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数十年に及ぶ壮大な勘違いから書道家になってしまった話
今回は、自分がなぜ書道家になったかを振り返っていこうと思います。
まずはプロフィールから。
前田周成 まえだ・しゅうせい
神奈川県鎌倉市出身。斯華(このはな)会成家。2020年新人賞受賞。本名:前田成彦。幼少期に書道を始め、古怒田鵞心(祖母)に師事。浅野学園〜慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、住友商事株式会社入社。20代後半で編集者に転身。株式会社エイ出版社でロングボード専門誌の編集、ハーレーダビットソン誌の副編集長を経てフリーランスで活動。2011年に書道を再開し、前田心厚(母)に師事。2016年から2019年まで株式会社ドーム勤務。2019年、このはな会成家となり雅号「周成」を取得。2020年に再びフリーランスになると同時に書道家としての活動を開始。同年、このはな会にて新人賞を受賞。現在は鎌倉市と東京都内で教室を開校。イベントロゴなど創作活動も行なっている。
このように、流れ流れてブレブレの人生であります笑。
■数十年に及ぶ壮大な勘違いの始まり。
もともと祖母と母が書道の師範で、小学校に上がる前のペン字から始め、小学一年から祖母に習ってきました。
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初めて間もなく、祖母が「成彦には素質がある」と言ってくれました。
母からこのことを伝え聞き「自分は書道上手いんだ」と真に受けてしまいます。この時、私の数十年に及ぶ壮大な勘違いが始まりました…。
小6には中学受験があり、それ以降、大学まで部活などで忙しく、書道は自然と中断。
…いや、思い返せば中学時代に学校の授業で少し習いましたね。この時すでに基礎ができていたので、成績は10段階の10しか取ったことありません。そして高校時代は絵描きに憧れていたので、できることがわかっている書道は選択せず美術を取っていました笑。
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そして、大学時代はアメフトに没頭。
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卒業後は商社マンになり、忙しい日々を送りました。
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■約25年ぶりに筆を取り、思いの外スムーズに手先の感覚を思い出す。
その後、大会社のサラリーマンが嫌で、20代の終わりで専門誌をたくさん出している出版社(今はなき…)の編集者に転身。ロングボード雑誌の編集をやったり、ハーレーダビッドソン誌の副編集長をやったり。
人生で一番テンパる多忙な日々。年収は商社マン時代の1/3に下がりましたが、ハードで楽しい毎日でした。
その後はフリーランス編集者として独立。自分の小さな会社を作って、スポーツを中心に紙媒体の編集・制作を手がけていました。結構いろいろやりましたね。
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そんな中でも
「歳を取って時間ができたら、いつかまた書道をやろう」
という思いは心のどこかにありました。でも、これというきっかけもなく、日々はあわただしく過ぎていきます。
独立して5年が過ぎ、気づけばいい歳に。
確か2011年。ある書道家の方と偶然出会い、基礎を教わる機会をいただきました。
約25年ぶりに筆を取ると、思いの外スムーズに手先の感覚を思い出していきます。
あれ、俺やっぱりできるじゃん、書道。
気をよくして、わたしは再び書道にのめり込んでいきました。本当にチョロい性格だなあと、我ながら思います笑。
自分が書道家になるきっかけを作ってくれた祖母はすでに他界しており、母に教えを請うことに。
◼️将来のため「それなり」の努力はした。
当時は都心に住んでいたので、週末のたびに鎌倉に帰り、母に一対一で習いました。
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幼い頃から持っていた不思議な自信は、この時も揺らぎませんでした。再開してすぐに、具現化したいイメージに対し、手先の感覚がスムーズについてくるようになりました。
間もなく、生活の一定部分を書道でまかないたい、と思うように。そこで、祖母そして母が所属している斯華(このはな)会の成家(=師範)になろうと決めました。
フリーランス編集者は一生できるものでもなく、年を取ってもできる仕事をこのあたりで確立したいという思いがありました。そして何より、久しぶりに再開した書道がとても楽しかったのです。
で、そこから8年かけて昇段試験に課題を出し続け、すべて一発クリア(ちなみに8年は最短)。
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将来のため、それなりの努力はしたつもりです。「それなり」であって「死ぬほど」「泣くほど」とかではありません。
でも、そんなもんだと思います。
死ぬほど、泣くほどってのは苦行や荒行の話。そういう言葉を気安く使う人は信用できませんし、たぶんMっ気が強いだけ。
書道とまっすぐ向き合おうと思ったのは将来を切り開くためだし、何より、筆を持って半紙に向かう時間がとても好きでした。だから、多少頑張るぐらい何でもありません。夢中になっている人には苦労している自覚なんてない、ってことですね。
そして2019年11月、晴れて斯華(このはな)会の成家になりました。
雅号は「周成」。本名から一文字を取り、字画を考え、紹介していただいた占いの先生に授けていただきました。
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どうにか最短で「プロ」の領域まで辿り着くことができました。
それがセンスなのか何なのかは、わかりません。
ただ、おじさんになって始めたブラジリアン柔術がまったく上手くいかないのとは雲泥の差…笑。幼少期から何かを始めることのアドバンテージを痛感させられます。
まぁ、母に次いで三代目の成家となったことを、天国の祖母も喜んでくれていることでしょう。
◼️個の時代。自分の可能性をギリギリまで追求したい。
2020年、当時勤めていた会社を退職。約4年ぶりにフリーとなり、鎌倉に戻ってきました。
まずは食いぶちの確保から。フリーランス編集者として活動を開始します。
サッカークラブのいわきFCには前職の会社員時代のさらに前のフリーランス時代から関わっていて、引き続きお仕事することに。他にも、いくつかの会社のオウンドメディアのお手伝いを始めました。
どの仕事もとても楽しいです。
並行して、書道家としての活動を本格化させていきました。まず、自宅と都内の数カ所でささやかな書道教室をスタート。
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自らの創作活動も継続し、2020年、所属会派で新人賞をいただきました。
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そして、今。
教室はコロナの影響でやりにくい状況ですが、この春から少しずつ拡張していきます。
作品も作っており、まだ言えないのですが、いくつかイベントのタイトルを書いたりしています。展覧会にも出したいですね。
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今後、書道家としては教室とアーティストの両面でやっていくつもりです。
現在はフリーランス編集者の収入を中心に生活していますが、これから少しずつ割合を逆転させ、ゆくゆくは書道家一本で食っていきます(まだ先の話ですが)。
編集者の仕事もとても好きで楽しいし、今やめる気はまったくないです。でも、じいさんになって続けられる仕事ではないので…。
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「個の時代」といわれて久しいですが、書道家としてのチャレンジは自分の可能性を最後の一滴まで絞り切るためのアプローチです。
ソーシャルメディアを駆使して、自分一人、自分の腕と足りない頭脳で書道家としてどこまでいけるか…まったくわかりません。でも言います。
未来を恐れず、勇気を持ってチャレンジしていきます。
皆さん、よかったら応援してください。
きれいな美しい文字を書きたい、書道やってみたい。
そう考える方はぜひ、コメントかメッセージをくださいませ。
お待ちしています。
(終わり)
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