登場する第4巻★

― 読書メモ ―

※ K計画のA面はC4に匹敵するK-1ファイターとして空手家を育成したいという大人の事情、B面は選手生命を奪うような傷を負わせることも厭わない武術集団・BEAST(ビースト)の潜伏を予期しており彼らにも対抗し得るような選手を見出したかったという大人の事情。大人酷い。大人を酷い行いに駆り立てるC4の強さの魔性感ハンパない。この件どこまでC4知ってたかわかんないけど全部知ってたら不憫だから、きっとB面までは知らなかったと思いたいなぁ……。

※ 3年前の丈の小さいタクマが短いマントつけて闊歩してるのめちゃくちゃかわいい。悔しい。微笑ましい。この時点の年齢わかんないけど、後半伸びすぎるからわかんないけど、とてもかわいいです。曰く、獣の心とは「自分のことしか考えない」「他人のことを傷つけることをおそれない」「迷わない」「情けをもたない」とのこと。かわいかったのになぁ。

※ 「獣は遊びで戦わない」というのもある。

※ 「舞人と遊ぶ」はタクマにとって地雷ワードになります。



● 巻ごとのまとめ‐ 5巻

【5巻】
19 最強の格闘技
- 前半マイケルのボクシングへの一途さが語られる。後半で下瀬登場。
20 自分の技を身につけろ!!
- 自分は他人になれない。『自分の技』を身につけたい。
21 戦士のプライド
- G・Gが生まれそう。ビースト勧誘の場に通りかかったマイケルVS下瀬。
22 激突!! G・GVS嵐の鉄槌
- VS下瀬強い。舞人の表情がちばてつや化。日々の積み重ねを信じて。
番外1 アンディからの果たし状
- アンディ・フグが逝去して、マンガでもお別れ。悲しい…。

一途にボクシングでの戦いを貫くマイケルと、天才ゆえに数々の格闘技を操る下瀬との対比。一見悪人じみた下瀬は、2年前に舞人が無抵抗で暴力をうける状況を救い、己の力を奮う闘争心に火をつけた人物だった。無慈悲な強さがビーストを惹きつけるし、因縁をもつマイケルを場外乱闘で負傷させる。下瀬を巡って、それぞれの持つ過去と思惑をたぎらせる第5巻★

― 読書メモ ―
※《男らしさ》の話題が度々作中に登場するので、全体を通して検討してみたいなぁ、とか思っている。

きったねぇばか面だ。けど……、男の顔だ!!

カウントギリギリで起き上がったマイケルへ、対戦相手のガスマンのセリフ

男だったら、自分で取り返せ!!

いじめっ子から奪い取ってもらったゲームソフトを渡してもらおうとする舞人へ、下瀬のセリフ

など

※ 《自分の技にする》ということについて、マイケルが言っている。

マイケルは「相手に顔面をさらすスタイル(パンチを受ける勇気がある)」「相手の攻撃を読めない」という自分を活かせる技・フリッカージャブを習得して、繰り出すタイミングや精度を調整することで改良していった。技を使う人間とそれに合わせた工夫が込めらたフリッカージャブは、単なる技法ではなく、その人専用の方法による技といえる。そういう技を《自分の技》と言っている。

※ 舞人から悪魔のようと形容される下瀬は、試合が延期になった苛立ちから選手村で場外乱闘の相手をさがす。この行動が示すように、好戦的かつ感情的な人柄であろうことがうかがえる。

彼の感情にまかせた露骨なセリフ回しのおかげでバトルがエロい話みたいになるというのを、ぜひとも大人になってから読み返したら楽しいから復刊しようよ! というのはさておいて。

『K-1ダイナマイト』はしばしばリング上での1対1でのぶつかり合いに、《情‐相手へ向けた気持ちのぶつけ合い》という対話の場としての意味合いが暗示されていると思う。その描写が濃厚なのもVS下瀬のくだり。気持ちがぶつかり合うんだから、それはエロいなぁ……。

※ 下瀬さん人間かよ。



● 巻ごとのまとめ‐ 6巻

【6巻】
23 さく裂! 本物のGG
- 2R目。舞人に声援。みんなとの戦いを記憶した技がさく裂。
24 限界の果てまで……
- 下瀬の空虚感。「人」や「格闘技」へこだわれない臆病さ。
25 激闘! 空手VS空手
- 3Rへ。下瀬、今にこんにちわ! マイケルが妬いてるのカワイイ。
26 「こわし屋」の恐怖
- ビーストは2000年続いてる殺人拳の集団だった。マイケル(´;ω;`)

リングで戦っている今に至るまでには過去がある。リングは積み上げてきた現在が形となって生きる場所であり、それを生かせるのは目の前の相手。一体何を蘇らせるかは人によりけり。舞人に敗れた者は生きるし、下瀬の空手は蘇る。個人の過去をとびぬけるほどの2000年の歴史は、読者が見つめたマイケルの日々を粉砕する。そこで生きたものはなんだッ?! 上がったり下がったりの第6巻★

