20190505投信経過年数

投資信託は安全・安心ではない! 日本の株式市場:平成の総括編

・投資信託を100万円分保有した場合の平均的な1年間の信託報酬はいくらかすぐに答えられますか?
・投資は長期でとよく言われていますが、20年間運用され、継続運用される投資信託は全体のうちで何%かご存知ですか?

もし、すぐにその答えを言えないようであれば、以下の記事を読むことを強くお勧めします。


令和の時代が始まり、新しいスタートという機運も盛り上がっています。しかし、テレビなどで平成がどういう時代だったかという振り返りの中で、株式市場がどのように推移したのか、さらには海外市場(特にアメリカ市場)と比べてどうだったのかを取り上げる番組や機会は少なかったのではないでしょうか。

日経新聞では2019/4/29の記事で、「長期の世界株投資+年金フル活用」で増やす老後資金」というような記事を出しています。

内容は読んでいただくとして、結論として、

”世界株指数に連動する低コストのインデックス型投資信託”買うだけ

下落が不安なら”半分を世界債券の連動投信”にすればよい

という至極当たり前の結論でした。その答えに異議を唱えるつもりはないのですが、なぜ「世界株指数」であって、「日経平均」ではないんですか?
日本経済新聞社の登録商標である日経平均では、なぜだめなんですか?
「日経平均に連動する低コストインデックス型投資信託を買うだけ」ってなぜ書けない・書かないんですか?


以前平成の株価を振り返る記事を書きました。
「Python で平成の株価を振り返る ダウとの日経平均の比較」

上記の記事でも書きましたが、平成の日本株の成績は約3割の下落でした。一方ダウは12倍になりました。この事実は、この期間、一部の立ち回りの上手な人を除いて、多くの日本株に投資した人は損を出している可能性が、高いということになります。株式投資は危険、損をするというのはこの結果を見れば当然正当化されるものであり、成功体験として、この次の時代もこの教訓は引き継がれていくでしょう。

逆に米国株は12倍になって、日本とは逆の成功体験を得たので、今後も(私も含めて)上昇する可能性が高いと思う投資家の資金が入ってくると考えられると思います。

私は日本人として、この結果に非常に落胆しています。自国の株価指数が米国と同じか、それ以上のパフォーマンスを上げることができていればいいのにと強く思います。米国の国民がFRBと大統領に期待するようなことが、日本ではできないのでしょうか。私も含めた個人投資家、日銀、金融庁、日経新聞を含めたメディア、機関投資家も、この株価指数の大きな差を改善すべく行動を起こすべきだと思います。

ただ、正論を吐くことと、個人としての利益とは別問題なので、実際の行動としては、米国株に投資するのが確率的に利益の出やすい行動ですね。もちろん、今後日本株に投資する方が合理的と判断できる場合には、日本株にも投資するとは思います。そうやって、平成の時代、情報・知識のある人は甘い汁を吸い続けてきたのかもしれませんね。


それでは、投資信託の現状を表すデータを紹介します。
2011年7月末時点で10年運用できた投資信託は3割だそうです。
20年運用できた投資信託は1割無いそうです。


こちらの調査でも同じような結果が出ていて、20年以上の運用に限ると3%しかないそうです。


金融庁のサイトでは投資信託の経過年数20年以上は2%程度でした。

https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170330/03.pdf

長期投資したくても、今ある投資信託のなかから2%の確率で、20年後も残っているものを見極めるのは極めて、難しいかもしれませんね。


金融庁の資料のなかには、投資信託を100万円分保有した場合の平均的な1年間の信託報酬はいくらであるか問う質問がありました。

正解の平均1万4千円に対して、4割の人が千円程度、6割の人が5千円程度と信託報酬を低く見積もっているそうです。いろいろ、示唆に富むレポートです。


また、こちらの論文では、日本の投資信託は設定後1年以内に運用資産総額のピークをつけるものが8割で、設定時が一番割高で、資金を食いつぶして終わるというようなことが書かれています。これば米国のファンドとは大きく違うと結論付けられています。

http://www.jsda.or.jp/about/kaigi/chousa/JCMF/hondaronbun.pdf

”日本の投資信託市場に特有な特徴として、設定された直後に大きな資金が流入し、そして設定後数年のうちに多くの投資信託から資金流出が見られるという傾向がある。”


これらすべての原因としては、焼き畑農業のように新しい商品を出しては販売して、手数料を取る販売慣行があると、上の記事では紹介しています。
このような平成の慣行を、令和の時代には引き継がないでもらいたいです。


事前に上昇する銘柄、投資信託・ファンドを見つけるのは難しいですが、悪いものを除くということは行いたいですね。投資信託の購入者側も気を付けていきたいものです。


「投資信託は安全・安心ではない! AI編」という記事も書いています。
興味あれば読んでみてください。


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