お兄ちゃん
生まれてからずっとお兄ちゃんが好き。
だけど、2歳年下の妹の気持ちなんて兄にはちっとも伝わらない。
4歳 遊んでほしくて嫌がられても後ろを付いて回り、力で勝てっこないのに喧嘩して泣かされて。
8歳 それでも構ってほしいから、これからも遊んでくれるように誓いの紙を書かせて。
10歳 そんなことをしてもどうしたって一人で先に大きくなる兄に、追いつけなくて気付いてもらえなくて悲しんだ。
13歳 半分くれるおやつや修学旅行のお土産に喜び、家の外で話しかけるのを禁止され傷付き、
そうしてすれ違いの反抗期を5年ほど過ごした後、兄は進学のため家を出て行った。
私が16歳、兄が18歳。
それからのことはあまり覚えていない。
ただ、自分にお兄ちゃんがいたことを忘れてしまっていた。
20歳を過ぎて兄と関係を築き直すきっかけはいくらでもあった。でもうまく出来なかった。
いつだって一番に好きなのに、成長期の真っ只中をどう過ごしていたのか少しも知らないから、大人になった兄は初めて会う他人くらい遠い。
知らない間にまた、一人で先に大きくなってしまっていた。
そして私はいつも不実な妹。
とても大事にしていたおもちゃを壊してしまったことは何度もあるし、私のせいで恥をかかせたこともある。兄を困らせた話はキリがない。
兄が結婚すると言ったとき、もう二度と子供の頃のような関係に戻れないと思い複雑だった。
悲しいけど嬉しくて、
喜びたいのに切なくて。
両家の顔合わせの時に心に誓った思いは今も変わりはしない。
お兄ちゃんは私の誇り。
幸せでいてほしい。
それでいて何が兄の幸せか、今はまだ知らないから勝手に、
家族から大切にされて 愛されて
一人で涙を流すことがないように
と願っている。
本当は2人で飲みに行って、仕事や家族、将来のこと色んな話がしたい。だけどそれはまだまだ先になりそうだ。
これからも近くて遠い片思い。