― 読書メモ ―
※ 【苦情】 タクマは「ひきょう」で「きたいない」、相手のコンディションが悪いと気づくや否やそこを重点的に攻める。武くんの話で行けば「自分が強くない」ことを露呈してるかのよう。読みと技術があるのは確かなんだけれど、そこにある「強さ」とはいったい何だ。

※ 痛そうなそぶりも見せない

※ 「かわいそうに」タクマがとどめを刺そうとしたところで、割ってはいった舞人がマイケルのことを言った。舞人は怪我を隠して戦ったマイケルの立場に寄り添っており、タクマの所業を知るゆえに怒る。マイケルの状況への同情から出てきた言葉が「かわいそう」。

舞人は相手から強い力で一方的な攻撃にあう状況を「かわいそう」という。これは、2巻で地雷を挑発するときにも使った言葉でもある。

「かわいそう」は、ピンチに陥ってる人や、その状況に陥る弱い人に使う言葉。「かわいそう」な人は戦いから離脱させられている。

※ この時点で舞人はタクマを見逃す気はさらさらない。



● 巻ごとのまとめ‐ 7巻

【7巻】
27 究極のハンディ
- C4、ニトロをストレッサーに黒視症発症。ビースト入ってニトロめっちゃ得意げ。C4の服ダサい。
28 悲しみの兄弟対決
- 双子がひたすらそっくり。イライラニトロどうしたの?
29 激突!! 涙にかくれた思い
- かくれてない! ニトロめっちゃ孤独。C4話聞いてっ!!!
30 殺人格闘集団ビースト!!
- 生きるために確実に殺す技術が獣技の正体! でも空手も実践技術だし! アラン・ピーズ無駄に顔が良かった。
31 「気」をあやつる者!!
- アプサラス、楽々C4を倒す。ビーストの野望が明かされる。 タクマ、奥義復活のためC4拉致ってダンテズ・インフェルノ島へ!
32 アプサラスとの死闘
- アプサラスを言いくるめて口を割らせた舞人、C4救出のため島へ!

出会い話は「その後、島でアプサラスを見た者は誰もいなかった」という怖い話かな? そして、タクマはリスや小鳥、草、木を抑えて好きさで大勝利した。やったぁー! 気持ちを聞き入れてほしい相手にはどこまでもぶつかりに行くニトロの根底にあるC4への信頼の裏返しの態度はまさにツンデレ。癒したリスをぶっ飛ばして癒すアプサラスは若干のヤンデレ。残されたデレへの布石が語られてるかもしれない第7巻★

― 読書メモ ―
※ 相手を信じてぶつかっていくけど、それを受ける側は気持ちの整理が追いつかず態度を決めかねるので病んでしまうという《病み①》と、ぶつかっていった側も相手が病むという形で対応をうやむやにされたため気持ちを逆なでされる《病み②》という悪循環の状態がニトロとC4の闘いには描かれている。

加害者ゆえにニトロをかわいそうな者とみなして、対等に向き合う対象から除外したというのがC4だった。大人たちにK計画なんてものを発足させるほどのC4の決定(ニトロに本気出せないからライバルから除外して新しいライバルを見出す)には社会的優位性がある。優位性が通用しなかったために、強引に未来を夢想することで相手を直視しない態度(無視)で優位性を保持しようとする。社会的に優位であるという根拠を得たにも拘わらず、自身の決定に従うことを相手に受け入れさせることができないのでC4は苦しむ(病み①)。

ニトロのほうにはデレがツンデレになりメンヘラへ移行する過渡期の雰囲気がある。ツンデレの(かつて通じたという成功体験からくる)信用ゆえの逆説的な打ち解けた態度・相手への全力のアプローチといったものが、関係性が変化してしまったために伝わらなくなってしまった。変化を理解すること自体が苦痛というニトロ(病み②)。

互いに無視とか変化を理解しないとかいう自分の決定だけで動いているので、全力でぶつかり合って、互いに互いの今を見つめるために闘う。闘って納得するんだからめでたい。

※ ニトロとC4の対等な関係(通じ合ってる状態)を象徴していたのが、スパーリングで一緒に練習している景色だったことは、テキスト研究っぽい読み方する人は、何気にタクマとアプサラスの件を考えるうえでも使えるっぽいので覚えておくといいと思うよ。(そうじゃない人は忘れても支障はないよ)

