ChatGPTの次はデバイスの革命が起きる

●どうもChatGPTやその他のLLMの進化はGPT5が出たあたりでそろそろ限界がきそうだ。

●しかしそもそもChatGPT4すらほとんどの人が使いこなせていない。

●誰もが使える形(例えばAI-phoneなど携帯への標準実装)になったとき次の革命が起きるのではないだろうか?

AIが進化していない?

この1年半、ChatGPT4と大して違わないモデルしか生まれていないことが我々AI悲観論者の間で話題になっている。
AIの進化の速度は明らかに鈍ってきている。
2022年では来年にはできると思っていたことが、来月にはできていた。
今では来月には出るかもしれないと思っていたGPT5を夏まで待たされている。

AIのユースケースもいくつか挫折が見えてきている。

東大松尾研は日本の公的機関で一番AIに詳しい集団だ。
OpenAIや東大松尾研ですら作れないなら、チャットボットとしての活用はもう厳しいのではないか―――。
他はどうかと言えば、翻訳界隈やプログラミング界隈は完全に塗り替わっているものの、そのほかの業種は今のところさほど変わっていないのではないだろうか。
ハルシネーションを起こすAIをどう活用するかという所で多くのベンチャー企業が躓いているように思える。

しかし、待ってほしい。

ここで出ているのはあくまで技術的な限界ではないだろうか?
それも商業的にコスパを含めてLLMがどこまでいけるのか、という限界が見えてきたにすぎないという話だ。

もちろんGPT5には期待をしている。
しかし一方で、次に革命を起こすのはLLM自体の性能の進化ではないのではないかと考えている。
GPT4の時点ですでに革命は起きているが、それが誰もが使える形になっていない。起こりうるはずの当然の未来にまだたどり着いていないのではないだろうか?

プログラミングの世界を変えたCursor

例えばCursorを見てほしい。
こいつは、プログラミングの世界を丸ごと塗り替えてしまったとんでもない化け物だ。
Copilotの推論機能が素晴らしいものの、基本的にはVS codeにGPT4を載せてワンボタンで使えるようにしただけだ。
たったそれだけで素人でも簡単にプログラミングができる画期的なCode editorができてしまった。

wordで似たようなことができればどうなるだろうか?小説を書きながらこの表現は何がいいかサジェストしてくれる。論文を書くのに面倒な整形など必要ない。それっぽい論文もAIが見つけてきてくれるだろう。データさえ渡せば勝手に論文ができあがるかもしれない。
Excelでは?やりたいことを言えば勝手に関数をかいてくれるだろう。Excel関数を使えない無能な老人役員はもういなくなる。
Powerpointにのれば、適当に指示をするだけでいい感じのスライドを作ってくれるだろう。
これらはChatGPT4の今の時点ですでに十分できることなのだ。しかし、それが誰もが使える形になっていないのだ。

GPT4で出来てしまう未来

今のChatGPT4でどのような未来が予想できるだろう。
まず、個々人に一台ロボットがあるはずだ。
こいつはなんでもやってくれる専用の執事だ。
その日きたメールを要約してくれ、興味のあるニュースをいいタイミングで教えてくれる。ユーザーの生活に合わせたセール情報などを教えてくれる。夕飯はバランスを考えたものをいくつか提案してくれて、冷蔵庫にある食材を参照して、勝手にネットで注文してくれる。夕飯を食べたら見たかったけど忘れていた映画が勝手に流れ出す。
このロボットはどのような形をしているだろう?持ち歩けるスマートフォンタイプか、それともAlexaのような据え置き型か、それとも人型ロボットか。

まだそれらが完全に積まれたデバイスがないのである。
LLMを全国民が使うには電力やGPU性能を食いすぎるという問題がある。

今スマートフォンに積むことを前提にした、2Bモデルという軽量モデルが開発中だ。初めてAIが載るスマートフォンはどのような形になるのだろうか。
おそらく一番高精度なAI-phoneを出したメーカーは、Appleのように携帯市場を塗り替えるだろう。

それともFigure1のような誰もが想像するロボット執事のようになるのだろうか。
この場合はせめて掃除洗濯ぐらいはこなしてほしいものである。今のLLMの深部情報の認識技術をもってすればルンバなど目にならないぐらい高性能なロボット掃除機ができあがるだろう。
こちらについては技術的にどうこうというより資金的にどれだけ安くなるかという問題の方が大きそうだが…。

おそらくchatGPTやその他のLLMはフィクション映画であるような全知全能の神には(性質的に)なれない。なれたとしてちょっと優秀であらゆる分野を知っている執事ぐらいだろう。
しかし、GPTが限界にたどり着いたとしても、我々はまだGPT4の入り口にしかいないのだ。
だれもがLLMを使えるデバイスの革命が起きたとき―――それが次のphaseなのではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?