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今週のひらがな「へ」
へへっ。
なんだか照れて笑ってしまうことが多かった。
4月初旬といえば大学の部活動の新歓シーズンだ。
私は某大4年生。競技ダンス部のマネージャーをしていて、例に漏れず新歓に勤しんでいた。この時期、4年生は基本的に就活を優先する。だが度が過ぎると後輩の負担がえらいことになるので、私は少し時間ができたときには部活に顔を出すようにしている。この日は新入生対象の部活動説明会の日だった。
その帰り、マックで1個下の後輩3人に言われた言葉。
「4年生の中で頼りになるの、こしひかりさんくらいだよねって。私たち話してたんですよ」
会計を全部持ってあげたからヨイショしてくれたのかもしれない。それでも嬉しくて、ただ同調しようもなくて、「へへっ」と言うしかなかった。
私は4年生だが踊らずに裏方として活動している、宙ぶらりんのポジションだった。めきめきと実力をつけている同期に対し、見本のダンスのひとつも後輩に見せてあげられない私。正直、後輩からどう思われているのか不安だった。
「踊らないのになんで部活にいるんだろうね」くらい思われていてもおかしくなかった。だからマックで言われた言葉は本当に本当に、嬉しかったのだ。チーズてりたまの季節にはきっと思い出すんだろう。
私の「へへっ」は多分、褒められ慣れていない自己肯定感が低い人間特有の鳴き声なんだと思う。何と返せばいいのか正解がわからず絞り出る音。
特に見た目にコンプレックスの多い私は、ビジュアルを褒められた時に心からの「へへっ」を発している。レスポンスの予測変換にそれしか無いんだもの。
紺スーツのジャケットの中にデコラティブなブラウスを着ていった日。
細身のリブニットワンピースだけで完成させていった日。
ワインレッドのオールインワンにパールネックレスを合わせていった日。
3日連続で、服が可愛い、オシャレだ、と褒めそやされた。それどころか「最近"良い女感"増したよね」と言われてしまった。いつも褒めてくれる女子に乗っかって、男子まで「本当そう思う」だなんて同調してくれて。逆に「へへっ」以外の何を発することができたのだろうか。
褒められ慣れていないとはいえ、何も望んでそうなったわけではないのだ。褒められたらそりゃあ嬉しい。ただ人間というもの、褒められることを想定して過ごしていると何となくそれが外に滲み出ることがある。そうなってくると何かいけすかなかったり、虚しく映ったりする。
「へへっ」は下手すぎる例だが、褒められることに対して上手すぎる返しを常備しているのも考えものなのかもしれない。
人はこれを「正当化」と呼ぶ。
【今週買ってよかったもの】
・チーズてりたま
後輩に奢ったり、親に「晩ご飯いらない」と伝えて行った内緒のお店の帰りに食べたりした。
・hinceのグロウチーク
友達の誕生日プレゼント。大変喜んでくれた。彼女に似合いそうな、イエベ春らしい色を選んだ。
・jill leenのももジャムネイル
その友達がくれた。私の誕生日に特に何も贈らなかったことを気にしたのか、買ってくれた。繊維が入っためちゃくちゃ可愛いネイルでずっと欲しかったので、とても嬉しかった。
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