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どこよりも遅い2023シーズンJ3ガイド

2023年のJ3リーグが開幕した。(公開が遅すぎますが笑)。J1・J2と比べると、J3はどうしてもメディアで取り上げられる機会は少なくなる。しかし、このJ3というリーグのおもしろいところは、ポテンシャルの塊がたくさん眠っていることである。楽しみな若手の宝庫となっている。また、日本サッカーのレベルアップに伴い、J3のレベルも年々上がっており、実績のある選手も多く顔を揃える。今年もまた過去最強のJ3になるだろう。さらに、組織としての戦術レベルも高く、理想を追い求めるチームが多いこともこのリーグのおもしろさの一つだ。毎年波乱づくめのJ3。この『最恐』リーグを展望していきたい。

 今回の内容は、
・レギュレーションについて
・全クラブのオフの動向を含めた陣容の把握
・開幕して4節までの序列
・個人的に注目しているブレイク候補をピックアップ
・個人的な順位予想
・Jリーグのサポーターに協力していただいた
 『J3順位予想世論調査』の結果発表

となっている。


☆レギュレーションについて

最大のトピックはやはりJFLへの降格制度の開始。それについて見ていく。


今年のレギュレーションを見ると、JFLの中での昇格の枠を勝ち取る争いはより厳しくなり、自動昇格は1位のクラブののみのため、激しさを増すだろう。
J3クラブからすると、ライセンス保有クラブがJFLで2位以内に入らなければ問題はないのだが、仮に2位以内に入ってきた場合は、百年構想クラブの条件の撤廃や平均入場者数の努力目標化の変更によって降格の可能性は高まる。今年は、ラインメール青森など、昨シーズンライセンスを保有していたクラブが戦力を整えており、本格的に昇格を狙ってくるだろう。JFLへの降格というのはただの降格ではなく、Jリーグから除名されるという恐怖の制度になっている。前年度、上位やJ2にいたクラブが翌年低迷したり、場合によっては最下位に沈むことも少なくないJ3。どのクラブもまったく油断できない。
また、この制度が終盤戦のJ3を大きく変える可能性がある。今までは終盤戦で下位のチームは降格の危険性がないため思いっきりぶつかるだけであったが、今年は勝ち点1を狙う試合も出てくるかもしれない。これは昇格を狙う上位チームにも影響が出てくるため、終盤戦の戦いが昨シーズンまでとは大きく変わってくるだろう。これもまた興味深い点だ。
JFLへの降格制度は何をもたらしてくるのか。これは今シーズンの1大ポイントになる。

☆全チーム陣容把握

※新加入選手の()内は昨シーズンの所属

※昨シーズン最終戦のスタメンについてはややターンオーバーのような感じのチームもあるので参考までに。



ヴァンラーレ八戸


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 服部、小池
DF 藤井、下堂、赤松、板倉、佐藤、廣瀬、小林
MF 宮尾、野瀬、中村、坪井、丸岡
FW 島田、萱沼、有間

新加入選手:
GK 大西(←鹿児島)、相澤(←青森)
DF 饗庭(←高知)、加藤(←秋田)、蓑田←(相模原)、三ツ田(←松本)、長谷川(←ホンダロック)、
MF 稲積(←高知)、姫野(←富山)、山内(←札幌大)、妹尾(←鳥取)
FW 宮本(←長野)、佐久間(←千葉)

昨シーズン途中から指揮を執り、立て直しに成功した志垣監督が退任。昨シーズン途中まで富山で指揮を執った石崎信弘監督が就任した。元々、カウンター主体のスタイルだった八戸。今年はより、そのカウンターに特化した選手編成となっていると言っていいだろう。かなり石崎カラーが出ている。

システムは3−1−4−2で予想。
GKには、昨シーズン主に2ndゴールキーパーだった蔦のみを残し、経験豊富な大西と、一昨年のトライアウトで負った脊髄損傷の大怪我から復活を果たし、Jリーグの帰ってくる形となる相澤ピーターコアミも獲得。実力差はあまり大きくなく、激しい競争が期待できる。正ゴールキーパーだった服部を放出したが、それを埋めるだけの補強を行った印象。

センターバックは、主力含めほとんどの選手が退団。本職をCBとする選手では残ったのは近石のみ。新戦力は、とにかく高くて空中戦に強い選手を揃えた印象で、加藤、三ツ田、蓑田、かつて秋田に在籍していた饗庭など、元々カウンタースタイルのチームに在籍していた経験がある選手を補強した。さらに、ホンダロックSC(改名後→ミネベアミツミFC)からJ初挑戦となる長谷川を獲得。高い高い緑の壁が完成しそうだ。

ボランチには、藤枝、富山に続いて八戸にもやってきた、石崎サッカーの申し子姫野。リーグトップクラスのボールハント能力を持っていて、インテンシティーの高さが売り。石崎監督のことは知りつくしている。心臓部分にこの選手を持ってこれたのは大きい。マルチプレーヤーの相田、ベテランの山田らも残留した。

ウイングバックには、右は変わらず小牧と國分が中心化。小牧は昨シーズン、センターバックも務めたが、本職CBの枚数やサイズを見ると、今シーズンは右のウイングバックが主戦場となりそうだ。ただ、小牧は開幕直後、負傷離脱が発表されている。左は、昨季ブレイクの丹羽とJに戻ってきた稲積がポジションを争う形になるだろう。

シャドーの位置は、ブレイクした野瀬が移籍したものの、渡邉、佐藤、前澤など力のある選手が集う。さらに、G大阪下部組織出身で非凡な技術を持つ妹尾が加わり、ポジション争いは激化するだろう。汎用性もある選手が多く、特に前澤はウイングバックでの起用も考えられる。江幡、武部の2年目組は複数ポジションでの起用が考えられるが、ポジション争いに絡んでいきたい。

最前線は、主力の萱沼と島田が退団。代わりに、圧倒的なフィジカルを持つストライカーの『クマ』こと宮本が加入。石崎八戸に持って来いの存在が加わった。期限付きでの加入となったロマン溢れる大型ストライカー佐久間も楽しみな存在だ。

主力の多くが流出し、選手が約半分入れ替わる形となったが、主力級の選手を多数補強し、総合的に見るとプラス。クラブ史上最強のメンバーが揃っただろう。石崎監督のサッカーへの適応もまったく問題がなさそうに見える。手堅く勝ち点を積み重ねて上位に食い込んでくるイメージの石崎サッカー。洗練されればダークホースとはってもおかしくない。


○開幕4試合序列

守備が安定。少ないチャンスをカウンターやセットプレーで仕留めている。



いわてグルージャ盛岡 


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手: 
GK 野澤、松山、阿部
DF 戸根、牟田、小野田、蓮川
MF 小松、石井、奥山、モレラト、脇本、中村、中野、山川
FW ブレンネル、キム・ジョンミン、韓、鈴木