※ タクマが組織の目的のため計画的に進めていた公の活動をほっぽりだして、私的な目的に切り替える。つまり、頭首家の失われた秘伝の奥義を復活させる研究に没頭する。公的最強のC4を隠蔽して自分が奥義で最強になったら組織内部(私的領域)で完結するつもりだったのか、これまでの計画と合流して公にその威力を宣言したいのか。どうしたいんだYO! 技の仕組みがばれないように許可制で技を隠したりする割に、見せびらかしたいような気持ちとしてお察ししてみると複雑なお年頃なのかとか思っちゃう。

※ そもそも、獣技だけの格闘技界って何? 舞人の母が野蛮と反対した通りの格闘技になるのなら世論が訴えて廃絶の道に進みそうだし、格闘技文化死ぬんじゃね? 文化を殺せるっていう最強感すごいけど。

※ ダンテズ・インフェルノ島で生まれたら真のビースト?(島の名前、ビース島じゃなくてよかった) 構成員は志願者や勧誘で集まってるだけじゃなかった。でも、真のビーストって生まれた時から頭首の僕ということなのかなんなのか。能力はすごいみたいだけど境遇は複雑。やっぱりグラディエーター(=奴隷)の役割がまだ生きてるのか、とか。ビースト文化に思いを馳せるのも面白いよね。

※ 頭首家一子相伝の失われた奥義「B×B×B(ビーキュービック)」を復活させるとタクマが最強になる。すると、どんな良いことあるんだろう? ビースト共同体の一員並みの感覚なのか、アプサラスの個人的な感覚なのかわかんないけど、死ぬ前に一度見ときたいみたいなノリ、縁起ものなのか! B×B×Bは祭で披露する伝統芸能だったの?! 余興!!!(C4の眼病平癒を祈願して、見合って見合ってぇ~)

※ 【質問】ビーストに生まれたけど失格者だったアプサラスは、①能力がなかった場合 ②タクマに拾われなかった場合、どちらのほうが今より良かっただろう?



● 巻ごとのまとめ‐ 8巻

【8巻】
33 地下の番人、ケルベロス
‐ ケルベロスの仕事ぶり。同僚も主人もひどい。「天魔」出るか?!
34 2つの究極奥義
‐ ラジャ死す! はしゃぐタクマ。アプサラスがすごい状況でトンチ。
35 最強
‐ C4が実況する最強決定戦。もう、誰も止められない!
番外編2 永遠のライバル
‐ K1ジュニアGPから2年後のC4との再戦。さらに後年の再戦。みんな育った。
番外編3 魂
‐ 舞人が記憶喪失になる。武くんビーストと共に紹介される、なぜ?

― 読書メモ ―

※ 8巻のメモを書いていて、「これ、今までの情報を総括するとこだから、丁寧に情報取捨選択して論じなきゃダメなんじゃね?」という気づきがあり、何を切り口にしよー…で色々なことに手を出してるうちに書かないまま放置しました。

※ 1巻の読書メモでやった三段論法の話ーー「最強」とは、《空手の獲得》《名門小学校への転入》《母親の監視を退ける》それらをまるっと成した状態をいうのだろうか? あるいは、「最強」になればそれらすべてを成し遂げられるということなのだろうか?

わたしはこれを、タクマのB×B×B復活を巡る物語の顛末を腹落ちさせるために用いようとしていた痕跡がある。自己実現とか自立のような意味合いで説明を試みようとした、ハズ。ーー 父の仇討じゃなく自身の意志に目覚めた翔矢・ビーストの作戦で戦うのではなく自発的に戦いたい気持ちと技術で立ち向かっていった地雷・建設的な取り組みが不条理な現実に裏切られた過去を脱して今の戦いと戦える自分自身の全力で向きあうようになった下瀬。

彼ら、舞人と戦った相手は自身が取り組むにあたり凝り固まっていた思考から脱する。舞人という競争相手に自身の内からでてくる意志をもって向かいたい、前へ出る。それが自立であると。

そして、自立を阻む者としての過去や強制力としての、父・ビースト・故人となった憧れの空手家に相当するもの。マイトにとっては過保護な母だったが、タクマのそれはアプサラスだという見立てをしていた。決死の戦いへ向かおうとする満身創痍のタクマを引きとどめるアプサラスの姿は、命を削り老婆のようになって、母親のようでもあった。

だから、タクマがB×B×Bの復活を求めたのは「最強」となってアプサラスを、ないし自身のビースト頭首という身分ゆえの責任や戒律の縛りを振り切るためではなかったか? そうした枷を振り切って彼が舞人たちのように自身の意思決定で競争へ身を投じることができる、自己実現・自立を目指したのではないか? とも思った。

※ たぶん、その見立ても大外れではない。

※ けれどもタクマの場合は、後日談のとおりビーストを捨て去って一般社会人になりたいということではないし、アプサラスを始末したいわけでもなさそうだ。この点を注視してよーく読み返してみると…

このあたりの話はあーでもない、こーでもないと別の記事で色々言ってるのでご興味のある方は以下をご参照ください


…記事はここまで!

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