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【随想】あれこれ考えつつも、まず書いてみようかな、と

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いのちなる 旅するなれば ひとの道 消ゆる知りても こころとは あとに残らむ ことだまの おさなきものの すなほなる 泣きていふやう ことのは響かむ
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2024年5月の記事一覧

【歌詞】『さくら貝の歌』/あいまいな言葉

 『さくら貝の歌』の調べは、優しきに好みの曲なり。  されど、男の恋心、女の恋心につき語り合ひしとき思ひたるは、末(すゑ)の行に「果てぬ」とあるは腑に落ちぬものなりと。  死して後も慕はるるは嬉しきことなれど、「果つ」に完了の助動詞「ぬ」が付きて、現世に儚く「消え去ってしまった、終ってしまった」と歌はるるは、長く慕はれまほしく思ふ女心に反し悲しきことなるとなりぬ。  平生、有名なる歌ひ手の歌ふ歌詞は次のやうに表記さる。  されど、原詩(原文)を探したるも見つけられず、下記

【歌詞】『浜辺の歌』/古文に隠された心情

 『浜辺の歌』は、大正時代の歌に古文が使われ、感傷的な要素が強いが、情景を想像しながら聴いていると意味の取りづらい歌詞が並ぶ。  これには、編集の際に、作者以の別人によって、第三節と第四節とがひとつにまとめられたということが定説としてあり、確証もなく不確実な事柄について憶測も幾つも重なり、このことから歌詞の内容をより不明瞭、不自然なものにしている。  歌の情景をもう少しはっきりさせるために憶測に惑わされることなく、文字として書かれた言葉の意味を拾ってみることにする。  歌詞