新加入選手:
GK 丹野(←川崎)、田尻(←鳥取)
DF 田代(←大宮)、李(←琉球)、石田(←相模原)、新保(←宮崎)
MF 藤村(←札幌)、松原(←明治大)、下上(←九州産業大)、アオチョン(←YS横浜)、水野(←はやぶさ)
FW ドウグラス・オリヴェイラ(←札幌)、佐藤(←神奈川大)


秋田監督が退任し、社長に。松原良香氏が監督に就任した。監督歴は2005年に現藤枝MYFCの母体である静岡FCを指揮し、東海1部リーグ優勝に導いた。2015年には相模原で、シーズン終盤のラスト3試合で指揮を執った。Jリーグで始動からチームを指揮するのは初めてとなる。目指すのは『アグレッシブに主導権を握るサッカー』。カウンターやセットプレーを武器とした昨シーズンの良さも残しつつ、ボール保持をベースに戦いたいようだ。

システムは、4−3−3と予想する。
GKは2枚看板であった、松山と野澤が揃って退団。ベテランの阿部も引退し、稲葉のみが残留。代わりに、川崎でチョン・ソンリョンの貴重なバックアッパーとしてチームを支えたベテランの丹野を獲得。ポゼッションの川崎からの加入で、ボール保持の面でもかなり心強い。さらに鳥取から田尻を獲得し、3人体制で戦う。

センターバックは、戸根、牟田、蓮川など主力の多くが退団。そこに経験のある田代と、同じ降格組の琉球から李を獲得。さらに、かつてのJ3最強クラスのセンターバック甲斐が残留。ビルドアップを強みとする成長著しい深川も控えており、打撃は最小限には留めたか。

サイドバックは、両翼にボール保持に適正のある石田と新保を迎えた。特に、唯一の本職左SBとなる新保には期待がかかる。新スタイルの今シーズン、この2人がキーマンとなる可能性は高い。既存の加々美、宮市、さらにはボランチとサイドバックの両方をこなすレフティーのルーキー下上も控える。田平の左SBでの起用もあるか。

中盤は、ボール奪取能力に長けた小松や石井が退団。しかし、ポゼッションでより力を発揮する弓削、増田、和田、中村が残留。そこに、藤村と関東大学サッカー王者の明治大学の中心選手であった松原が加わり、充実の陣容となった。明治大学の栗田監督は、松原を『チーム1のテクニシャンで展開能力があり、チームの心臓だった。』と太鼓判を押している。

ウイングは、昨シーズンプチブレイクしたオタボー(左)と、秋田前監督が『左利きでメッシのような選手』と形容する2年目のドリブラー桐(右)が中心となるか。J1王者マリノスからの期限付き移籍を延長した南、昨シーズンは4試合の出場に留まったチャン・ヒョンスや上笹貫も控えており、実力は拮抗して激しいポジション争いが予想される。しかし、奥山の流出は痛手だ。

最前線には、退団したブレンネルに代わって、J3破格級のドウグラス・ヴィエイラを獲得。さらには強さと巧さを兼ね備える10番クリスティアーノも残留。強烈な2人にルーキー佐藤が割って入れるか。

助っ人外国人二頼りがちな印象があったここ数年間だったが、松原監督のもとどう変化していくのか。降格後即昇格を目指す。


○開幕4試合序列

前線に人数をかけていて、サイドバックも高い位置。宮市がWGに入り、高さで優位性。



福島ユナイテッドFC


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣 

※訂正:星野→長野

退団選手:
GK 安西
DF 新井、八木 
MF 北村、諸岡、橋本、新井、遊佐
FW 髙橋、栗原、賀澤

新加入選手:
GK ファンティーニ(←山口)
DF 宝納(←佐賀東高)、鈴(青山学院大)
MF 宮崎(←岡山)、古林(←湘南)、粟野(←仙台大) 
FW 三木(←藤枝)、塩浜(←順天堂大)、城定(←産業能率大)


昨シーズンは服部監督が就任し、序盤戦は大躍進で首位に立つも、最終的には11位フィニッシュ。内容は良くても、得点を奪えずミスから失点して結果がついてこないという試合が目立った。
スカッドは、主力複数が移籍。補強は、ルーキーと経験豊富なベテランを獲得し、バランスをとった印象だ。ポゼッションスタイルの土台はある。さらなる積み上げができるか。

システムは3−2−4−1と予想。
GKは、J3ナンバーワンと言ってもおかしくないほどの圧倒的な存在である守護神山本が健在。期限付き移籍から復帰したファンティーニや大杉、上川はその背中を脅かしたいところ。

センターバックは、スピードのある貴重CBで、元FWの経験を生かした攻撃参加も持ち味の雪江、ビルドアップの安定感、空中戦と対人でJ3破格級のクオリティーを見せる大武、サイズは決して大きくないが、フィジカルの強さを武器とする堂鼻が3人揃って残留。最終ラインにこの3枚を残せたのはかなり大きい。さらに、宝納と鈴のレフティーのルーキーコンビが加わっている。

ボランチはキャプテン諸岡が秋田に個人昇格。ゲームを作れる上畑や大型ボランチの大森がその穴を埋められるか。力をつけてきている柴や特別指定選手として10試合Jのピッチを踏んでいる粟野も楽しみな存在だ。福島のボランチはボールさばきの能力はかなり求められる。

ウイングバックは、左で不動の地位を築いた橋本が移籍。しかし、J1での経験もありクオリティーの高い古林と宮崎が加入。宮崎はゲームを作れる能力を買われて、中央よりの位置での起用も考えられる。そのうえ、田中の慰留にも成功。田中に関しては、古林の加入に伴い、左での起用もあるか。MFのポジションならどこでもこなせる清田も控えており、充実している。

前線は、エース髙橋とシャドーの新井が退団。最前線の髙橋がいなくなったため、ロマンの塊の長野が、今シーズンはCFで起用される可能性がある。それにより、ボランチ起用が多かった樋口がシャドーの位置にポジションを上げる可能性も。新戦力は、磐田から行き先を変えて武者修行継続となる三木、ルーキーの塩浜、城定を補強。レフティーの城定は、高校時代は市立船橋で1年生で10番を託されていた関東大学サッカーリーグ2部のベストイレブン。名字を英語表記すると『JOJO』。名前だけでなく、プレーでも強いインパクトを残せるか。塩浜は、静岡学園10番→順天堂大学10番という華々しいキャリア。高いテクニックを駆使したドリブルや両足非凡なシュートセンスを武器とする。1年目から20ゴールという高い目標を設定している。期待のブレイク候補だ。
また、昨シーズンはジョーカー的存在だった10番森も、本領発揮のときが待たれている。

