保育士の私が子どもから教えてもらったこと…その5(だから遊びたいんだ!)

※名前は仮名です。

 トモキ君は年長の元気いっぱいな男の子です。友達も多く、毎日活発に遊んでいます。
 運動会が終わる頃か…友達、特にカズヤ君と一緒に遊びたがるようになりました。ところが、カズヤ君はトモキ君が近づくと逃げたり、仲間はずれにしたり、何故かトモキ君が悲しむようなことを続けています。トモキ君は泣いてしまうこともたびたびありました。泣いているトモキ君を、カズヤ君は黙って見ていました。
 保育士はカズヤ君にトモキ君と遊んで、と提案してみましたが、応じません。同じくトモキ君を慰めたり、他の子と遊ぶよう勧めたりしましたが、トモキ君がカズヤ君を求めるようすは変わりませんでした。
 実は2人とも、以前はとても仲良しでした。遊ぶのもイタズラも、お互いにリーダーシップを発揮している存在だったのです。それが何故、急にカズヤ君から距離をとるようになったのか…。
ある日、いつものように(?)仲間はずれにされ、泣きじゃくるトモキ君のそばに座り、落ち着くまで待ってから質問を一つしてみました。

『どうしてカズヤ君と一緒にいたいの?』
すると、トモキ君は即答します。
『もう会えなくなるから!だから遊びたいんだ!』
 カズヤ君は新しい家に引っ越すため、小学校はトモキ君と違う学校ということが決まっています。トモキ君なりにそれを受け入れ、大好きなカズヤ君と一緒にいたいと考えたのでしょう。一方、カズヤ君は離れるのが寂しくて、あえて距離をとるようになったのかもしれません。
 2人とも、現実を変えられない思いを、それぞれ表現していたのかなと思います。

トモキ君に教えてもらったこと…
『自分のことは自分で決める!』


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