布団の底 //211220四行小説

 布団の中には魔物が棲んでいて、いつも足を掴んで離さない。魔物の息は暖かく、一度触れば力が抜けてされるがままになってしまう。這い出すことも起き出すことも出来なくて、毎日のように敗北する。
 布団の底の魔物と目が合って、諦めるように仰向けになる。仕方ない。魔物には、麗らかな春の陽気と日曜日の空気がないと勝てないのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?