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smc PENTAX-D FA MACRO 50mmF2.8

 たまたま見てたカメラのナニワの通販サイトで、D FAのほうの50mmマクロが中古で見つかって。
 いや今のPENTAXからは新品買えよと言われると心苦しいんだけれど、WRじゃないから「絞り輪のある旧型」だと思っちゃった。フィルムで使うかもだしこっちがいいかなって。
 それが、モデルチェンジで絞り輪が消えてるのは100mmマクロだけで、50mmはWR版が出ずに現行のまま。勘違いしてた。

 前からsmc PENTAX-FA MACRO 50mmF2.8を愛用してたんですけど、古いレンズで、中古で手元に来てからも長くて、もうボロボロ。
 外装とめてるネジ脱落しちゃったし、でかいゴミも入ってしまった。多分さほど写りに影響はなさそうではあるけれど……。
 PENTAXのレンズって、レンズ側にモーターとか入ってないのが多いので、あんまり壊れるとこがない。機械的に作動しなくなるような種類の故障って、実際なかなかない。
 ちょくちょく使ってるとカビてアウトにはなりにくい。使うほどゴミ入って外装がヤレてとみすぼらしくなってはいくけど、まあ使えちゃう。
 でも状態悪いから売るわけにもな……、となって、長々引っ張ってしまいがち。

 そういうわけで、同じ機能のレンズを買い替える、というのは、PENTAX使って20年近くでまだ初めてのことでした。

スペックなど

 PENTAXの50mmマクロは、80年代後半にAF化された頃に作られて、そのまま同じ光学系で今なお現行品、らしい。
 少なくとも、リコーイメージングのサイトで見られるFA世代と、現行のD FA世代は、レンズ構成図は同じに見える。見えるだけで細かく違うとかガラスが違うとかあるかもだけど。一応D FAの方は新設計といっている。

 細かい中身はどうあれ、7群8枚の等倍マクロ、画角も同じ。使い方は変わらない。
 D FAとはいうものの、たしかD FA銘で最初期のレンズで、絞り輪がある。よって大昔のフィルムカメラでも使える。汎用性高い。

 しかし外装・鏡筒が大幅に改良され、大幅に軽量化されている。
 FAマクロは385gもあって、どうも単焦点にしてはやけに持ち重りする。
 これが265gにぐっと軽くなる。120gの差なんだけれど、PENTAXはボディが重くてレンズが軽いシステムで、重心が手元に寄るのが良いと思ってるので、結構この差は大きい。
  光学系同じで30%以上軽量化とかあるかなあ、と疑問に思ってたんだけれど、FAは光学系に対して鏡筒が長くて、前玉がフードがいらないくらい奥まっていた。それがDFAだと1cmも短くなっている。ピント無限遠のときに、前玉が大体鏡筒の先端に揃うくらい。
 多分、マクロ時に長く繰り出しても強度を保つために鏡筒を長くしてた設計が、そこまでしなくても強度取れるようになったんだと思う。

 FAにもついていたピントリングのクランプ機能は、FAではどうもゆるくなってしまってダメになることが多いみたい。私のもだめ。
 D FAになったらそれなりにクランプ力が上がったようで、ちゃんと効きます。ただ、前はダイヤルを回してロックだったのが、今度はスライドスイッチ。たまに誤操作してます。

 それから、D FAなのでクイックシフトフォーカスに対応。
 マクロレンズだと、近接撮影した後にうっかりそのまま電源切ったら、伸びたままになっちゃって危険。それでQSFが使えたら、電源切った後にレンズを戻せる。地味にめっちゃ役立つ。

フード

 FAだと専用フードの設定がなかったのが、今度はフード付きになった。
 マクロレンズでフードあると近接撮影時に邪魔、かと思いきや、フード取付部は繰り出しても前に出ないので、最短撮影時に大体フードの長さくらいに前玉がくるようになっていた。

 ただ、PLフィルターの操作窓がないタイプだった。
 噂によると、PENTAX独自設計のレンズはフードに窓があるけど、OEMレンズはない……という説を聞いたことがあったけれど、あれはちょっと怪しい説だな。このレンズがOEMってことは流石にないやろ。
 PL使うようなレンズじゃないだろ、ってことかもですが、私には50mmマクロはハイキングにこれ一本で出かけられる、マクロからスナップ、遠景までいける超汎用レンズのイメージなのだけど。

キャップ

 レンズキャップFが付属していて、これは縁をつままないと外せないタイプ。フードが深いこのレンズにこっちのキャップはちと不便。
 正面からつまめるタイプのO-LC49のストックがあったから替えたけど、これは最近のロットだと変更されてるんだろうか?

