月のない夜を見る //210921四行小説

 犬の吠える夜なのに月はない。
 そもそもマクドとケンタッキーの月見バーガーを早々に食べていたというのに、友人が団子を作ると言うまで今日が十五夜ということを忘れていた。
 秋の霧雨は肌に冷たく、瞳も濡らす。
 ぼやけた視界に浮かぶ玄関灯の円を眺めながら、月は目の中にあるのかもしれないと嘯いた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?