ギターメーカーのブランド戦略について語ってみたい

ブランド戦略のプロフェッショナルとして、ちょっと偉そうに語ってみますね（笑）

NIKEとLenovoでカントリーPRマネージャーを務めた後、私は一部上場企業のブランド戦略室の課長職に転職した。
一つ目の理由は、エアマックス狩りだの、PCのリチウムイオンバッテリーの発火など、危機管理広報が続き、少々広報業務にも飽きていた。
もう一つは、NIKEでは常に”ブランド”というものを意識して仕事していたので、それを専門とする仕事に興味があったからだった。

で、入社したら、ある人にこの本を読んだ方が良いと渡されたのが、デービッド・アーカーの確か「ブランド論」だった。「ふーん、日本の会社って本読んで勉強するんだ」って思ったものだが、なんとそこにNIKEバスケットボールの、ブランド戦略が出ていたのだ。ナイキジャパン初代のBasketball Category Business Manager 兼　Sports Marketing Managerだった私の専門分野だ。興味津々に読み進めたところ、Jordan / Flight / Forceの各カテゴリーについての内容に間違いがあり、もう読む気がなくなってしまった。

そう、世界で名高いブランドの専門家も間違うくらいだから、今から私がオタクとして語るギターのブランド戦略に間違いがあるのは重々承知の上ではあるが、ユーザー視点で各メーカーのブランド戦略に簡潔に述べていきたい。

１．FenderやGibson型のブランド戦略

Fenderには下位ブランドとしてSquierがあり、その品質や価格に大きな違いがある。また、Fenderの中でもカスタムショップやメキシコ、ジャパンなどの区分けがある。
また、ブランドの成り立ちがFenderとは異なるが、Gibsonの下位ブランドとしてEpiphoneがあり､Gibson内にもカスタムショップとかがあったりする。
エレキギターの二大メーカーに関しては、極論すると、PremiumとAffordable（手ごろな手の届く価格）という価格戦略のもと、ブランドが分けられている感じだ。
だから、「ピックアップもGibsonと同じだし、サウンドもかなり良いけど、手が出せないからヘッドのカッコ悪いEpiphoneで今は我慢していつかはGibson買ってやる！」なんていう昔の「いつかはクラウン」なんていうトヨタのブランド戦略的な感じに皆はまってしまうのだ。

でも、私の別の記事（「あなどれない、最近のSquier by Fender」）のように、Squierは今かなり面白くなっており、価格の安さだけではない魅力が満ちている。まあ、あんまりよくなるとFenderが売れにくくなりそうな心配が出てくるかもしれないが・・・。

以前所有していた、EpiphoneのB.B KIngモデル。
これがGibsonだと価格は８～10倍に・・・。

２．G&LやYAMAHA、Bacchus型のブランド戦略

一方、G&LにはUSAもあればインドネシアも、今はないかもしれないが、日本製もあったが、ブランド名は全てG&L。
ここまでは良いが、カタログやウェブで製品を見ても、名前も似てるし見た目もUSAだろうがインドネシアだろうが、同じなのだ。
だから、私も気合入れてUSA製をヤフオクで手に入れたが、ピックアップが基本同じだからか、サウンドの差も感じられず、またヤフオクで売ろうにも、すごく安い価格じゃないと売れないのだ・・・。いろいろ木材や機能、パーツの違いを説明文で語り、それに沿える良い写真を撮っても、結局、G&Lはゼーーーンブ同じG&Lなのである。

同じことは日本を代表するYAMAHAにも言えるが、一番損をしているのが、Bacchusだと思う。もう皆さんお気付きだろうが、Bacchusといえば、１万円台でもかなり使えるコスパの良い良質なギターを提供する良心的なメーカーであるが、同じBacchusというブランドで売られる20万近いギターを買う”漢（おとこ）”がどれだけいるだろう？私は無理だ・・・。
渋谷でオイルフィニッシュのかっこいいギターを店頭で見つけ、これ凄いなと思ったら、８万円のBacchusだったなんてこと、何回もあるのだ。

一応、自称、日本ギターの海外広報を自負する身としては、Bacchusには、ブランド戦略を見直していただけたらと思うのだ。きっと、高いギターがもっと売れるようになると思うのだが・・・。

プロトタイプということで買ったBacchusのTLタイプ。
Roasted Mapleネックが素晴らしく、サウンドもとても良かった。
もう、持ってないけど・・・。

今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました！
次回記事もお楽しみに。