見出し画像

【美術ブックリスト】『大竹彩奈画集 いつか』

美人画を描く若手女性日本画家の中でも、突出して人気の高い大竹彩奈。着物姿、襦袢姿の艶っぽい女性を得意とし、伝統的なモチーフてもかかわらず、現代女性の美しさを描いていて新しい。本の装画や資生堂の化粧品パッケージにも採用されている。

本書は学生時代から現在までに描かれた104点を収録する初の画集。巻頭はグラビアのようで、巻末には池永康晟さんとの対談も収録されている。ここまでが概要。

ここから感想。銀座の秋華洞では画集刊行記念展を開催。月刊美術でも「アトリエ寫眞」という連載ページで紹介した通り。

現在は無地の背景に人物を描くシンプルな作風だが、学生時代の作品では群像だったり人物がハスの花の上に座っていたりするもする。時代を追うごとに背景がなくなり、自然なポーズになり、表情もさりげなくなっていく。逆に肌や着物を緻密に描いていくことが分かる。絵の中で注力するポイントが明確になっていった過程がよく分かる。

解説はなく、読み物は画家自身のコメントと先輩画家との対談のみ。とにかく作品をじっくり見るための画集である。

144ページ、3080円、B5判、芸術新聞社



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?