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ボケじいさん、ひさしぶり。

今日は、数か月ぶりに面会でした。

父親は、施設に入所して何年たったかな。


コロナの時代になる前は、毎週面会して、差し入れしたりしてたなあ。

会う時には必ず一度は、声を出して大笑いさせるようにしてきたんだっけ。


面会できなくなって、様子もわからなくなって、洗濯物だけ取りに行き、届けて。

そんな日々に慣れていって。


もともと、父親とは何年も断絶状態。

自分勝手に生きていた彼は、家族より友人を大事にする人だった。


それでも、病気になり、手術や入院、事故を起こしたり、けがをしたり。

そういうことになると、結局家族、もと家族と呼んだ方がいいかもしれないけど、そこに連絡がくるのです。


そんなこんなで、長女の私がなんとなく父親のことをやるようになった。


老いることを学ばせてもらってると思いながら、父のことも書いてみようかなと思っています。


彼は、文字を書くこと読むことが好きで、賢い人だったと思う。

抗がん剤治療から認知症になって、数年たつ。

脳を使うことを得意としていた人なのに、脳が壊れていくなんて。


ボケながらも、書くことは続けている。

ノートとペンは、定期的に差し入れている。


このノートは、父の心の叫びなんだと思う。

ボケながらも、何を思っているのか?
何がまだ残っているのか?
今のブームは何なのか?


最近の文章は、ちょっと読解困難になっているけど、2年ほど前の日記に面白いことが書いてあったので、記録しておこう。
原文のまま、載せます。


11月09日㈪

目が覚めて、時計を見たら、3時50分。正信正明の真夜中である。

チョット待てよ。”正信正明”という字はこんな字だったかなあ。

何を見れば正しい字が確認できるか。4歩先に国語辞典がある。でも、布団から出て取りに行く元気はない。でも、気になる。矢張り気になって取りに起きてしまった。

正しい字は「正真正銘」と書くらしい。午前4時15分、ちょっと遅い「正真正銘」の夜中である。

本日も知恵がひとつ着く。

待てよ。知恵が着くという文字はこれで正しいのか。再び辞書をひもとき、知恵という字をチェックする。

同室の人がトイレに起きて、なんか文句を言いたそうな咳払い。

こちらも少し気を使って、スタンドの明かりのダイヤルを下げる。

テレビは相撲をやっている。


2年前は、なかなかちゃんとした文章が書けていたんだなあ。


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