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【美術ブックリスト】 『イタリア・ルネサンス 古典復興の萌芽から終焉まで』池上英洋

「キリスト教中心の考え方から脱した人間中心の文化現象」というステレオタイプの理解を根底から問い直し、美術史と社会史の両面からルネサンスを萌芽から終焉までを解説。なぜイタリアで始まったのか、なぜ衰退したのかなど美術の本質に迫る。創元美術史ライブラリーの一冊。

ここまでが概要。

ここからが感想。
まず政治、それから経済、そして宗教を含む文化という視点から、歴史的変遷を追い、それらがどのようにルネサンスといわれる文化状況へと結びついたかを説明している。したがって、なかなか美術についての論述に入らない。内容はしっかりしているけども、誰でも読みやすいというものではないので、一通りルネサンスの美術について理解している人が、ルネサンス理解の中級編として読むのがいいと思う。

創元社 四六判 344ページ 2700円

【目次】

はじめに

◆第1章 中世イタリアの社会とその変質
1 ルネサンスの前段階における社会状況
2 自治都市国家の成立
◆第2章 ルネサンス中核都市の形成
1 地中海の覇者と十字軍の変質
2 「第三のパトロン」の登場
3 トスカーナ金融業の発達
◆第3章 プロト・ルネサンスの社会と美術
1 理想としての古代
2 プロト・ルネサンス期における美術の変化
◆第4章 中世の終わりとルネサンス社会の成熟
1 ギリシャ文化の逆流
2 疑似共和政の理想
◆第5章 初期ルネサンスの社会と美術
1 フィレンツェの危機とメディチ家
2 一四〇一年とブルネッレスキ
3 遠近法という新たな視点
◆第6章 ルネサンス美術の発展
1 ルネサンス絵画の三要素
2 古代モチーフ使用の二段階
3 初期ルネサンス美術の旗手たち
◆第7章 盛期ルネサンスの社会と美術① 一五世紀半ばを中心に
1 一五世紀半ばのイタリア
2 イル・マニフィコのイタリア
3 変化をもたらす動因
◆第8章 盛期ルネサンスの社会と美術② 一五世紀末を中心に
1 ルネサンス的創造行為
2 ルネサンス・ネオ・プラトニズム
3 イタリアの危機
◆第9章 ルネサンスの落日
1 二発の打撃
2 共和政の放棄

おわりに

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