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THINK BOOK を始めるにあたって

THINKというイベントを谷尻誠さんが始めたのは,彼が広島の事務所を移転したタイミングだから,もう9年も前に遡る。(THINK とは→)2019年の春に100回目を数えたから,本当にほぼ毎月一度のペースで,彼の事務所 Suppose Design Office に100人を超える魅力的なゲストが訪れたことになる。また,そのゲストの来広を聞きつけた感度の高い来場者を含めると,きっと延べ1万人ほどの人がひとつの建築設計事務所を訪れたわけだ。クライアント以外の人たちがこんなに出入りできる設計事務所というのも他には無いのではないだろうか。ある意味で,Suppose Design Office が設計事務所としては他に類を見ないほど多様な仕事を手掛けている現在の状況を生み出したのが,THINKだったのではないかと振り返ることもできる。

僕を含めて,THINKの場に気軽に参加できる広島市民は幸せである。もちろん遠方から駆け付けるファンもいる。最初はゲスト目当てで参加したけど,THINKという場を気に入って,頻繁に足を運ぶようになる人もたくさんいると聞く。この魅力を知るにはやはり,一度参加してみることが一番だと思う。少し前から,THINK WEB が始まり,参加できなかった人も後から映像で観られるようになった。今後は記録用に録画されていた過去のTHINKも観られるかもしれない。この最大9年にも及ぶタイムラグから面白い発見もあるかもしれない。そんなことを THINK BOOK で補足していけたらとも考えている。

そもそも,この企画は僕から谷尻誠さんへの恩返しに端を発している。彼がTHINKを始めるとき,まだ事務所には音響設備もなく,そのためのプロジェクターもなかった。彼の母校である穴吹デザイン専門学校の講師の僕は,彼からの「マイクとスピーカーとプロジェクターって学校から借りれませんか?」という連絡に立場を利用して即座にOKと返事をした。いまはもう機材を貸し出すこともないほどイベントは成長したけど,必ず毎回招待してくれる。そのおかげで僕は毎月新しい刺激に出会うことができるのだ。そのことに感謝し,僕をはじめとする参加者が感じたことをダイジェストの形でまとめて彼に活用してもらうことを提案した。それがこうして THINK BOOK というマガジンの形をとって動かしてみようというプロジェクトになった。

最初から,マガジンとしての明確な方針や目標が明確に決まっているわけではない。毎回文体や雰囲気も変わるかもしれない。物書きや編集としての経験値は無いに等しい。でも,THINK という場で得た「気付き」を,会場で観た人と,観れなかった人,後から映像で観た人など,多くの関心を寄せてくれる人を繋ぎなおす場になればと思う。THINK は少なくとも僕にとっては学びの場であり,普段,広島の小さなデザイン学校で建築やデザインについて考えている自分にとって,学びの場を整理していくというのはささやかな喜びである。つまり,これは毎回の THINK にとっての復習のための場づくり,なのかもしれないと思っている。
関心を持ってくれた人の「考える」きっかけになることを願って。

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2020年1月で109回を迎えたTHINK。 これまでのアーカイブを読むTHINKとして届けていきます。 活躍する方の思考の共通項と差異を客観的視点から考察します。

THINK BOOK

¥780 / 月

「THINK BOOK」は、サポーズデザインオフィスが企画する、THINKをテーマにしたプロジェクトを文字と写真でとどけるメディアです。 …

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