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レア物っぽい? MINOLTA 2x M/A CONVETER-S

 ちょっとハードオフを冷やかしてみたら、なんかあったんですよ。

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 とりつけた状態はこうなんですけど、ボディはα、レンズはMD。
 まあ書いてる通りですけど、マウントアダプターでした。純正の。

 しかしこれ、私まったく聞いたことなかったんですよ。それなりにAマウントの古いレンズとか使って遊んでるから、古いものの情報も集めてたつもりなんですが……

 日本語情報は本当に少なく、Aマウントの情報が集約されているα-system Spirit Wikiにも記載がない。
 といってCamera-wiki.orgにも見当たらない。海外でもマイナーかな。
 海外のミノルタファンサイト DYXUM.comにはようやく情報がありました。英語版WikipediaのList of Minolta A Mount Lensにもあります。
 こりゃ、ひょっとしたら日本で売らなかった?
 そういえば同じハードオフでなぜかオリンパスL-10の海外版(IS-100って名前)があったし、海外からもジャンク仕入れてるのかな……。

どんなモノ?

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 佇まいはこんなん。シンプルに筒っぽい外装ですが、初期のαレンズってこんな雰囲気だったはず。
 MDマウント側にはもちろん電子接点などはなし。形状は同じはずだから、SR・MC・MDいずれも取り付けられると思います。
 また、自動絞り機構がキャンセルされて、絞り輪に合わせて絞り羽根が開閉するようになります。

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 変倍レンズはちょいと奥目か。
 光学系はどうなんだろう、MD時代とかα用の2xテレコンと同じなんだろうか? MDマウントのフランジバック43.5mmを、αマウントの44.5mmに変更する必要もあるから、同じ光学系というわけにはいかんのかな?

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 Aマウント側も、電子接点なし。AFカプラーも絞り駆動爪もない。ボディ側とは一切の連動機構がありません。.

 ちなみに末尾の-Sは短焦点レンズ向けだそうで、300mm以上の望遠レンズ向けに末尾-Lのものもあります。光学設計がちょっと違うのかな。

α350につけてみた

 これをα350に取り付けてみました。
 レンズは他に持ってないんで、MDズームロッコール50-135mmF3.5。2xテレコンが入って、100-270mmF7のレンズに相当します。APS-Cだからさらに1.5倍して150-405mmF7くらい。

 Mモードならレリーズ可能でした。他のモードではエラーが出て撮影不能。いわゆる「レンズなしレリーズ」を許可する設定項目は存在しませんでした。
 もちろんMFで、フォーカスエイドは働きませんでした。ただこれは、レンズが暗くてダメだっただけかも。元レンズが50mmF1.7とかならよかったのかもしれない。
 手動絞りになるので、絞るとファインダーが暗くなります。
 露出計は、実絞り測光で作動してました。

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 とりあえず適当にテレ端の最短距離くらいで撮ってみたんですが、270mmF7を、α350のファインダーではピントがどこにあるかわかりゃしませんね……。

歴史考察

 カメラメーカーがマウントを変更する時、可能な範囲で旧来のユーザーのためのマウントアダプターを用意するものです。
 しかし、「マウントを変更しなければできないほど大規模な仕様変更をしたい」という前を見た要求と、「マウントアダプターでできるだけ後方互換性を保つ」という後ろを見た要求は、相互に対立してしまう。

 ミノルタは、オートフォーカスのために、またSRマウントからMDマウントで複雑化した絞り制御関係の機構もさっぱり整理しなおすために、より高性能レンズを出せるように大口径化するために……と、あらゆる部分を刷新する形で、新マウントを出しました。
 だから、マウントアダプターで対応できる範囲がすごく狭くなっちゃったんでしょう。

 用意されたマウントアダプターは、2倍の焦点距離・2倍のF値という大きな制限があり、AFもできず(そして新しいボディではMFは格段にやりづらく)、古いボディでできた自動絞りも出来ない。自動露出も古いボディならプログラムオートができていたのに、マニュアル露出だけ(ボディによっては実絞りでAEができたかもですが)。
 実用性はもう、ないに等しい。取り付けて撮影できるだけ。

 これじゃとても売れないな、と思います。
 旧ユーザーに形だけ義理立てしただけにさえ思えてしまう。

 でも、ミノルタですからね。
 80年代前半まで、1位がニコン、それを追うキヤノンで、3番手集団を追走していたミノルタが、1985年にα-7000を出して一気にそれだけでトップに躍り出ちゃった。
 他社のライバル機は2年は遅れ、ひとりで圧勝してる状態。

 旧ユーザーが少数派になってて、会社としても次々流れ込んでくる新ユーザー向けの商売に全力入れるしかない。
 旧ユーザーのためのマウントアダプターも、どうせ超不便なものしか造りようがない。
 あまり求める人も多くなかったんじゃないか。好景気で買い替えにも経済的抵抗感が小さかった日本では特に。
 泣いた旧ミノルタユーザーは、もちろん居たはずですが、しかしαショックの激流の中で捨て置かれてしまったんでしょう。

 この純正マウントアダプターは、サブでかるーくAマウントを使ってるだけの私などではなく、1985年、誰も彼もがミノルタの新製品に飛びついているのを、New X-700を手に唇を噛んで眺めていた誰かが持っているべきものなのかもしれませんね。


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