自分
動物編
タロウ②
タロウは、子だくさん。
近所にもいっぱい貰われていった子達がいる。
毎年のように子犬を産んで、もうそろそろおばあちゃんに近い歳なのに、またお腹が大きくなっていた。
さすがにこれで最後だろうと家族で話していた。
貰われそびれた娘のミルクもいるし、もうだいぶ近所や親戚、知人に子犬をあげて、どうしたもんか、という話は確かにしていた。
ある朝、タロウがまた子犬を3匹産んでいた。
相変わらず可愛い子犬ばかり。
私は朝早くから仕事なので、後は帰ってきてからまた考えようという事で一旦出社して、帰ってきたら子犬がいない。
さすがに今日産まれて全員貰い手ついた訳ではないと思い聞いたら、父親が川に捨てて来たと。
目が開く前じゃないとダメだからと、自分が出た後早々に捨てに行ったらしい。
本当に悲しかった。
初代太郎の件といい、動物の命を何と思ってるんだ!と言っても、これ以上犬増やす訳にはいかないからと。
確かにそうだが、新聞に載せるだとか、やり方はいろいろあった筈。
産まれたばかりの子犬を平気で川に流すという
気持ちが理解出来なかった。
その後タロウは、ご飯をあまり食べなくなった。
自分が産んだ子犬がどうなったのか、察したのだろうか、ご飯食べれば子犬に与える筈のミルクでお乳が張り、でも飲ませる子犬がいないからなのか、その両方なのか。
見ていて毎日悲しくて、申し訳なかった。
その年の冬、タロウは亡くなった。
その夜、大寒波が来ると予報があって、凍てつく外で丸くなって、まるで眠ってるかのような姿で。
悔しくて、悲しかった。
大寒波の予報があったのだから、もう少し風の当たらない寒くない場所に移動してあげればよかった。
毎年冬を当たり前に外で越していたから、たかをくくって何とかなるだろうと、考えてた自分が浅はかだった。
餌もまともに食べてない状態だったのだから、寒さに耐えられる筈がなかったのに。
これでは川に子犬を流した父親と同じじゃないか。
自分で自分を責めた。
タロウごめんなさい
自分がいかに自己中で、他者を軽んじてるか思い知らされた出来事であった。
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