2022年5月の記事一覧
箱の中身は【#第53回whrワンドロ・ワンライ】
ボクの変身アイテムが無様にも復活して、ヒーローらしくさっさと元気に退院したあと。
なんだか無性にひとりの時間が欲しくなって、気付けばボクはふらふらと瓦礫降り積もる廃墟にやってきていた。初めて行く場所だけど、見るのは初めてじゃない。我ながら、道もわからないのによく辿りつけたなと思う。これが神の思し召し……なーんて、死んでも思わないけど!
「うわ、あのとき見たのとそっくりそのままおんなじだ」
踏みしめる【#第51回whrワンドロ・ワンライ】
すう、とゆっくり息を吸って、ふっと短く吐いた。まだ自分の喉は空気を通している。
身に纏っている白いシャツはいつも仕事で着ているもの。同じく真っ白なパンツは洒落た服屋で買ったもの。自らのことながら、そのアンバランスさを嗤いたくなった。
常にきっちり締めていた第一ボタンをぷつりと取り外し、くすんだ茶色の輪っかを首に掛けた。ああ、あとは足台から降りるだけ。
さん、にい、いち。心の中で数えて、