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コンサルティングファームの採用基準①

コンサルティングファームの採用基準としてどのような項目があるのかについて解説しています。


戦略ファームの評価項目

戦略コンサルティングファームや総合ファームの戦略部門については、他領域の採用面接よりも思考力の配点が高い傾向があります。

思考力(50%)、マインドセット(40%)、専門性(10%)という配点で構成されることが多いと思われます。

組織内で採用基準や採用面接シート、合否判定基準という資料が共有され、それに基づいて面接官が評価する指針となっていますが、実際には各コンサルタントの好みによってウェイトが比較的自由に変えられるというのも事実です。
面接基準があるということを認識して、そのうえで面接の中でどちらにより比重が置かれているのか?ということを限られた時間の中で模索していく必要があります。

+思考力

本記事では思考力について解説します。
思考力は主に、ケース面接という形で問われます。
ただし、ビヘイビア面接の中でも業界や職務における課題認識や趨勢、興味のある関連ニュースなどの質問を通じて問われていることもあります。
いずれにしても、下記の項目が問われていると認識していることができていれば、発散系の質問も評価項目の範疇に収束させていくことが可能です。
最終着地点を項目の中でターゲティングしておけば、評価してほしいポイントと評価されるポイントのズレが最小限で済むということです。

思考力は以下の4つで、順に解説します。
++状況把握スキル
++仮説構築スキル(課題抽出・示唆導出)
++発想力
++数的感覚力
++伝達力

++状況把握スキル

抽象的なケースや端的なケースにおいても、きちんと状況を整理して足りない情報や前提条件を押さえて、当該ケースにおける立場や状況を理解できるスキルがあるかどうか?を確認します。
また、ケースのアプローチについても多面的な視野で事象を捉えることができる必要があります。
例えば、「今後のテレビ業界の動向はどうなるか?」というケースにおいて、ユーザー視点や業界視点だけでなく、広告会社や競合各社や代替サービスといったバリューチェーン全体を視野広く検討できているのか、という視点です。
また「スポーツチームの売上向上施策を検討せよ」というケースにおいて、そのスポーツチームのチケット収入でしか検討できていない場合も、この項目における評価は低いと思われます。
スポーツチームはチケット収入だけでなく、グッズ販売や版権、放映権などで収益を構成しています。ビジネス全体を俯瞰して検討できるか、知らなくても「他に収益源はありますか?」という質問を投げかける必要があります。

出題例:AIは将来の産業構造にどのような影響を与えるか?

回答例:産業構造を定義します。かなり曖昧な設問のため、産業構造を業界軸で区切っていくのか、機能軸で区切っていくのか、また組織の役割分担で区切っていくのか、大まかなアプローチを決める。
業界軸なら、第1次産業~第3次産業や素材~製造~組立~物流~販売といったフレームワークを駆使して網羅性を担保します。
機能軸なら、経営・会計・税務・法務・営業・人事・ITなど会社の部門を参考に定義していきます。

++仮説構築スキル(課題抽出・示唆導出)

あるビジネスが抱える課題を論理的に推察できているか、という視点です。
収益ドライバーやコストドライバーを構造化して、前提条件や市場環境を考慮した具体的な仮説を特定できているかどうか、そしてそれを解決するための施策提示をできているかどうか、という視点です。
なぜ、そのドライバーが課題なのか、という視点を持ち、クライアントを取り巻く環境に関してどのような仮説が成り立つのか?というストーリーを構築しましょう。
例えばある業界においてフェルミ推定をした場合、市場の構造や数字に関してどのようなことが言えるのか?(So What)、今後注力していくべき方向性は2Cなのか、2Bなのか、等の示唆を導出することを意識してください。


++発想力

状況把握、仮説構築のうえで施策を提示するときに、ありきたりな手法ではなく、実現可能性に基づいたリアリティのある施策を考えることがまず重要です。
ラーメン屋の回転数を上げるために、夜定食をビジネスパーソン向けに始めるという施策で終わらずに、ランチメニューにビール+おつまみを付加して低投資で夜セットを用意し、近隣オフィスや住宅へのポスティングやSNSマーケティングでの認知度向上、ランチユーザーに夜定食の初回割引クーポンの配布を実施する、といったより具体的な施策を提示すると評価が高いでしょう。

++数的感覚力

基本的な計算能力があるかどうかに加えて、コンサルタントとして数字を丸めて概算できるかどうか、市場規模や売上金額について明らかに小さすぎる場合や大きすぎる場合に違和感を覚えて修正することができるか、といった評価ポイントです。
日本のコンビニ業界の市場規模が1000億円では小さすぎますし、業界5位の国内自動車部品メーカーの年間売上高が20兆円では大きすぎるでしょう。
また、ケース面接の後半で仮にあるドライバーが10%増えた場合、全体への影響はどれくらいになるか?といった質問がされることがあり、それに対してある程度丸めて素早く計算できるかどうかを問うケースもあります。

++伝達力

フェルミ推定やケースの施策のプレゼンテーションを構造的かつ端的に伝えることができるかどうか、です。
いくら内容が良くても相手に上手く伝わらない場合、それは内容も悪いと同義となってしまいます。
結論ファーストは全てのケースにおいて有効であるわけではないのですが、ケース面接の場合であれば結論ファーストで問題ないと思います。
ただ、ケースの施策を提言する際にいきなり施策を並べても経緯が不明で、ロジックもよく伝わらないので、大まかに回答の方向性を示してから施策を述べたり、結論は後にして順を追って説明します、といったように結論を意識しているけれどあえて後にしている、というアピールをするとよいでしょう。


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