良く言えば、運命。
ケンカしたなら仲直りが出来るけれど、ケンカはしていない。
だから仲直りするきっかけがない。
それでも会いたくて
会って話せることを願っていたら
見かけてしまった。
隣にいたミサの「怨念だね。」の一言で話しかけるのをやめた。
そうか、これは運命ではないのか。
何度も偶然会う
相手の事を考えている時に連絡が来る
同じ日に同じ場所にたまたま行く
それらは全て運命だと思っていた。
けれど私の現実は、怨念。
強烈な4文字に打ちのめされてる私を見て「そこに至るまでのあれこれを飲み込んで、すごく良く言えば、運命、かも?」と言うミサの顔が引いていた。
知らなかった。
双方に少しでも好意があれば運命だけど、関係性がなければただの偶然で、どちらか一方にしか好意がなかったらそれはストーカーや怨念など怖い話になるのか……。
運命なんかじゃなくていいから、せめて偶然と笑えるように、見かけても見てないフリをし続けるのだ。