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気象一般過去問より「降水過程、エーロゾル粒子 黄砂」とは12/21

第57回気象予報士一般問5

降水過程
雲や降水の形成に寄与する凝結核と氷晶核について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)一般的に、氷晶核として働くエーロゾル粒子の数の方が、凝結核として働くエーロゾル粒子の数よりもずっと多い。
(b)大気中で凝結核として働くエーロゾル粒子の単位体積当たりの数は、海洋上の方が大陸上よりも多い。
(c)水溶性のエーロゾル粒子が凝結核となって形成された雲粒は、大気の相対湿度が100%未満でも水滴として存在できる場合がある。
(d)氷晶核として働くエーロゾル粒子を含んだ雲粒は0℃以下の気温になるとほとんどの場合凍結し始める。


エーロゾル粒子の問題です。
まず、エーロゾル粒子とはどの位の大きさのことか。

色と形で気象予報士!さんより


色と形で気象予報士!さんより


雲や雨の大きさに違いがあることはわかります。

では、気象庁よりエーロゾルを調べます。

エーロゾルとは

エーロゾル(大気エーロゾル粒子)とは、空気中に浮遊するちりなどの固体や液体の粒子のことです。大きさは半径0.001マイクロメートル程度から10マイクロメートル程度で、その種類には、人為起源あるいは自然起源のガスから生成される硫酸塩、風によって巻き上げられる海塩黄砂粒子などのダスト、化石燃料やバイオマスの燃焼から放出されるすすなどがあります。
エーロゾルは、太陽放射を散乱・吸収して地上に到達する日射量を減少させ、気温を低下させる「日傘効果」を持つ一方で、地球からの赤外放射を吸収・再放射するという「温室効果」も持っています。
さらに、これら直接効果のほかに、
雲粒の核となる微粒子(雲核)として。雲の性状(雲粒の数や粒径分布、滞留時間)を変化させることによって、間接的に地球の放射収支を変えるという効果も持っていますこのようなエーロゾルが気候へ与える影響を評価するために、その組成分布、粒径分布、空間・時間分布などを把握することが必要とされています。

エーロゾルの観測
気象庁では、スカイラジオメーター気象衛星精密日射放射観測装置を用いてエーロゾルの観測を実施しています。 経年変化や季節変化を捉えると同時に、また、黄砂や森林火災、火山噴火に由来すると考えられる顕著なエーロゾルの増加も観測しています。

気象庁 エーロゾルの観測より

スカイラジオメーター

網走(北海道)、石垣島(沖縄県)、南鳥島(東京都)の3地点でスカイラジオメーターによる観測を行っています。スカイラジオメーターは、大気による吸収が少ない複数の波長の太陽直達光と散乱光の強さを測定することで、エーロゾル光学的厚さ(エーロゾルによる大気の濁り具合)や粒径分布、一次散乱アルベド(エーロゾルが光を散乱(吸収)させる効果の指標)を観測することができます。粒径分布や一次散乱アルベドはエーロゾルの種類を推定する手がかりとなります。

気象庁エーロゾルの観測より

精密日射放射観測装置

左図の赤点線で囲んだ装置が直達日射計

網走(北海道)、館野(茨城県)、福岡(福岡県)、石垣島(沖縄県)、南鳥島(東京都)の5地点で精密日射放射観測装置に搭載された直達日射計(左図の赤点線)を用いて直達日射の観測を行っています。直達日射とは大気中で吸収または散乱、反射されることなく、太陽から直接地表に達する日射のことです。直達日射から算出される大気混濁係数は、大気中のエーロゾル、オゾン、水蒸気などによる日射の減衰を表す指標となり、係数が大きいほど減衰が大きいことを示します。

気象庁エーロゾルの観測より

気象衛星
静止気象衛星「ひまわり」を用いて、エーロゾル光学的厚さの分布を解析しています。エーロゾルからの散乱光・反射光等の衛星観測データから、エーロゾル光学的厚さを算出しています。
衛星による黄砂の観測事例
気象衛星の観測データから、黄砂などの分布状況を解析することができます。
下の図は、静止気象衛星「ひまわり」で、2006年4月8日と9日に黄砂を観測した結果です。4月8日に、ボッ海から日本海西部の広い範囲にある黄砂が、翌9日には太平洋へ抜けていったことが分かります。

気象庁エーロゾルの観測より
気象衛星による黄砂の観測結果の例(2006年4月) 静止気象衛星「ひまわり」の観測データから算出したエーロゾル光学的厚さ



次は黄砂について調べます

黄砂・エーロゾル
 黄砂現象とは、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から強風により吹き上げられた多量の砂じん(砂やちり)が、上空の風によって運ばれ、浮遊しつつ降下する現象を指します。
 エーロゾル(大気エーロゾル粒子)とは、空気中に浮遊するちりなどの固体や液体の粒子のことです。大きさは半径0.001マイクロメートル程度から10マイクロメートル程度で、その種類には、人為起源あるいは自然起源のガスから生成される硫酸塩、風によって巻き上げられる海塩、黄砂粒子などのダスト、化石燃料やバイオマスの燃焼から放出されるすすなどがあります。

