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おだやかな暮らし。

息子と散歩をしたんです。

「あつはなついなあ。」

昔の懐かしいフレーズを、思い浮かべながら歩いたのです。

そういうことがあります。


歩いていたら、道の真ん中にセミがいました。

あまり動くことなく、もう寿命のようでした。


「ここにいたら、車に轢かれちゃう。」

そんなこと言いながら、息子はセミを植え込みに逃がしたのです。


植え込みにいたら、そのうち蟻が集まってくるかもしれません。

鳥がやってくるでしょう。


車に轢かれたほうが良かったでしょうか。

蟻が集まってきたほうが幸せだったでしょうか。


「セミは大丈夫かなあ。」

自宅で息子が言いました。


大丈夫だと思うよと言ってみました。

大丈夫だなと思ったのです。


セミの寿命を考えました。

蟻の生活を考えたのです。


「大丈夫だよ。」

息子にもう一度言ってみたのです。

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