稲毛大正ロマン (RICOH GRIII)
仕事で幕張メッセのCybozu Days 2024 東京ノーコードランドにいってました。なんで幕張は千葉県なのに東京っていってるんですか? 千葉県そんなん多くないですか?(関西人からの煽り行為)
徹底的に人工の土地だけれど、整然と無機質に美しく作っているとこでした。
稲毛
幕張メッセから便利な場所にある安いホテルを探して、見つけたのは稲毛。稲毛公園という、浅間神社すぐ近くのところだった。
私は一時期江戸川区に住んでいて、江戸川を渡って千葉方面に行くこともちょくちょくあったのだが、稲毛にいったことはなかったな。
なんというか若干語感に面白みがあるのとか、どういうわけか「いなげ麻雀」という単語を覚えてたりはしたけど、それだけ。
東側に、千葉市民ギャラリー・いなげという、特にスゴイ感はない施設がある。
美しい庭園の向こうに、やりすぎない程度に凝った造りのギャラリーがあった。
千葉市が以前やってた高齢者向け生涯学習グループのOBが引き続きやっている油絵の会が展示を行っていた。先生役をしているのであろう画家の方の絵が、なんというか写真やる人の画面づくりに近い感じがして興味深かったのだが、お名前が思い出せない。
そして隣には、神谷傳兵衛が別荘として建てた洋館が残っている。
みかはや銘酒店(今の神谷バー)を開いて、ワインにはちみつを加えて飲みやすくした蜂印香竄葡萄酒をヒットさせたひと。
そしてそれを元手に日本でぶどう酒を作るぞ、と婿養子をフランスに派遣してブドウ栽培と醸造技術を学ばせ、そして開いたのがシャトーカミヤ(今の牛久シャトー)。日本ワインの祖ですわね。
あと神谷バーといえば電気ブラン。そういえば飲んだことないな。これも縁だし今度買おう。
この別荘、5~6回ほど持ち主が変わっているそうで、その間に使っていた方が実用のために修繕整備をしている部分も多い。
シャンデリアも、平成に入ってから千葉市が整備した際に入れたやつもあった。この写真のやつは多分古いやつ。
床材とか石畳まで凝ってるのがいい。
一階は応接スペースだったらしい大きな洋室だったが、二階は外見からは想像できなかった和室。
なんだこの柱、と見てたら、掃除されていた職員さんがこれはぶどうの木だと教えてくれた。見ての通りひん曲がるタイプの木だから、柱に使えるようなのはなかなか難しかったろうと思うが。
教えてもらえないと気づかないけど、そのぶどうの柱の裏側に、こんな謎の丸木がぶっ刺すように取り付けられている。これ本当に謎らしくて、何のためのものかさっぱりわからないと。
廊下を見ると、唐突に洋館らしい部分が顔を出す。
障子の真ん中にガラスをはめているけれど、残念ながらガラスははめ替えられていて、いかにも明治大正の波打ったガラスではない。
また窓は、千葉市に譲られた時点でアルミサッシに替えてあったそうで、展示にあたって木製の窓に戻した。当時のものは失われていたけど、しかし実用されてたなら利便も必要だったろうし。
欄間にはハチとトンボ。ハチの方は香竄葡萄酒の、トンボはシャトーカミヤのトレードマーク。
立ち入りできないので写真もないのだけど、地下にはワインコーブらしい施設と、浴室があったとか。
終戦後に一時期GHQに接収され、米軍の将校が住んでいたころもあるそうだけど、その時に、ニ階に二間だけある小さな洋室を浴室に改造してたそう。そりゃ地下の風呂はいろいろ不便そうだし気持ちよくないよな。
裏手は松林になった小山で、そこが稲毛公園とされている。
多分かつてはこのあたり、白砂青松の浜だったんだろうねえ。今はすっかり埋め立てられて海岸線が離れているが。
稲毛浅間神社
公園から浅間神社にダイレクトに入れる通路があった。
浅間神社、関西だとほんとに珍しい。富士山を祀る神社だから富士山が見えないところでは全然勢力がない。大体北は福島・西は岐阜まで。
七五三もあって、子供連れがいっぱい。ゆえに社殿の写真も遠慮。
しかし実にきれいに整備されているな。
影を撮る。
千葉市ゆかりの家・いなげ
愛新覚羅溥傑が結婚当初に住んでいた家。1937年のこと。
建物自体は日本風で、溥傑が持ち込んだ清朝の品がいくつか展示されていた。あくまで当時の溥傑は近くの陸軍学校に勤める軍人で、豪邸というような家ではなかった。
この藤棚は、溥傑がこの下で写っている写真がある。
周辺が曇ったようなガラスだ、と思いきやこの細工。
豪邸ではない、とはいえこういう仕事は見ていて嬉しい。
なんとも小さくも美しいな。
影を撮る。
これはガラスの劣化だろうか?
小さな離れも建っている。
これは元々庭を眺める東屋があったところに、溥傑が来てから建てた……と近くで解説されているのを聞いていた。書斎にしていたそう。
それからこの脇を裏手に行くと防空壕があったり、白雲木の木があったり。
離れからはこんな感じの景色が見えていた。
日本家屋は庭が作る影が好きよ。