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ソウルボッサ。

僕はいつも色々足りない。

絶えずこまめに繰り返す。

自転車に乗った老人を、老人が運転する自動車が追い越します。

そんな嫌そうな顔をしなくても良いのにと思うのです。


お嬢さん、そのズボンの裾は短くないですか?


街灯の灯りが、木と木の間から差していたのです。

これも木漏れ日というだろうかと思いました。

違うと良いのにとぼんやりしました。


気付けば日に日に長く生きてきましたので、昔の記憶がゆらゆらすることがあるのです。

お忙しい日々をお過ごしのことと存じます。時節柄皆様呉々もご自愛くださいますよう、心よりお祈り申し上げます。

呉々も。


高校2年生のとき、駅前の本屋さんで声をかけられたのです。

「ぶくくん、久しぶりだね。」

そんなこと。


それが誰だか分からないのもよくあることで。

「病気になっちゃって、薬の副作用で顔がパンパンだから分からないよね。」

そんなことを言われたり。


そこまで言われて、

「あ、ともちゃん先輩じゃん。」

と気がついたり。


まったくなあと思うんです。


そのあと僕はなんて答えたのか、記憶がゆらゆらしてるのです。


「こんなになっちゃって、驚かせてごめんねえ。」

そんなことを笑顔で言われたことは覚えているので、たぶん上手な答えではなかったと思うのです。

あのとき謝らせちゃったなあと、さっき思い出しました。


まったくなあと思うんです。


若いことは恥ずかしいんです。


「そんなことないよ。」という話もあります。


僕はいつも色々足りないのです。


呉々も。

呉々も。


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