秋服 //210927四行小説

 毎年思ってはいるのだ。秋なんて短いのだから、秋服なんか買っても着れる期間もあまりに短くすぐに冬服に移行してしまう。買ってもあまり着れない。
 だからどうした。
 好きな服を身に纏い、秋を楽しむ贅沢をその程度の理由で手離してなるものか。
 クロムグリーンのパーカーに細身のパンツを合わせ、去年もらった黒いフィルムカメラを首から揺らす。秋の匂いの漂う街で何を撮ろうかと高い空を仰いだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?