実写

 ほぼ同じであろうレンズを前から使ってるので、勝手はわかる。
 50mmマクロって、フルサイズで標準、APS-Cで中望遠になって、単焦点にしては暗いといってもズームより明るいF2.8、当たる直前まで寄れる、写り良いと、私なんかは常用レンズに一番便利な一本かなと思ってますね。

F2.8 1/30s ISO400

 真正面からシャッターを撮ったやつ。暗かったので開放。距離は2mくらいかな。
 開放だとある程度周辺光量は落ちますね。
 歪曲はほぼ無視できるレベルでしょう。(一応現像で補正かけたら変化はしますが)

 真ん中へん。

 左上隅。甘くはまあなってるけど、まあこれで困ることないかなと。


F5.6 1/180s ISO100

 距離はだいぶ違うけどまたこんな正面カットを、F5.6。
 2段も絞ると周辺光量も安定しますね。

 左上隅もこれで、まあバッチリでしょう。


F5.6 1/180s ISO100

 もちろんこんなふつーの撮影もこなすし、隅々まで特に写りに問題は見えない。


F4.5 1/180s ISO100

 遠景。なぜか青っぽくなったけどなんだろう。

 絞りがだいぶ開いてるとはいえ、左上の隅っこはひょっとすると荒れたかな。この距離でオフフォーカスでもない気がするし、左下隅も似たような感じかもしれない。


F5.6 1/180s ISO2200

 マクロらしく。
 50mmマクロだとどうしてもワーキングディスタンスが近くて、レンズの直前くらいまで被写体に近づかなきゃならない。マクロ撮影するなら100mmマクロのほうが使いやすいのも確かなとこ。

なんか手ブレしやすいと思ったけど

F2.8 1/30s ISO100

 この三雲城の登山道のカット、プログラムオート(標準)で撮ったらF2.8で1/30s。このレンズだと大体1/30sが下限になるみたい。
 まあ手ぶれ補正ついてて50mmが1/30秒でブレないだろ、という見込みに文句はないんですけど、PCで見るとブレてる?と思うカットが時々出ていた。

 左上の切り出しですけど、これ見て手ブレと思って。

 ピントが手前だったんですけど、これどう見てもブレてない。
(カメラが間違えて手前にしたんじゃなくて、私が手前に合わせてました。なんかこの石に注目しちゃった)

 どうもこんな癖の強い後ボケが出ちゃう場合があるみたいで、それが手ブレみたいに見えるらしい。
 FAのときこんな感じだったっけ。あんまり印象ないんだけれど。

F4.0 1/180s ISO560

 近接撮影のF4でそんな異様なボケ方してる部分は見当たらないかな。
 出る条件が見えてくると対策もできるけど、さて。少し絞ってF4で目立たなくなるか、距離があるところの微ボケに出る癖なのか、もう少し見極めが必要そう。

 少なくとも、絞り開放でちょい距離があると出る。曇りの日のアーケード商店街とかで撮影した時なんかに見られました。
 プログラムオートで絞り開放になっちゃうくらい暗めのとこで、暗いからちょっとAFも迷って前ピン気味になりやすく、それで二線ボケが出て、それがブレてるように見える、という流れで、なんか「手ブレしやすいのか?」と思っちゃったんですよね。
 K-1の手ぶれ補正で50mmの1/30sがブレるわけないだろ、なんか不具合が出てるのか? とまで思い悩んでました。

パープルフリンジ

 PENTAXのレンズって、パープルフリンジは出るのが多いっぽく(他社のレンズをそんなたくさん使ってないから、他所に比べてどうかまではちゃんとわからないんですが)、50mmマクロも例によって出ますね。
 PENTAXに慣れた私の基準だとそんな酷くはないですが。

F2.8 1/30s ISO200

 石垣の上の幟のまわり、木と空の境界にフリンジたっぷり。

 出てますね。

 ただ、D FAならDigital Camera Utility 5でフリンジ補正が使えるので、この程度ならオート一発で消えます。(FAでも手動補正はできます)

まとめ

 前から使ってた50mmマクロなんで、およそ同じ機能で120gほど軽くなったのはやっぱり嬉しい。
 レンズが重いと、カメラの重心が前方に移動してしまって、実際より重く感じる、というのが私がずっと主張している点でありまして。

 まあ、撮影する上では前から使ってたFAと変わるところはないので、新たに何か思うようなところはないんですけれど。
 好きなだけ寄れて、よく写って、画角もちょうどいい、何でも撮れる超汎用レンズだから、一本あったら大体解決するやつ。

 ほんとにFAは重いのがちょっと嫌だったんで、D FAになったら多分これがメインレンズになっちゃうと思います。また安く買った中古を使いまくってしまうのか。

50mmマクロ案外売れない説

 しかしそんな便利な50mmマクロって、案外売れないレンズだとも聞いたことがあり。
 まあPENTAXも20年近くモデルチェンジしてない(もし80年代後半からそのままの光学系なら35年くらい)あたり、100mmマクロより売れないんだろうなあ、とは思います。
 なんかRFマウントとかLマウントあたり、50mmマクロがないっぽい。今どき流行るレンズでもないのかなあ。

 まあ、花とか外で小さいものを撮るなら、中望遠マクロのほうが明らかに使いやすい。
 食卓の料理を撮るとかなら50mmの方が使いやすいでしょうけど、最近のは標準ズームでも寄れるから、別にマクロレンズ持ち出さなくても、と。

 エントリークラスの標準ズーム一本だけとか、ダブルズームの望遠しか持ってないところから、初めて単焦点レンズを買う、というなら、標準マクロっていい選択肢に思うんですけどね。
 エントリー標準ズームに比べると、ズームを犠牲にする代わりに、高画質と大きなボケと近接撮影能力で撮れるものが増える。ズームがなくなって撮れなくなるものも、50mmだったら少なくて済む。

 でも今どき、フルサイズセンサーのでかいカメラを買おうという人はそういう人ではないでしょうねえ。マクロなんだから100mmの方が便利だよ、という当然の判断をしそう。
 それでRFとかLマウントだと別に需要ないな、と判断されちゃうのかな。


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