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いつだって聞こえてくるのは応援歌

自分が夏を感じるのはどんな曲だろう、と考えたときに、まったく複雑な思考の道筋を通り抜けた後に出てくるのは、こちらの曲でした。

野球応援の定番曲(と、今も言っていいのでしょうか)である、コンバットマーチです。

夏の定番曲と言って、確かにそうだよね、と思う方もいらっしゃるでしょう。実際に夏の甲子園予選の応援で、もしかすると球場で聞いた方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、これがなぜ複雑な思考の果てに導かれた結論かと言うと、自分は「夏の球場」で、コンバットマーチを聞いたことは、実はないのです。

高校時代、まさに夏真っ盛りの7月に野球応援をする頃には、応援団の演武にコンバットマーチはありませんでした。

我が母校の応援団は、当時の有名野球選手のテーマ曲に合わせて演武をしていました。

進学校の面目躍如というべきか、4月終わりから7月にかけての2カ月強で20の演武を習得した応援団は、野球部ひとりひとりが選んだ曲に合わせた演武を披露していました。

今考えてもなかなか珍しいことをしていたなぁ、と思い出されるのですが、その中にコンバットマーチはありませんでした。

時が流れて大学時代、早稲田大学に教えをこい、野球応援のノウハウを得たという応援団では、コンバットマーチをやることがありました。

腕をぶんまわす単調な動きながら勢いに任せた動きで、振り回す拳の先に血が集まって痛みを感じ、前方に突き出す正拳は風を切る音がするほどやってなんぼ、と当時の自分は思っていました。

それが夏の頃かというと、実は大学野球のリーグ戦は「春季」と「秋季」に行われるものです。暑いとは言っても真夏を過ぎた9月頃からの開幕で、いまいちこれも「夏」には当たらない。

しかしそれでも、この曲を聴くと、自分には「夏」が思い出されるのです。

甲子園の暑い夏をテレビで見たとき、脳裏に浮かぶのは、腕を振るい、声を上げ続けた晩夏の記憶。

春、秋、冬と、野球応援を想起させる出来事はあまり起こりません。
だからこそ、高校大学の7年間とともにあった応援団の、激しいコンバットマーチの記憶が、夏に思い出されるのでしょう。

だからこそ、自分にとっての"夏の定番曲"は、この曲だと言えるのです。

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