主力放出の影響はあり、戦力的な低下は否めない。しかし、土台はあるので若手の台頭次第では上位に来てもおかしくない。


○開幕4試合序列

ファイナルサードでの迫力がほしいところ。惜しい試合を勝ちに変えれるか。




YSCC横浜


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 石井、谷
DF 宗近、西山(雄)、橋本、中村、吉野
MF 神田、和田、吉田、古宿、植村、アオチョン、宮内
FW 河辺、林、韓、大泉、古山
 
新加入選手:
GK 岡本(←岐阜)、児玉(←福山)
DF 二階堂(←新潟医療福祉大)、大嶋(←中京大)
MF 小島(←千葉)、中里(←鈴鹿)、福田(←今治)、松村(←藤枝)、沼田(新潟医療福祉大)、大竹(桐蔭横浜大)、大越(桐蔭横浜大)、道本(←YS横浜セカンド)、冨士田(←日体大)
FW 萱沼(←八戸)、吉井(←讃岐)、田原(←産業能率大)、坂本(←関東学院大)

(3月29日、FW長身のカルロス・アローヨ加入)

まずはじめにだが、このクラブは今シーズン旋風を巻き起こす可能性を秘めていると思っている。昨シーズン途中から女子サッカーの名将、星川監督が就任。徐々に勝ち点を積むペースを上げて、右肩上がりでシーズンを終えた。理詰めの緻密な戦術的サッカーのクオリティーをさらに向上させるべく、今年は例年とは違い、Jリーグで経験のある選手を複数補強。毎年恒例の海外クラブからの謎ルートでの補強はなく、大学でもトップクラスの選手を含めた名門大学の選手中心の補強を敢行。敏腕監督の緻密なサッカーが選手たちのポテンシャルを爆発させるか。

システムは3−1−4−2と予想する。
GKは昨シーズンの正守護神佐川を新加入の岡本と児玉が追いかける形になるか。J初挑戦の児玉は足元の技術に自身を持つ。今シーズンも3人体制となる。

センターバックは、チームの柱として8年間に渡り在籍した宗近が移籍。バックアッパーも複数名退団したこともあり、今シーズンはボランチを主戦場としながらCBも兼任としていた土館が、CB中心の起用となるかもしれない。宗近が抜けた今シーズンは、藤原にも昨シーズン以上のものが求められる。ポジション争いは土館と藤原が中心となりそうだ。残りの一枠はインカレ準優勝の新潟医療福祉大学のディフェンスリーダー二階堂が楽しみな存在。サイズこそ大きくはないが、ジャンプのバネがあり、出足の速さを活かして後ろに余らない攻撃的な守備も持ち味としている。足元も非凡で、スタイルにも合いそうだ。既存の花房やサイズがありながら両利きで起用な大嶋も絡んできそうだ。

ボランチは新10番の山本。星川監督就任後に一気に序列を上げた選手だ。自慢のパスセンスで、チームの絶対的存在となるか。経験豊富な中里や小島も加入し、松井も健在。クオリティーの高い選手が集っている。

ウイングバックは、右は引退した吉田明生の8番を継いだ柳が中心となりそうだが、手薄なCBを務める可能性もある。脇坂が長期離脱しており、菊谷や古賀といったシャドーが本職の選手が1つ外に流れてくる可能性もある。
左は、インカレ優勝の桐蔭横浜大から大越とインカレ準優勝な新潟医療福祉大から沼田が加入。大越は左右両翼こなせて、足元の技術も高い。沼田は、沼田皇海と書いて(ヌマタスカイ)と読む。高精度な左足を持つレフティーだ。

シャドーは、J3から福田、松村と実力者を加えた上に、主力のロリスティネッリや古賀、菊谷、田場らが残留。大津高校時代に高校サッカー選手権得点王の大竹にも注目だ。選手数とクオリティー両面でかなり充実した陣容となった。

最前線は、経験のあるパワフルなストライカー萱沼が加入。エースとしての活躍が期待される。吉井やピーダーセンらがその座を脅かすことができるか。林や河辺といった、昨シーズン数字を残した選手の穴を埋められるか。大きなポイントとなる。


○開幕4試合序列

ツートップだけで攻撃を完結できる新たな強み。ただ、そこに頼りがち。失点が短時間で重なりがち。




SC相模原

昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣 


退団選手:
GK 圍、柴崎
DF 水本、鎌田、渡部、川﨑、石田、夛田、白井、蓑田、藤原、面矢、福島
MF 藤本、高山、梅鉢、川上、中原、中島、持井、松橋
FW 浮田、船山、野澤

新加入選手:
GK 猪瀬(←琉球)、古賀(新潟シンガポール)
DF 水口(←中京大)、山下(←拓殖大)、加藤(←浦安)、國廣(←SHIBUYA CITY)、栗原イブラヒムジュニア(←清水)、綿引(←宮崎)、温井(←藤枝)、橋本(←福島)
MF  金城(←VONDS千葉)、吉武(←延岡AGATA)、牧山(←国士舘大)、佐野(←法政大)、西山(←東海大)、デュークカルロス(←長野)、伊藤(←東洋大)、若林(←法政大)、藤野(2種)
FW 左部(←桐蔭横浜大)、前田(←東洋大)、松澤(←武蔵野) 


Jリーグ史に残る衝撃の大変革と言うべきだろう。DeNAの連結子会社化をし、戸田新監督含め、新加入のほとんどの選手を3年契約と公式リリース。また、とある選手は本職ではないポジションへの挑戦を加入と同時に表明したりと、まさに異例だ。主力はほとんどが退団。契約を更新した選手はごく小数で、大量の有望な大卒ルーキーたちが加入。その中には、関東大学サッカーリーグでトップクラスと言ってもいいようなレベルの選手も複数。JFLや地域リーグからの加入も多い。27人という多くはない人数での体制で、マルチプレーヤーもしっかりと確保。J3でインパクトを残したり、一花咲かせたい選手も要所で補強。かなりの戦術家であろう戸田新監督はJリーグで初めて指揮を執る。おそらく、緻密に作り上げていくのではなかろうか。そんな戸田監督の参謀に、湘南から経験豊富な高橋ヘッドコーチがついた。これは相当心強い。Jリーグ初挑戦の監督は理想と現実のギャップに苦しむことも多いが、強力な参謀がついたことは大きなプラスとなりそうだ。

システムは4−4−2で予想。
GKは新加入の猪瀬が中心となるか。正確なキックが持ち味で保持の面も比較的安定しており、戸田監督の志向するスタイルにもマッチしそうだ。既存の唯一の30代竹重、川島、未知数な部分が多い古賀もポジション争いに絡んでいきたい。

