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気象一般試験第57回問3から「エマグラム、条件付き不安定」とは 12 /19

第57回気象予報士一般試験

問3:大気の熱力学ー条件付き不安定
気温減率が一定で条件付き不安定の状態にある地上から高度1.5kmまでの大気について述べた次の文章の空欄(a), (b)に入る不等式と語句の組み合わせとして適切なものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし、乾燥断熱減率は10℃/km、湿潤断熱減率は5℃/kmとする。

この大気において、高度500mで気温が20℃とすると、高度1.5kmにおける気温Tの範囲は(a)である。また、高度500mの空気塊の持ち上げ凝結高度が高度1kmとすると、この高度500mの空気塊を温度が0.5℃降下するまで断熱的に持ち上げたとき、空気塊は(b)。



まず、気温減率などという言葉が出てきたら、簡単なエマグラムでも書いておく。
下図のように書く。

晴ノートより

このエマグラムが分からないとどうしようもないが、
縦軸は高度(気圧)、横軸は温度である。
大気の状態を表すグラフで、地上の大気の状態を表す時に使う。
これは当たり前のように出題されるし、大気の状態を表現されるレポートなどにも出てくるので、必須である。

最初に乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の線が引いてあり、上には書いてないが等飽和混合比線というのが書いてある。

ある空気が山にぶつかり上昇するとして、雲になり始める場所や雨になる高度を知ることができる。

気象学ではある空気が上がっていくことを、空気隗を断熱的に持ち上がるとすると、などという。
これは気象を学ぶ上では慣れるしかない。
ある空気隗の温度が分かると、乾燥断熱減率や湿潤断熱減率は与えられている。

乾燥断熱減率というのは水蒸気が含まれていないため、乾燥するときに熱を発することがないため、高度が上がると温度はすぐに下がる。
一方、湿潤断熱減率線は水蒸気がある分温度が下がりにくく、下がるペースは遅い(ずいぶん高度が高くならないと温度が下がらない)

大気の安定とは
ある高度で空気隗の温度がどんな乾燥していても、周りの空気よりも低い(乾燥断熱線よりも低いという)ことである。

大気の不安定とは、
上記とは逆に、ある高度で空気隗の温度がどんなに湿っていても高い(湿潤断熱線よりも高いという)場合である。

どいうことかというと、ある空気がそれ以上上昇すると雲になるからである。上昇流が起こるということが不安定なのである。

そして、
条件付き不安定とは
乾燥断熱線と湿潤断熱線の間にある空気である。

ここで、もう一度問題を見る。

気温減率が一定で条件付き不安定の状態にある地上から高度1.5kmまでの大気について述べた次の文章の空欄(a), (b)に入る不等式と語句の組み合わせとして適切なものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし、乾燥断熱減率は10℃/km、湿潤断熱減率は5℃/kmとする。

この大気において、高度500mで気温が20℃とすると、高度1.5kmにおける気温Tの範囲は(a)である。また、高度500mの空気塊の持ち上げ凝結高度が高度1kmとすると、この高度500mの空気塊を温度が0.5℃降下するまで断熱的に持ち上げたとき、空気塊は(b)。

問題は条件付き不安定が条件であるから、
20℃の空気隗を1.5km持ち上げても雲粒にはならないので、乾燥断熱線で上げると、500mから1.5kmで10℃下がるか、湿潤断熱線で500mから1.5km持ち上げると、5℃さがる。
ゆえに、20-10=10℃  20-5=15℃

(a)は⓵か⓷である。
ですが、この問題の条件付き不安定というのは
乾燥断熱線より高く湿潤断熱線より低いという条件なので
問題のように「≦」この不等記号ではダメなので、この問題は全員正解となりました。


そして、500mの空気隗の凝結高度が1kmということは、
凝結するまで乾燥断熱線に沿って持ち上がるということなので、
0.5℃下がるには50mかかる。
0.5℃の時点ではまだ550m。
空気隗が上昇するというのは自由対流高度という水蒸気が凝結する温度よりも高い高度なので、
ゆえに、550mという高度では下降する。

これはミス問題だが
解答は⓵



気象庁 | 天気分布予報・地域時系列予報 (jma.go.jp)


おはようございます。
そちらは雪はどうですか?
降っていなくても寒いと思いますが、お気をつけください。

今日もいい日にしましょう。
good time!


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