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保育園初登園。

とうとうこの日がやってきた。一時保育で〈まー〉は初めて保育園に預けられます。何だろうこの罪悪感。でもこれは〈まー〉のためでもある。

生まれてこのかたお父さん(僕)かお母さん(妻)は必ずいっしょにいて、二人同時にいなかったことと言えば、ちょうど1年前に僕の地元に帰省した時の数時間のみ。自分を取り巻くいろいろのことが分かるようになってからはただの一度もなかった環境に身を置かされるのである。どんな風に過ごすんかなあ。寂しくて泣いてばっかりやったらどうしようなど過保護なバカ親の心配は尽きなかった。

そして朝、連れていくのはこの日外で仕事がある妻。〈まー〉は多分単なるお出かけとしか思っていないだろう。玄関でばいばーいとかやっちゃうと不安にさせてしまうのかなと思い、部屋の中から行ってらっしゃーいだけで別れをすませた。効果があるのかないのかわからないけど、フツーのちょっとそこまで感を演出してみたのである。

しばらく経ったのち、妻から園の室内で遊ぶ〈まー〉の画像が送られてきた。僕「泣かなかった?」                         妻「さりげなく出てきたw」                      僕「置き去りかよw」

もし保育園にスイミングスクールの観覧席のような場所があれば僕は1日中そこで過ごしたかも知れない。あるいは園内ライブカメラの映像を流しっぱなしのアプリがあればずーっとそれを見ていただろう。お母さんがいないことに気づいたとき〈まー〉はどんな反応を示すのだろう。初日なので午前中だけの半日保育にしたのだけど、たった4時間がやけに長かった。

12時30分。お迎えに向かう。ダボダボのジーンズにTシャツ&キャップでこういう場所に来ると、いつも不審者だと思われているような気がしてならない。受付でおそるおそる利用カードと身分証明書を提示して教室に案内してもらう。たぶん泣いてるな。そんで顔見せたら泣き止んで笑顔でこっち来るな。そうシミュレーションして教室に入る。果たして〈まー〉は泣いてはいなかった。おもちゃをしまう棚の2段目に頭を突っ込んで一心不乱に奥を見ている。な…何やってんのこいつ。まー!と呼びかけてみても聞こえてないのか反応してくれない。中で担当してくれてた先生が「まーちゃんパパがお迎えきたよー」と身体ごと顔をこちらに向けてくれた。目が合った。しかし僕が誰なのかまだ分かっていない。次々と知らない顔に囲まれたせいで顔判別が瞬時にできなくなってしまったのか数秒の空白。僕を認識した〈まー〉は途端に顔をぐしゃぐしゃにして駆け寄ってきた。大号泣。うんこすわりの僕の両脚を開いて太ももの上に登ってがっしりとしがみつき離れない。顔を見ようとしてもTシャツの裾をぎゅっとつかんで放さない。よっぽど寂しかったか、不安だったのか、よしよし。聞けば朝から警戒心バッキバキでただ黙々と一人遊び。この日初めて泣いたらしい。泣く余裕すらなかったのだろう。

帰り道のベビーカー。初めての経験に疲れたのか〈まー〉はすぐに眠りに落ちた。実は悲しいお知らせがありますまーさん。明日は全日保育なのです。


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