センターバックは左は拓殖大から新加入のレフティー山下が有力か。ゲームメイク能力もあって、リーダーシップも併せ持つ。右はフィジカル的な部分でかなり自信を持っている水口か。トライアウトからの加入で、今年からCBへのチャレンジが公表されている栗原イブラヒムジュニアや、SHIBUYA CITYから戸田監督についてきた形になった國廣。浦安のJFL昇格に貢献した加藤は右サイドバックの兼任になりそうだ。

サイドバックは、ボランチを主戦場としながらポリバレント性があり、右SBも遜色なくこなす田中が1番手か。数少ない既存選手の1人で、Jリーグで100試合近く出場しているのでチームを引っ張る役割が期待される。攻撃的SBで一級品のクロスを持つ宮崎から加入の綿引もいて、加藤もプレー可能。激しいポジション争いになりそうだ。
左は、昨シーズン福島で5ゴール・4アシストという結果を残した橋本を獲得。温井も加入し、サイドバックは左右ともに充実していると言えるだろう。

ボランチは、東福岡高校出身で確かな技術と局面を変えられるキックも武器の牧山や、法政大学の中心選手であった佐野の大学生コンビが組む可能性はあるだろう。レフティーの西山も含め、レベルの高い大卒ルーキーが揃っている。宮崎県リーグから加入の吉武や、最終ラインでもプレー可能な様々なリーグでのプレー経験がある金城ジャスティン俊樹もいて、なかなか序列が読みにくいポジションだ。

サイドアタッカーのポジションには、フィールドプレーヤー最年長で高いテクニックを持つ安藤と、法政大学から新加入のスピード豊かなドリブラー若林が有力か。強烈なパワーとスピードを持つデューク・カルロス、昨シーズン特別指定選手として既に得点を挙げている伊藤も楽しみな存在だ。

最前線は、インカレ覇者の桐蔭横浜大から左部(サトリ)が1番手か。川崎に加入した山田新・水戸に加入した寺沼星文とツートップのレギュラーを争った。確かな得点感覚の持ち主で、サイドでもプレー可能だ。相方には復活を遂げた藤沼が有力。同じ大宮組の佐相、点の取れるチャンスメーカー前田らも控える。そして、Jにカムバックしてきた大型の松澤。サイドでもプレーできる選手も多く、タイプ的にもいろんな選手がいる陣容だ。

ポテンシャルしかない若い選手たちを中心としたプレーヤーが戸田新監督が思い描く画をうまく共有して、表現できれば、爆発して昇格争いに絡んでくる可能性は大いにあるだろう。


○開幕4試合序列

システムという概念をぶち壊すような特殊で、戦術的なサッカーを展開。今後上がってきそう。




松本山雅FC


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
DF 大野、三ツ田、田中、安田
MF 佐藤、外山、中山、田中パウロ、吉田、山田
FW ルカオ、横山

新加入選手:
DF 藤谷(←北九州)、志村(←富士大)、藤本(←関東学院大)
MF 喜山(←岡山)、米原(←甲府)、滝(←清水)、村越(←青森)、濱名(←松本大)、國分(←大阪学院大)
FW 渡邉(←横浜FC)、鈴木(←群馬)、ルーカスヒアン(ファルコンFC)、新井(←神奈川大)、田中(←松本U-18)


昨シーズンは、至上命題に掲げたJ2昇格を逃した。勝ち点1差で逃した形になったが、数字以上にチームとして、いわきや藤枝と大きな差があっただろう。そんな中、名波監督を契約満了とし、霜田正浩新監督の就任を発表。Jリーグ参入から、どちらかというと、ずっと『守備に重きを置いたカウンターベースのサッカー』だったが、今シーズンは一気に、『守備も攻撃、自分たちがボールを持って主導権を握る攻撃的サッカー』を目指すことになる。昨シーズンの主力選手は複数名退団となったが、流出は最小限に抑えたのではないか。どちらかというと戦術目などの問題が大きかった昨シーズン、松本山雅がどう生まれ変わるのか注目だ。

システムは4バックで4−2−1−3か有力か。

GKは昨シーズンと同じ4人。ビクトルが最有力か。しかし、若い薄井と神田はボール保持の面で適正あり。神戸とのプレシーズンマッチでは薄井が存在感を発揮。高い壁を超えられるか。

センターバックは左利き&長身&足元の技術がある程度あってフィードが武器というハイスペックの常田が1番手か。今シーズンはより強い責任感も抱いているようだ。相方には、充実した時間をオフシーズンからキャンプまで過ごした篠原か。いぶし銀の守備力と足元の巧さがある。しかし、野々村も名乗りを上げてくるだろう。高さと強さがあって、ビルドアップも日々成長中。今後、松本山雅の砦となっていかなければならない存在だ。ベテランの橋内も黙ってはいられない。若手も高いポテンシャルを持っている。

ボランチは、キャプテンも務めボール奪取と配給ともに標準以上のクオリティーを持つ安東と7年ぶりに松本に帰還したレフティーの喜山が有力か。パウリーニョはボール奪取力は圧倒的だが、少しボール保持に不安があるか。2年目の住田スーパーボランチへと覚醒が期待される。稲福はサイドバックにも挑戦したりと複数ポジションを担う可能性がある。
しかし、安東が開幕直前に負傷離脱。パウリーニョが起用されるか。

トップ下は、間違いなく今シーズンチームの中心となる菊井が務めるだろう。攻撃的にシフトするため、彼の才能がより解放されることも期待される。今シーズンは数字も残していきたいところ。覚悟の復帰となった鈴木国友はトップ下で試されている模様。ルーキーの國分はガンバ大阪ユース出身で確かな技術を持っている。

前線の3枚は、プレシーズンマッチの神戸戦の右から滝、渡邉、榎本の並びと予想。右は滝、村越が主にポジションを争う形となりそうだ。中央は渡邉と小松と田中が務めるだろう。田中はWGでプレーすることもありそうだ。左は榎本と濱名が主に争い、新外国人のルーカスは左右両翼でレギュラー奪取を狙うだろう。榎本はこれまではいわゆるトップの位置を本職としてきたが、今シーズンはWG起用が軸。高さのミスマッチを作ることができるという点と、おそらく純粋なウインガーという動きはしないのでかなりキーポイントとなりそうな選手だ。

体制の大幅変更の割に選手の入れ替わりは少なく適応に不安はあるが、戦術の浸透はかなり順調と言われている。今後が楽しみなチームだ。


○開幕4試合序列

新スタイルは想定より順調に浸透。右サイドが抜群2良いが、左がやや停滞気味。課題はファイナルサードでの手詰まり感。試合終盤のスタミナ低下が懸念点。




AC長野パルセイロ


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 大内
DF 乾、川田、敷田 
MF 水谷、坪川、山口、住永、東、デュークカルロス、牧野
FW 宮本、佐野

