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着物考 その五 誂えの時間
暦は小暑。
しばらく暑い日が続く夏らしい季節ですが、着物を誂える時間軸で考えると、シーズンは秋、冬、もしかしたら年をまたいでのイベントに合わせたり、何年か先の行事に向けてなど、さまざまであると思います。
夏物であっても、来年にはこういった着物を着てみたいなども、あるかもしれません。
注文したら翌日届くような物流システムを考えると、信じられない位に時間がかかることかもしれませんが、誂えるとは、まずは妄想から、しかも様々な可能性を楽しんで想像し描くことから始まるように思います。
誂えるまで理想を妄想するための時間、注文して出来上がりを待つ時間、シチュエーション通りのコーディネートを考えてみる時間と、このような大らかな時間の取り方は、ただ慌ただしく過ごす日々の中にゆっくり一呼吸おけるような感覚さえ覚えます。
逆に言えば、誂えとは急いでできる範囲は限られていると言うことですが、かつてはそれが当然であったことと思うと、スピード重視の現代において、ものづくりを感じるというのは少々必要な感覚かなとも思うこともしばしばだったりします。
写真は初めて誂えた、無地の紬の着物です。
この時はラオスで作られた手紡ぎ、手織り、ラックダイで染められた生地でその味わいに惹かれました。ここ数年でラオスのものづくりも大きな変化があり、今ではだいぶ稀少なものになりました。
八掛は夫に染めてもらいましたが、全て作るという訳ではなくとも、何処に自分らしさのニュアンスが入るというのが誂えの醍醐味であり楽しみ方だと思います。
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