デジタル献花をした記録

こんばんは。ちかです。

ひと月ほど前、安倍元総理の国葬の日にデジタル献花を行なった。

もともと無感情ではいられない一連の出来事だった上、菅元総理の弔辞がトリガーとなり、言葉に残したいと思ったところに見つけたプロジェクトだったから参加を決めた。

泣きながら書くこと1時間、自分の気持ちを書き綴ったとき、言葉は世の中には無力だけれど「あらわす」という行為は私には有力だと思ったので、備忘録として、残しておきたいと思う。

色々な考えがあり色々な人がいる世の中だと改めて感じる日々、自分の想いには一等丁寧でいたいものだ。

なにより、ご冥福をお祈りしております。


*

安倍さん。私はあなたの作った国で育ったいち学生です。
あなたがコロナ期間も一生懸命声を上げて、日本を前へ進めようとしていたその姿をみていました。当時小さなリーダーをやっていた私は、先の見えない中懸命な決断を下す貴方に勝手に自分の境遇を投影し、毎日貴方の顔をみては勇気を貰いましたし、ニュースであれこれ言われている貴方をみては心を痛めたものです。
私、政治のことなんてわかることは多くありません。でも、安倍さんが、私たちの国をよくしようとしてくれていることはよく伝わってきた。伝えることはとても大変なことです、動かすことはもっと大変なことです。それを日本という大きな国を相手に働きかけなさる貴方を、私はとても尊敬しています。

夏の日、あなたのあまりにも残忍なニュースを聞いた時、私は学業を全て放り出し、大好きなインターネットを手放し、貴方の無事を祈りました。なにより苦しかったのは、あなたがいなくなった後、静かに弔うことができないほどの議論があったことです。貴方がやったことがあまりに大きくて、大きな問題になってしまったのでしょう。
でも、故人を弔うだけなのにどうしてこうも難しいことがあるのでしょうか? 貴方を憎むことはなくても、貴方が命を削った政治というややこしいものを恨んでしまいます。私は今でもわかりません。どんなに嫌なお人でも、私たち日本を作ってくださった前総理を国をあげて弔って何が悪いのでしょうか。デモも、国葬の議論も、それを取り上げるニュースも散々みましたが、私にとってそれはちっとも重要でなく、ただただ辛かった。貴方がいなくなったことよりも、もっと引き攣るような痛みです。
私は、心の底に海を持つような静かで寂しい温度で、あなたをしずかに弔いたかった。

しばらくの間、そんな理由で、貴方に関すること全てを避けていたのですが、今日、気付かされたことが二つありました。

あなたの国葬は、私の学校の近くで行われていて、研究室を出た私の目の前には、献花をするために並ぶ方々がさまざまないでたちでいらっしゃいました。驚きました。近いといえど、まさかここまで並ぶとは思いもしませんでした。出会ったこともない人だと思いますが、あなたの存在はそれほど大きく、国民一人一人の心にいたのです。しずかに弔いたい人がわたしだけでなくて安心したし、嬉しかった。ニュースに振り回されてはならないと心に刻んでいましたが、改めて思いました。政治も同じです。切り取ったものでなく、伝えようとした政治家の方々の全ての意思を知る努力をしたいと思ったのです。

また、菅前総理の弔辞を聞きました。こちらを書いているのは、あなたのご友人の言葉を聞き、いてもたってもいられなかったからです。

あなたの御友人の言葉を聞き、私はあなたがたった一人の人間だということに気が付かされました。国民のために働いたけれども、あなたも、家族がいて友人がいて仕事として総理をやっていた、たったひとりの国民だった。ご友人の言葉は、愛と尊敬と悲しみと、あらゆる深い感情に包まれ、貴方のために捧げられていました。
不謹慎かもしれませんが、こんなに美しいものをみたのは初めてかもしれません。人が人を愛し、そして別れることが、こんなに美しく儚く、言葉にできない痛みを伴うとは思いませんでした。あなたが生きていたことがこんなにも尊いものだと教えてくれたご友人の言葉は、22の、まだ身近な別れを知らない私には鮮烈でした。
ねえ安倍さん。わたしもそんな人生を、この国日本で歩みたいです。私の成し遂げることは総理じゃないと思うけれど、明日の日本が明るくなるように、今の若者としても、いつかの母としても、いつかの若者を応援する立場としても、精一杯生きようと思います。人を愛し、尊敬し、一目会いたいと思うような、そんな人生を歩みたい。教えて下すって、ありがとう。

これを書いていて、あなたの一生を政治と切り離すことは難しいということを痛感します。それだけ日本のために命をかけてくださってありがとうございます。

あなたのご友人、ご家族、あなたがいなくなって失意の底にある全ての方にどうか、あなたの優しいほほえみのような幸福が、平穏がおとずれますように。
そして、何十年も先であることを祈りますが、私がそちらに行ったら、その後何百年でも待つので、いつかあなたとお話がしてみたいです。


あなたの奏でた「花は咲く」を聞きながらあなたを思う時間を作れたことを私、一生忘れません。明日を目指し、あなたの優しい笑顔のような心を持てるよう、精一杯生きます。

散文失礼します。
ごゆっくり、お休みください。

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