シメちゃった //220124四行小説

「私、シメちゃった」
 ボソッと言う君の声に、ぞわりと肌が粟立った。罪を吐露するような声色だった。何をしでかしたというのだろう。
「何を?」
「タラちゃん」
「……タラちゃん」
「お酒もたらふく飲ませてやったわ」
「なんてひどいことを。何でシメたんだい?」
「昆布」
「……なるほど。それは大変なことになった」
 明日の夜ごはんに思いを馳せる。なんてことをしてしまったのだろう。あまりのことに、腹が鳴ってしまいそうだ。
「鱈の昆布〆とか作ったこと無かったからさ、楽しみだよね!」
 一転して君は明るく笑う。その笑顔は、いたずらをした小学生のような可愛らしい笑顔だった。

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