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一瞬の奇跡 晴れ間のぞいたどんど焼き

その日は朝からどんよりとした曇り空でした。
不安になって問い合わせてみると「一応催しはやるけれど、火はつけないかもしれない。祝詞は、別の会場で上げると思う」という返事。

まぁ、お焚き上げのお札があるから、駄目もとで行ってみるか。
1月14日。山口県周南市鹿野で行われるどんど焼きが行われる朝、家を出るときの自分は、そんな気持ちでした。

どんど焼きとは

皆さんは、どんど焼きがどんな行事かご存じですか?
1月15日、小正月の行事として知られるどんど焼き。もしかすると、小学校ぐらいの頃に、学校行事として参加したことがある、という人もいるかもしれません。

どんど焼きは、お正月に正月飾りを目印にやって来た年神様を、正月飾りを燃やし、煙とともに見送るという意味を持つ行事です。一緒に書き初めを燃やしたり、お札を燃やしたりします。

子どもの頃には「書き初めを燃やす集会」だと思っていたどんど焼きですが、実はそんな意味のある行事だったんですね。

晴れ間が見えたどんど焼き会場

さて、そんなどんど焼きが鹿野で行われているということを知り、雨に不安を感じながら車を走らせたのですが……なんと、鹿野に到着して車から降りると、雨どころか、暑ささえ感じるような天候でした。

見上げると、雲の間から青空が見えている場所さえあります。
あれ? どんど焼き、どうなるんだろう?
そう思いながら、会場をめざして歩き始めました。

会場には、たくさんの人が集まっていました。

会場である地区の集会場には、子どもから大人まで、さまざまな世代の数十人が集まっていました。
晴れ間も見えているし、これはひょっとして……と期待していると、予定通り祝詞の後にお焚き上げを行うという話が!
来て良かったな、と思いながら、お札を納め、カメラを構えます。

祝詞奏上

本来、年神様を送る行事ということもあり、会場には二所山田神社の宮司さんがいらっしゃり、火をつける前のお飾りなどに祝詞をあげていただきました。

煙とともに、年神様をお見送り。

祝詞奏上の後、卯年生まれの年女の方によってお飾りに火がつけられ、もくもくと白い煙が上がり始めました。

朝には雨粒が落ちてくるような天候であり、どうなることかと思いましたが、無事に火をつけるところまでこぎつけられたな、と参加者の立場ながら胸をなでおろしました。

甘いぜんざいには、しょっぱい漬物がよく合います。

どんど焼きが滞りなく終わり、ぜんざいのお接待を受けました。
このぜんざいにつきものなのが、しょっぱい漬物。この味が、甘味をより引き立ててくれました。

年神様が帰った後は

ぜんざいを食べていると、なんだか寒いような気が……。
ふと空を見上げると、いつの間にか青空はどんよりした雲で見えなくなっていました。

帰路につく頃には、ぽつぽつと雨粒が落ちてくるような天候に。
行事の間だけ、晴れ間がのぞいていたことになります。

年神様がどんど焼きをやらせてくださったような、そんな不思議な気持ちになる行事でした。

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