新加入選手:
GK 濵田(←大分) 
DF 大野(←松本)、佐古(←東京V)、西田(←横浜FM)、砂森(←鹿児島)、鈴木(←長野U-18)
MF 西村(←北九州)、近藤(←愛媛)、音泉(←水戸)、安東(←栃木シティ)、丹羽(←早稲田大)、青木(←松本大)
FW 進(←愛媛)、木原(←浦和)、高窪(←FC徳島)


毎年J2昇格候補に挙げられながら、かれこれ今年で10年目。コストを抑えながらも実力者の補強に成功。昨シーズンにつづき、シュタルフチルドレンもさらに加わった。主力の放出はキャプテンを務めた水谷とGKの大内のみ。主力の大部分の遺留にも成功している。土台ができあがったシュタルフサッカーに過去最強のメンバー。10度目の正直を狙っている。

システムは、3−3−3−1で予想しているが、昨シーズン後半戦は4−2−3−1との可変システムを採用。変幻自在というイメージを持っていいだろう。

GKは大内が退団。補強は公式戦出場経験のない濵田のみ。バックアッパーを務めていた矢田貝が正守護神に名乗り出るか。唯一やや不安なポジションだが、昨シーズン松本山雅のGK陣を引き締めたシュナイダーコーチが加わったことは大きい。

センターバックは、スピードを生かしたカバーリングが武器の今までいなかったタイプの大野が加入。シュタルフチルドレンの池ヶ谷やキャプテンを務める秋山、杉井といった主力は健在。大型のレフティー佐古なども加入し、層はかなり厚くなった。加入数がかなり多くなっており、杉井を1つ前のWBでも使えるような形となった。

アンカーのポジションは、地元紙によると、宮阪と新加入の大型MF西村、練習試合でのアピールを見せている丹羽、川崎からの期限付き移籍延長の原田の4人での激しい争いとなっている模様。

ウイングバックの位置には、右は音泉と船橋というパワフルなシュタルフチルドレンコンビという充実の陣容。
昨シーズンのサッカーでいくと心臓部分にあたる左WBは、杉井が入るか。新加入の砂森は正確な左足のキックを持つ。与えられるタスクも注目だ。また、船橋は左右どちらもこなすことができる。

2列目の3枚はシュタルフサッカーの最大の理解者で様々な局面に顔を出す佐藤、経験豊富で高い技術を持つ新加入近藤、左サイドを切り裂くドリブラー森川の3枚が有力か。佐藤に関してはMFの複数ポジションをこなせる。さらには、長野県出身の新10番山中、藤森、三田など豪華なメンツが揃う。森川は開幕直前に負傷離脱となっているもののこれだけの層の厚さを誇っているので問題はないだろう。
※近藤もその後離脱

最前線は、昨シーズンキャリアハイの9ゴールを挙げた山本と、YS横浜時代にシュタルフ監督のもとでブレイクした、飛び出しとクロスに合わせることを得意とする進が争う形になるか。進は練習試合でも得点を量産しており、再ブレイクへの期待が高まる。期限付き移籍先で結果を残した高窪や、ポテンシャル抜群の木原も控え、層は厚くなった。


○開幕4試合序列

(開幕戦、守備時は3−1−5−1)

昨シーズンよりプレス積極的。ただ、終盤ややガス欠気味なことも。可変システムは昨シーズンからやや変化?戦術的で面白いサッカーをしている。





カターレ富山


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 山田、西部
DF 鎌田、鹿山、髙山、濱
MF 姫野、松本、堀、チェンビンビン
FW ルイスエンリケ

新加入選手:
GK 柴崎(←相模原)、田川(←横浜FM)
DF 下堂(←八戸)、大森(新潟シンガポール)、鍋田(←桐蔭横浜大)
MF脇本(←岩手)、坪川(←長野)、伊藤(←東海学園大)


昨シーズン途中から監督に就任した小田切監督が、今シーズンは開幕から指揮を執る。戦力の入れ替わりは最小限。手薄なポジションにピントポイントでの補強を敢行した。期限付き移籍延長組を含め、クオリティーの高い選手が多い攻撃陣は健在。小田切監督就任後、課題だった得点力が改善傾向にあり、攻撃陣にかかる期待は大きい。掲げている『攻守に渡ってアグレッシブなサッカー』を体現し、今年こそ昇格なるか。戦力と土台は過去最高レベルできちんと整っている。


システムは、小田切監督就任後に定着してきた4−4−2が今シーズンも有力視。

GKは、正守護神を務めてきた山田が移籍。引退した大ベテランの西部に代わり、大ベテランの柴崎が加入した形になった。さらに、J1王者の横浜F.マリノスから若い田川が加入した。ただ、柴崎以外は実戦経験が少ない選手での構成となっていて、やや不安なポジションとなるか。

センターバックは、得点もとれるCBの林堂が軸か。その林堂の相方は大畑が有力か。今瀬や新加入の下堂といった面々と熾烈なメンバー争いとなるか。大怪我の影響で大学生活を5年間送り、プロへの切符を掴んだ鍋田も注目だ。ただ、怪我人の関係で大畑が今シーズンも右サイドバックに回る可能性が出てきた。その点について、サイドバックのセクションで触れていく。

そのサイドバック。右はカムバックしたマルチロール脇本と予想したが、怪我で開幕出遅れ。そのため、大畑がサイドに流れる可能性がある。柳下が大怪我から復活している点も大きい。左は、昨シーズンルーキーながらコンスタントに出場した神山。左右両サイド務めることができる。新潟シンガポールより加入した逆輸入の大森も絡んでいきたいところ。

ボランチは碓井とシウバのコンビがポジション争いをリードするか。ただ、シウバは前線での起用も考えられる。今名前を挙げていない全員が即戦力となり得る選手が集う。新加入の坪川は、姫野の放出の代わりともとれる。ボール奪取力に秀でており、小田切サッカーの舵取り役となる可能性も。相当な激戦区となりそうだ。

サイドハーフは、右に小田切監督就任後一気にブレイクした松岡。左に、サイドハーフという新境地で輝きを放っていたマテウスが有力か。厚い壁にはなるが、ブレイクを期す若い選手たちはポジションを奪取できるのか。

最前線は、大野と安藤という組み合わせに。昨シーズンは小田切就任後、最前線とサイドハーフの組み合わせはかなり流動的になり、安藤も本職は左サイドハーフであったが、CFという新境地も開拓。なかなか読めないところではある。大野は昨シーズン終盤戦は怪我に苦しんだ。今シーズンこそフル稼働したいところ。他にも高橋、吉平、川西とリーグ屈指の攻撃陣が。さらなる得点力の向上も見込める。


○開幕4試合序列

得点も失点も多くなっている。攻撃陣は強烈なメンバーで、カウンターはかなり相手にとっては脅威。




アスルクラロ沼津


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 野村、三井
MF 北、瓜生、鬼島、ブイゴックロン
FW ハディファイヤッド、グエンバンソン、グエンゴックハウ