気象庁 黄砂エーロゾルについて  より

黄砂現象とは
黄砂現象とは、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から強風により吹き上げられた多量の砂じん(砂やちり)が、上空の風によって運ばれ、浮遊しつつ降下する現象を指します。日本における黄砂現象は、春に観測されることが多く、時には空が黄褐色に煙ることがあります。
黄砂現象発生の有無や黄砂の飛来量は、発生域の強風の程度に加えて、地表面の状態(植生、積雪の有無、土壌水分量、地表面の土壌粒径など)や上空の風の状態によって大きく左右されます。黄砂粒子はいったん大気中に舞い上がると、比較的大きな粒子(粒径が10マイクロメートル以上)は重力によって速やかに落下しますが、小さな粒子(粒径が数マイクロメートル以下)は上空の風によって遠くまで運ばれます。例えば、東アジアが起源の黄砂粒子が太平洋を横断し、北米やグリーンランドへ輸送されたことも報告されています。

黄砂に関する基礎知識 より


黄砂解説図 地形データは、米国海洋大気庁地球物理データセンター作成のETOPO1(緯度経度1分格子の標高・水深データ)を使用しています。 本ページ内の図の作成にはGMT (Wessel et al., Generic Mapping Tools: Improved Version Released, EOS Trans. AGU, 94(45), 409-410, 2013. doi:10.1002/2013EO450001)を使用しています。

黄砂の観測について
目視による観測
各地の気象台では、空中に浮遊した黄砂で大気が混濁した状態を観測者が目視で確認した時を、黄砂として観測しています。黄砂の観測では、黄砂の観測を開始した時間と終了した時間、決められた観測時間の視程などを記録しています。

気象台での黄砂の観測記録は、過去の気象データ検索の「1時間ごとの値」の記事欄から調べることができます。
また、黄砂の観測統計については、〔地球環境のデータバンク〕黄砂から調べることができます。

気象庁HP


測器による観測
気象庁では、地上設置型の測器であるスカイラジオメーター、気象衛星などのリモートセンシング技術による観測装置を用いて、黄砂などのエーロゾルの観測を行っています。
スカイラジオメーターでは黄砂等エーロゾル光学的厚さや粒径分布等を観測することができます。また、静止気象衛星「ひまわり」の観測データから、黄砂などの分布状況を解析することができます。

気象庁HP


黄砂の予測について
黄砂分布の予測には、黄砂発生域での黄砂の舞い上がり、移動や拡散、降下の過程等を組み込んだ数値モデルを用いています。
気象庁で用いている数値モデルは、水平解像度が約40km、鉛直解像度が40層(地表~約55km)で、粒径(直径)0.2マイクロメートル~20マイクロメートルの黄砂を10段階に分割して、96時間先までの黄砂の濃度などを予測しています。さらに、この数値モデルにおいて、静止気象衛星「ひまわり」の観測データを活用することにより、前日の黄砂分布状況を解析しています。
黄砂情報のページの黄砂解析予測図は、この数値モデルの結果をもとに、地表付近(高度1kmまで)の濃い黄砂(黄砂濃度が90マイクログラム/立方メートル以上の領域、視程では10km未満に相当)の予測領域などを表示しています。

気象庁HP
黄砂の数値モデルの模式図



この問題とは直接の関係ないですね。
もう一度問題を見ます。

降水過程
(a)一般的に、氷晶核として働くエーロゾル粒子の数の方が、凝結核として働くエーロゾル粒子の数よりもずっと多い。
(b)大気中で凝結核として働くエーロゾル粒子の単位体積当たりの数は、海洋上の方が大陸上よりも多い。
(c)水溶性のエーロゾル粒子が凝結核となって形成された雲粒は、大気の相対湿度が100%未満でも水滴として存在できる場合がある。
(d)氷晶核として働くエーロゾル粒子を含んだ雲粒は0℃以下の気温になるとほとんどの場合凍結し始める。

雲粒になるときこういった核となるものがあると早く凝結し雲粒になります。純粋な水ほど凝結しにくい。

(a)について
氷晶核は上空の高いところにありますが、、エーロゾルはいたるところにありますから、エーロゾル粒子の方が多いので、
(a)は誤

(b)について
これは気象庁のHPに書いてあるように、黄砂やちりなど圧倒的に大陸が多く
(b)は誤

(c)について
この問いは説明ありませんでしたが、
一般気象学のp78にあるように、

液体の表面張力は液体の体積の表面積を最小にしようとする作用をもつ。
一般に与えられた容積をもつ液体で表面積が球形なのは球形である。草の葉に結ぶ露が球形なのはこのためである。
水蒸気が凝結して水滴ができるという過程は、空気中の水蒸気の分子が衝突し結合することである。

一般気象学p78

一般に化学物質が溶けた水に対する飽和水蒸気圧は純粋なそれより低いという性質がある。

一般気象学p85

なので、
(c)は正

(d)については、

雲頂高度がー10℃である雲では、氷晶を検出する確率は約50%である。雲頂高度がー20℃より低い雲では95%の確率で氷晶がある。

一般気象学p94

雲は-20℃でも凍っていない雲粒があるので、
(d)は誤

正解は⑤


気象庁HPより

短期予報資料
kaisetsu_tanki_latest.pdf (jma.go.jp)

週間予報資料
kaisetsu_shukan_latest.pdf (jma.go.jp)

今日明日の天気分布
気象庁 | 天気分布予報・地域時系列予報 (jma.go.jp)


おはようございます。
やはり寒い朝。
まだ外が暗くなにも見えません
明日が冬至なので仕方ないですね。

雨降る予報になってましたし、明日からはより寒いので、、
風邪ひかないように気をつけましょう。

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