売り上げ台数は果たして重要指標なのか?PS5はXbox Series X|Sの2倍売れている件
ハードウェアがどれだけ売れているかというのは、そのコンソールやコンソールの開発・販売元の優劣を探る上での指標としての価値はないと考えた方が良いかもしれない。
世界最大級のゲームパブリッシャーであるテイクツー・インタラクティブは、2024年2月の収支報告にて、PS5はXbox Series X|Sの2倍ほど多く売れていることを発表した。
PS5はXbox Series X|Sの2倍ほど多く売れている模様 テイクツー・インタラクティブの決算報告が示唆 (ign.com)
両コンソールが分類される、2023年12月時点で記録された第九世代コンソールの7,700万台の売り上げのうち、PS5が5,000万台に到達したと発表した一方、Microsoftは具体的な販売台数を明らかにしていないものの、7,700万台から5,000万台を差し引いた、2,700万台程度であることから判明したという話である。
ただ、このようなコンソールの販売台数の持つ意味は10~20年ほど前と比較して、相対的に低下していることは明らかである。というのも、SONYもMicrosoftも、ゲームビジネスにおいて異なるコンセプトで動いていることが随所に見られるからだ。
少なくとも、日本のゲーム市場を見てみると、両社の違いは明らかである。TVCMや電車広告などで、任天堂の次点でよく見かけるのはPSであり、Xboxの広告を見かけた記憶は一切ない。
つまり、Xboxは大衆向けの販売戦略を日本では一切取っておらず、コアなゲームファンの囲い込みやインターネットを通じた口コミなどにアプローチを限定して、強靭なニッチ層の獲得に注力しているのだ。
ただ、Xboxの本場とも言えるアメリカにおいてはその限りはなく、元々根強い人気があったこともあり、大衆向けの展開を進めている様子は見かけたこともある。とはいえ、世界三大家庭用ゲームとも言えるXboxが地域によって販売戦略のあり方に違いを設けていることを踏まえると、セールスの結果に大きなギャップが生まれていることも腑に落ちる。
正面からの殴り合いならまだしも、もはやSONYとXboxはハードウェアの販売台数を競い合う関係にとどまるようなものではなく、より「ソフト」な競争へと舵を切っているのかもしれない。
事実、両者は独自にゲームスタジオの買収を着々と進め、独占配信のラインナップも今後数年にわたって徐々に展開されることをアナウンスしている。競合との差別化は確かにセールスの確保において重要な意味を持つが、一ゲームファンとしては独占配信のようなクローズドな対応は止めにして、すべてのプラットフォームで等しくゲームを遊べるような環境の構築に注力してほしいものである。
Xboxのクラウドゲーミングは極めて革命的で開かれたプラットフォームであるため、この点においてはMicrosoftがSONYに一歩リードしていると言えるが、まだまだオープンな環境づくりの余白は残されているはずだ。
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