新加入選手:
GK 谷(←YS横浜)、渡辺(←讃岐)
DF ラウールスダティ(←アヴァイ)、市川(東京23FC)、井上(←鈴鹿)、川前(←高知)
MF持井(←相模原)、下川(←金海市庁FC)、岩崎(←沼津U-18)
FW 津久井(←青森)、安藤(←清水)、和田(←筑波大)、赤塚ミカエル(←大阪産業大)、イゴールガブリエル(←タパジョス)
 
炎のストライカー中山雅史氏が指揮を執る。『攻守一体を極限まで高めたハードワーク集団を目指す』と意気込む。主力の放出は最小限ではあるが、補強は若い選手中心。その才能を開花させることができるか。クラブ初となるブラジル人選手の補強も行っており、そこも注目だ。個人的に、ストライカー中山雅史が守備のところをどう落とし込んでいくかは気になっている。鈴木秀人ヘッドコーチ含め、磐田で中山氏と仕事をしたメンツも多いスタッフ陣にはなっている。

システムは4−4−2と予想する。
GKは、昨シーズン正守護神の座を掴んだ武者が中心となりそうだが、J経験者の渡辺と谷が加わっており、誰がレギュラーとなるか注目だ。

センターバックはディフェンスリーダーの藤嵜が中心となりそうだ。相方には、世代別ブラジル代表経験のあるラウール・スダティや、昨シーズンポジションを争った篠崎と附木が争う形となるか。クラブ初のブラジル人選手の1人となる191cmの大型CBラウールは楽しみな存在だ。昨シーズン後半戦にCBを務めた鈴木が今シーズンも後ろでプレーするのかも一つ注目ポイントだ。期限付き移籍からの復帰組の川前、井上が絡めるか。

サイドバックは、今シーズンも右に安在、左に濱という並びが基本線だろう。濱は昨シーズンは中盤でのプレーも多かったが、今年は左SB中心の起用となりそうで、大迫とのポジション争いが予想される。

ボランチは7年目の在籍となるベテランの菅井とその相方は高いテクニックを誇り、ボール保持時に違いを見せれる新加入の持井が有力か。世代別代表候補の遠山、モンテネグロや韓国でプレーしてきた逆輸入の下川、ユースから昇格の期待のレフティー岩崎らも試合に絡んできそうではある。

サイドハーフは、右に新10番の佐藤、左に鈴木を予想した。これと今シーズンも激しいレギュラー争いを見せてくれそうな、徳永や染谷も含めた昨シーズンサイドハーフを務めていた選手たちは、大部分が左右どちらも務めており、かなり流動的になりそうだ。かつて選手権のスターで、着実にステップアップしてきている4年目の森はブレイクに期待がかかる。北と瓜生が抜けた中で、残る既存選手たちの昨シーズン以上の活躍が求められる。

ツートップは、長身で裏抜けも武器のブラウンノアと、横浜FMからの期限付き移籍で昨シーズンはJFL青森でプレーし、コンスタントに出番を得たフィジカルが武器の津久井が有力なるか。そこに絡んできそうなのが、関東大学サッカーリーグで得点ランキング上位の和田。練習試合から好調で中山新監督から『ワドゥー』と呼ばれ、早速心を掴んでいるようだ(笑)。小柄だが、鋭い抜け出しからのフィニッシュワークは充分Jリーグと通用するもの。他にも、助っ人外国人のイゴールなどのポテンシャル抜群の若手のホープだらけとなっている。昨シーズン途中、エースだった渡邉が抜け、シーズン後半はフォワードの軸がなかった。今シーズン、誰が軸となっていくかも注目したい。

○開幕4試合序列

ボールをじっくり回し、サイドで起点を作り、落としてからCFを裏に走らせるのが1つの形。ポゼッション率、パス数、シュート数はかなり高く、前への姿勢も見られ、かなり面白いチーム。




FC岐阜


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 桐畑、岡本
DF 岡村、船津、フレイレ、橋本、服部、小山、本石
MF 大西、本田、ヘニキ、吉濱、菊池
FW 畑、富樫、石津

新加入選手:
GK 茂木(←北九州)、林(←東京国際大)
DF 遠藤(←讃岐)、荻野(←法政大)、和田(←東海学園大)、羽田(←桐蔭横浜大)、杉田(←横浜FC)
MF 川上(←相模原)、久保田(←群馬)、北(←沼津)、石坂(←福井)
FW 浮田(←相模原)、田口(←鳥取)、上野(←大阪経済大)、楠本(東海学園大)、横山(←岐阜協立大)

J3の銀河系と呼ばれた昨シーズンは、終わってみればまさかの14位。今シーズンは経験豊富なスター選手中心の補強から、J3から中堅や若手の即戦力と大学からのルーキー中心の補強に路線変更。『保持率を高めつつ、前へボールを運ぶ』と話すのは森保ジャパンをコーチとして支えた上野新監督。参謀には、昨シーズン北九州を率いた天野氏が就任し、盤石の布陣。年齢的に脂の乗った主力選手が多く残留しており、紛れもなく昇格候補となる。

システムは4−4−2と予想する。

GKは、昨シーズン今治で定位置を掴んでいた新加入の茂木と、ベテランの松本の2人が主にポジションを争う形が予想されるが、大野も充分な実力者で、ルーキーの林も含めて、どの選手にも可能性はありそうだ。

センターバックは、スピードと今シーズンより求められるだろう足元の技術も非凡なものがある藤谷と、新加入の遠藤が軸か。ルーキーの荻野やレフティー和田もスタイルへの適正はありそうで、絡んでくるかもしれない。三國は怪我で出遅れとなった。その影響かは分からないが、杉田を横浜FCから緊急補強。サイズがあるわけではないので、サイドバック起用も考えられる。ベテランを中心に多くの選手を放出し、やや手薄なポジションになったので、ボランチ本職の川上の起用もあるかもしれないが、サイズのある選手が少ない点はやや気がかりだ。

サイドバックは、右はインカレ王者の桐蔭横浜大の主力だった羽田が1番手か。ただ本職の選手が少なく、今年も山内寛史がコンバートされるか。先程紹介した杉田がこの右サイドビックに入る可能性も。
左は、経験値の高い宇賀神が軸。しかし、左も本職の選手は少ないため、生地などが入る可能性がある。左右どちらもだが、中盤より前の選手層が厚いポジションを本職とするような若い選手が試されることもあるかもしれない。

ボランチは、天才的なパサー庄司と、刈り取り力と攻守のバランスの見極めに優れ、CBも務めることができる川上のコンビを1番手としたが、タイプで少し重なる部分もある。沼津からの新加入でボランチでの勝負を宣言した北や、新加入の久保田のボランチ起用もあるか。柏木の復帰時期も気になるところ。

