見出し画像

ウサギと食の関係

2021年5月8日(土)

我が家のウサギの食欲がなくなった
正確には「食欲がなくなった事に気が付いた」と言っても過言ではないだろう

なぜならばペットの体調不良というものは大抵、人間が気が付く頃には遅い場合が多いからだ

ウサギの食欲不振は命取りだ
何らかの原因で胃腸の動きが止まってしまうと、普段働いてくれている大切な腸内細菌が死んでいく

すると、胃腸にガスが溜まるのだ
ガスが溜まればお腹が苦しいし痛みを伴う
よって、食べなくなり水も飲めなくなる

だが食べなければ胃腸は動かない…
悪循環である

原因の根本は様々である
特定できる場合もあるが特定できない場合もある

いずれにせよこの、胃腸の動きが止まってしまう状態を「うっ帯」とか最近では「ウサギ消化器症候群(RGIS)」と呼ばれるようだ

ひと昔前までは、毛球症(もうきゅうしょう)と言って毛繕いをする際に飲み込んだ毛が溜まってうっ帯になると考えられていたようである

しかし現在ではうっ帯が起こったがために毛を排泄出来なくなるのではないか?と考えられている

“鶏が先か卵が先か”である

とにもかくにも、我が家のウサギの命が危ない
病院はもう閉まっている時間だったため後日、家族に頼んで病院へ行ってもらった

自分は仕事であるがゆえ、結果報告を待つしかなかったのだ…

5月9日(日)

家族が病院に連れていってくれた
結果、「毛玉かな?」との事

レントゲン検査で胃にガスが溜まっているのがわかったようだ

皮下点滴をしてもらった
粉の飲み薬を5日分もらった

どうやら様子見のようだ

その夜、点滴と飲み薬のおかげか自らフードを食べチンゲン菜を二枚食べた

牧草は数本食べただろうか…くらい
水も飲んでいる

本当はウサギの主食として欲しいものは牧草である
繊維質が豊富で咀嚼回数が多い
つまり臼歯をよく使い噛む必要がある

すると臼歯は磨耗する
そうすることでウサギの歯の延びすぎ防止になるのだ

…まあこれはペットであるがゆえの考え方だろう

本当は逆だ

ウサギという生き物は、草食動物で葉っぱや根を食べられるように歯が進化して一生延び続ける切歯(前歯)と臼歯(奥歯)を手に入れたのだから

ちなみに歯の不調が原因でうっ帯になるケースも多い

それはそうと、少し食べ始めたのは安心
このままうまく行けばいいが…

5月10日(月)~12日(水)

同じ調子
フードや野菜は食べるが牧草はほんの少し

いつもはチモシーというイネ科の牧草の一番刈りと二番刈りのミックスされたものを食べていたが、本来こいつは柔らかい牧草や甘みのある方が好き

なのでイネ科のイタリアンライグラスやチモシーのヤングというものをあげてみるがモリモリとは食べないようである

いつもなら飛び付くがやはり調子が悪い

5月13日(木)


自ら食べない

強制給餌という方法をとる
フードをふやかしてシリンジ…つまり注射器型のものにごはんを詰めて口に流し込む

すると食べる

そのきっかけで少し固形のフードや野菜を噛るが少ない

5月14日(金)


全く食べない

再び強制給餌
夕方仕事が終わったら病院に行こう

夕方
タクシーで向かうが午前診療が混んだため時間が押してしまい手術中のため午後診療は休診

なんてこった…

幸いにも明日は仕事が休みなのでそれまで様子見しかない
不安でしかない

5月15日(土)

病院にて

状況を説明
だが先生は焦っていない

自分としては死ぬかもしれないと焦っているのだが…
温度差

皮下点滴、そして前回同様の粉の飲み薬が出る

ちなみに歯は何ともないようだ
本当に何が原因なのだろう…自分としてはうっ帯したから毛玉が流れていかなかった説だと思っているので、毛玉が原因とは思っていない

…なんて、“元”動物看護士であるがゆえ色々考えてしまうのだが、プロにお任せするしかないのだ

様子見か…

しかしこの夜から全く食べない
強制給餌もだめである
口に入れても溜めてしまい、後からクチャクチャと全部吐き出している

ウサギは嘔吐ができない身体の構造である
ゆえに吐き出しているのは口に溜めていたからだと思われる

飲み込めなくなったか…


5月16日(日)

不安で仕方がない
やはり食べないのである

全部口からベロベロ出している
おいしい甘いリンゴでさえもベロベロ…

口の下はヨダレでベロベロである
おまえ歯が悪いのかよっ!ってくらい

しかし歯は伸びていないと診断されている
強制給餌を吐き出すためにクチャクチャやってヨダレっているのだろうか…

右の頬が腫れている気がする
頬の腫れというのはウサギでは伸びた歯が口の中で刺さって炎症を起こして膿が溜まっている状態が多いのたが…

謎である

同じ病院に行ってももうなす術もないのだろうか…
うっ帯ってどうやって治療するのだろうか…
どこかウサギの専門医みたいなところはないのか…

調べていくうちに、悩んでいるうちにあっという間に正午
病院は閉まってしまった

時間外は診てもらえないのだろうか…
働いている人にとって時間外はあまり良い顔はされない
獣医師はボランティアではない

少なくとも自分が勤めていた所の獣医師はそんな感じだった

怖くて電話すらできない
なんて不甲斐ない飼い主

日に日に弱っていくウサギ
明日、仕事を休ん……いや、そんな勇気もない
ペットの事で休んで良いのだろうか

しかし命が掛かっている
世の中にはペットの事で休む飼い主もいる

しかし自分には勇気がない
へなちょこ飼い主

休んだら誰かが出勤せねばならない
シフト体制の仕事だから
休みだったはずの誰かが出勤する
それをする勇気がない

さてどうしよう
さてどうしよう…

今夜は山なのか?
いや、今すぐにでも危ないのか?

どうする…どうする…

ウサギの「食べない」は命取り
元動物看護士ゆえ口を酸っぱくして言えるし知っている

でも、仕事を休んでまで行けるのか
こわい

…明日、ウサギの専門医らしき先生の所へ仕事の合間に電話して夕方診てもらえるか聞く

完全予約制らしいので、診てもらえるかは不明

で、だめだったらいつも行っている病院に電話してみる
午後休診だったら困るから…

もしかしたら今夜亡くなるかもしれない
もしかしたら明日病院に行けても亡くなるかもしれない

例えば全身麻酔により胃のガスの排泄や詰まっているかもしれない毛玉を取るとしても、麻酔に耐えらず亡くなるかもしれない

夜間救急病院があるのも知っている
しかし夜間救急の先生はこんな状態にして!と勤めていた病院の獣医師は怒っていた
しかもウサギを診れるかはよく知らない
なんか、連れていくのが怖い

あらゆるリスクを知っている
知っているがゆえ、怖い事もある

命を預かるということ
いまいちど、胸に深く刻んで

自分はもう、動物を飼うのはこの子で辞めようか…
そんな考えさせられる日々

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?