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遊びとフローと全集中

子どもの頃、私が住んでいた村には周りに自然がいっぱいあり、秋にはトンボを獲ったり、栗拾いをしたり、柿の木の実を食べたり、いろんな遊びに夢中になっていました。特に手でトンボを獲るのは難しく、いろんな方法を試していました。とまっているところにそっと近づいて獲る、手にとまるまでじっと待つ・・・考えつくす限りの方法を試しました。夢中になると時間を忘れると言いますが、毎日に遅くまで遊んでいたことを思い出します。皆さんにも、そんな思い出があるのではないでしょうか。

アメリカの心理学者、ミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)氏は、先に紹介した「子どもの遊び」のように、時間を忘れて没頭する、集中する心理状態を研究し「フロー理論」を提唱したことで有名な学者です。ハンガリー出身の彼は、戦争で荒廃した祖国をみて「幸せに生きるとは何か」ということ考えるようになったそうです。そこで、芸術家やスポーツ選手な様々な対象に「どんな時に幸せを感じるか」をインタビューし続けました。その中で「創造的で高い技術力が必要とされる仕事などに没頭している時、疲れを知らず、時間も忘れて活動し、満足や幸せを感じている」という共通性を発見、これを「フロー」を名付けました。フローになるとパフォーマンスが上がる、幸福感を得られるなど、今はスポーツやビジネスの分野でも大注目されています。私は、昔から何でも没頭してしまう傾向にありましたので、若い時に読んだこの「フロー理論」に、すごく共感したことを思い出します。

しかし「フロー」はなろうとしてもなれないもの。いくつかの条件が重なった時にフロー状態が現れると言います。それが、「目標の明確さ」「どれくらいうまくいっているかを知ること」「挑戦と能力の釣り合いを保つこと(活動が易しすぎず、難しすぎない)」「行為と意識の融合」「注意の散漫を避ける(活動に深く集中し探求する機会を持つ)」「自己、時間、周囲の状況を忘れること」「自己目的的な経験としての創造性」などの項目です。少し難しい言葉もありますが、上記のいくつか要件が揃った時に、フロー状態が現れるそうです。ここでは説明しきれませんが、もし日々の仕事が「フロー状態」になれば、時間が短く感じるようになるばかりか、幸せで疲れないのです!研究しがいのある理論だと思いませんか?

上記の要件の中でもわかりやすいのが「注意の散漫を避ける」「挑戦と能力の釣り合いを保つこと」等ではないでしょうか。何かに挑戦する時に、挑戦する対象に比べて自分の能力が低いと「不安」になります。逆に、対象より、自分の能力の方が高いと「退屈」になります。だから、この中間あたり、「少しだけ不安がある」状態にもっていくことが、仕事を楽しくするコツです。仕事をしていて「楽勝!」と感じたり、「毎日簡単で退屈だな」と感じたら、それは自分の能力が上がっていて釣り合いがうまくいっていないサイン。「自分にできるだろうか?」と少し不安になるくらいの「次のレベル」に挑戦する合図なのです。
 きっとどんな人も「フロー状態の幸せ」は子どもの頃に体験されているはず。人気アニメの主人公ではありませんが、「全集中」で楽しくいきたいですね。

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