サイドハーフは、窪田と村田の圧倒的なスピードとドリブルの巧さに長ける2人が中心か。新加入でボランチもこなせるポリバレント性もあり、テクニックのある久保田や、キャンプ中のトレーニングマッチで結果を残していた上野らもポジション争いに絡んでくるだろう。

ツートップは間違いなく激戦区。昨シーズンのチーム内得点王藤岡がやや低い位置に入り、メインターゲット役として、浮田とンドカが争うか。2人とも恵まれた身体で強さがあり、シュートセンスも併せ持つ。さらに、新進気鋭のゴールゲッター田口も加わり大激戦区に。そして、忘れてはいけないのが元日本代表田中順也。コンディションが安定すればゴール量産も期待できる。
戦術面が昨シーズンより向上すれば、このタレント揃いのFW陣は爆発するかもしれない。


○開幕4試合序列

ハイプレスとブロックの使い分け。守備はかなり整理された印象で。両翼の窪田と村田のコンビは大きな強み。




FC大阪


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣


退団選手:
GK 安田、キムスハン
DF 大桃、山崎
MF 森山、髙橋、前田、ガブリエルピレス
FW 伊能、福元、後藤、永井


新加入選手:

GK 服部(←八戸)
DF 板倉(←八戸)、酒井(←青森)、山田(←びわこ成蹊スポーツ大)、松田(佳)(←水戸)
MF 利根(←ヴェルスパ大分)、マイコンドウグラス(←カンピオナート)
FW 古川(←いわき)、島田(←八戸)、ンダウターラ(←岡崎)、ジョアンヴィクトール(←カンピオナート)


昇格組のFC大阪。監督には、昨シーズン途中から八戸の監督に就任し、初めてJリーグでの監督に挑戦したが、カウンターが軸のサッカーで見事立て直しに成功した志垣監督が就任。J3最多の38人の大所帯の結束のところでも大きな役割を担う。主力の遺留に成功し、志垣チルドレン含めたJ3で試合に出てきた選手たちやJFLでしのぎを削ってきたライバルクラブ、ブラジル人を補強し、上位進出を目論む。

システムは4−4−2と予想した。
GKは、志垣チルドレンの服部と、昨シーズンの絶対的守護神の永井が中心か。服部は、昨シーズン八戸で25試合に出場。キャリアで初めてレギュラーとして活躍し、幾度となく素晴らしいセーブを見せた。激しいレギュラー争いになりそうだ。

センターバックはJ3での経験も豊富な谷口、キャプテンの坂本が中心となるか。JFLでハイパフォーマンスを見せてきたJリーグ初挑戦の酒井やベテランのワンクラブマン岩本あたりがその2人とポジションを争う形になると予想する。若い選手たちも絡んでいきたいところ。

サイドバックは、右は美馬が絶対的存在と言っていいだろう。粘り強い守備と、両足を駆使したクロスで昨シーズンはJFLベストイレブン入り。このポジションには今年で50歳を迎える村木もいる。
左は、志垣チルドレンの板倉と昨シーズンお互いコンスタントに出場した齊藤、舘野の3人が激しくポジションを争うだろう。板倉はCBとの兼任となりそうだ。

ボランチはデュエルに強く、刈って配れるウ・サンホが中心となりそう。相方には、視野が広く局面を変えられるパスが一つ武器のレフティー町田、攻守のつなぎ役で昨シーズンはルーキーながら全試合の8割ほどの試合に出場した西矢、抜群のキック精度を誇るベテランの日髙らが争う形になるか。

サイドハーフは、右の久保は絶対的存在。昨シーズンは、美馬と久保の右サイドのコンビが昇格の立役者だったと言える。圧倒的なスピードを生かしたドリブル突破でチャンスを演出し、タフネスで守備も怠らない。チームの大きなストロングとなる。SB、ボランチ、SH、前線とマルチにこなせる昨シーズンプチブレイクした宇高も楽しみな存在だ。
左は、最前線とどちらもこなし、空中戦に強く高い決定力を持つ今村と(昨シーズンチーム得点ランクトップタイ)JFLで結果を残し続けてきた点も取れるドリブラー利根がポジション争いを演じるか。

そして、ここまで触れてこなかったが、世代別ブラジル代表経験を持つ2人の若いブラジル人助っ人が加入。ボランチのマイコンはどちらかというと刈り取り系か。サイドアタッカーのヴィクトールは、確かな技術と鋭いドリブル突破に期待がかかる。

最後にセンターフォワード。昨シーズンいわきで3ゴールの古川、志垣チルドレンでハードワークできる島田、昨シーズンはJFLでインパクトを残したンダウターラと計算できる選手が3名加わった。そのうえ、昨シーズンチーム得点ランクトップタイの、大柄ではないがフィジカルが武器の木匠やJ3での経験のある田中も健在で、相当な激戦区となる。


カウンターの鋭さは光っている。ただし、チャンスシーンを増やす作業は今後必要になりそうだ。


 


奈良クラブ


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣


退団選手:
GK 金子
DF 田中
MF 森田、金子、片山
FW 長島、浜田

新加入選手:
GK 岡田(←今治)
DF 鈴木(←愛媛)
MF 中島(←相模原)、堀内(←Honda FC)、髙橋(←G大阪)、西田(←宮崎)
FW 酒井(←岡崎)

もう1つの昇格組がこの奈良クラブ。ポゼッション主体でサイドから崩す攻撃サッカーを作り上げたスペイン人のフリアン監督のもとで8年間のJFL生活に終止符を打ち、ついにJ3へ。FC大阪とは対照的に、こちらは少数精鋭の25人での編成。Jリーグ経験者を手薄なポジションにピンポイントで補強。JFLからも、JFLトップクラスのクオリティーの中堅層の選手を加えた。戦術面での成熟はもちろん、J3でも輝けるような個の力を持つ選手もいて、台風の目となる可能性を秘めている。

GKは、既にJ3ナンバーワンとも言っても過言ではなさそうなスペイン陣のアルナウが絶対的存在。リーチを生かしたセービング、的確なビルドアップはもちろんだが、何と言ってもロングキック。圧倒的な飛距離と精度。ピンポイントに味方に落とすことができる。J3でその名を轟かせるようなGKだ。

センターバックは、高くて強いかつ、ビルドアップも非凡なディフェンスリーダーの伊勢が軸。相方はJリーグでの試合経験も積んでいる鈴木が基本線か。精神的支柱のチームキャプテン小谷は久しぶりにJにカムバックした。
サイドバックは右に寺村を予想。元々ボランチながら、CBはSBもこなす。昨シーズンはCB起用が多かったが、選手層的に今シーズンは右サイドバックの定位置を都並と争う形になりそうだ。対人にめっぽう強く、足元の技術も高い。
左は、不動のタフネス加藤が今シーズンもファーストチョイスになるだろう。DFながら11番をつけるめずらしい存在だ。

心臓部のアンカーは、バランサーの可児が有力ではあるが、中盤の選手として必要なものをすべて高いレベルでこなせる中島も候補。1つ前での起用もあるが、ゲームメイク能力も高く、アンカー適性も高い。

インサイドハーフは、豊富な運動量を持ち、積極果敢に前にも顔を出していくダイナモ片岡と大型IH山本の組み合わせが基本線か。山本は、大型ながら華麗なしなやかさも持つ。長短を織り交ぜたパスでリズムを生み、スキあらばミドルレンジからゴールネットを撃ち抜く。また、最終ラインを含む複数ポジションをこなせるポリバレントの新加入の堀内は、強度の高いプレーが持ち味で、戦術眼にも優れ、的確な判断ができる。この堀内の加入により、期限付き移籍が満了となった森田凛の穴埋めに成功したといえるだろう。類いまれな攻撃センスを持つ桑島も今シーズンはIHを主戦場とするかもしれない。

ウイングは、右に金子、左に森のJリーグ経験者コンビが有力。確かな技術とスピードでJFLで輝いた2人のJ3での躍動ぶりには注目だ。右には、古川陽介を超えるいう声もある静岡学園の10番髙橋が期限付きで加入。小柄なドリブラーが奈良の右サイドを活性化しそうだ。西田や嫁阪といったJリーグ経験のあるアタッカーも控えており、充実の面々となっている。

最前線には、2022シーズンJFL得点王(16ゴール)&MVPの百戦錬磨のゴールハンター浅川隼人が健在。さらに、浅川に次ぐJFL得点ランキング2位の14ゴールを挙げた酒井が加入。フィジカルとスピードの両面を兼ね備えたストライカーの加入により、強烈なゴールハンターが2枚となった。


○開幕4試合序列

洗練されたサッカーは通用している。アルナウのキックは大きな強み。浅川は得点王争いに絡んでくるような予感。

 



ガイナーレ鳥取


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣


退団選手:
GK 田尻、福留
DF 魚里、石田、小林
MF 新井、妹尾、安藤、永島、清永、小田垣
FW 石川、田口

新加入選手: 
GK 井岡(←仙台)、高麗(←拓殖大)
DF 飯泉(←今治)、田中(←琉球)、西尾(←鳥取U-18)
MF 牛之濵(←鹿児島)、普光院(←秋田)、東條(←国士舘大)
FW 富樫(←岐阜)、遊馬(←島根)、重松(←讃岐)


生きのいい若手を含んだ主力を多く手放す形にはなったが、攻撃的スタイルにマッチし、確かな技術を持つ経験豊富な選手を加えた。比較的年齢層が高めの補強でとなっていて、金監督はこの補強に自信をのぞかせる。既存の選手含め、上のカテゴリーでのプレー経験のある選手はかなり多くなっていて、若手とうまく融合できれば、昇格も狙える陣容だ。

システムは今シーズンも4−4−2がベースだろう。

GKは、田尻が退団した中で、成長著しい糸原と新加入の井岡がポジションを争う形になるだろう。昨シーズン、比較的試合ごとに変えたりしていたので、今シーズンも固定という訳ではないかもしれない。

センターバックは、上背はないものの足元の技術や予測に優れ、守備の要としてチームをまとめる増谷が軸だろう。相方は、新加入の飯泉と鈴木が争うと予想する。飯泉は、空中戦にめっぽう強く、サイドに飛ばすロングフィードもある。鈴木は、人に強くいけるタイプ。高さもあり、ビルドアップも安定している。さらに、上背はないものの昨シーズン増谷が離脱中に、ルーキーながら出番を得て、攻守に渡り穴の少ない安定したプレーを見せた長井という存在もいる。どのような組み合わせになるか楽しみなところ。

サイドバックは、右にベテランの攻撃的SB田中。左は、ポリバレント性もある守備を引き締めるキャプテンの石井という並びが基本線だろう。昨シーズン、ルーキーながら多くの試合に絡んだボランチ兼任で両翼をこなせる丸山もこのレギュラー争いに入っていくだろう。

ボランチは、最注目の新加入普光院。ボールをあまり保持しないスタイルの秋田では出番が限られたが、鳥取では、ゲームをコントロールし、長短のパスを操りボールを巧みにさばく彼の良さは存分に生きる予感。J3を席巻するかもしれない。個人昇格した新井の穴は普光院で完全に埋めることに成功した。相方には生え抜き10番世瀬が有力。SBもこなすレフティーの文も楽しみな存在だ。

サイドハーフは、左右の配置は流動的になりそうだが、神出鬼没なサイドアタッカーの田村と、攻撃センスの高い新加入の牛之濵が実力的には1枚上手か。アカデミー育ちで、関東1部の国士舘大でクオリティーの高さを披露したチャンスメーカーの東條や、昨シーズンは怪我に苦しんだが、テクニカルなドリブルが持ち味で、コンディションが整えばJ3で暴れそうな小澤など層は厚い。エース石川は抜けたが、打撃は少ない印象。

最前線も層は厚い。昨シーズン7ゴールのワンタッチゴーラー澤上や、ゴールへの嗅覚に優れたJリーグに帰ってきたストライカーの遊馬。大久保も怪我から復帰し、ポテンシャルの高い髙尾、新たに加わった実力者の重松と富樫もいる。
サイドハーフ含む前4枚は、昨シーズンとは顔ぶれが多少変わったがインパクトは絶大だ。


○開幕4試合序列

プレーメーカー普光院が存在感。前線4枚は迫力があり、その代わりも4枚揃えてある。かなり前線4枚のネガティブトランジションが速い。





カマタマーレ讃岐


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

 
 

退団選手:
GK 渡辺
DF 遠藤、西野、内田、溝渕、松本
MF 西本、佐々木、渡辺
FW 松本、青戸、重松、中村、吉井、神谷、ドゥンガ、栗田

新加入選手:
GK 松原(←讃岐U-18)
DF 宗近(←YS横浜)、奥田(←宮崎)、奈良坂(←町田)、金井(←琉球)
MF 江口(←秋田)、森(←水戸)、高橋(←国士舘大)、吉田(←四国学院大)、竹村(←立正大)
FW 森本(←枚方)、赤星(←高知)、鳥飼(←立正大)、根岸(←同志社大)


低迷期打破を目指し、『最少失点と最多シュートを掲げ、守備を構築して、打ち破る攻撃ができれば得点力も上がる。』と、良い守備からの良い攻撃を目指す川崎フロンターレなどでコーチを務めた米山篤志新監督が就任。攻撃陣を中心に主力は抜けつつも、能力的に高い選手を様々なところからバランスよく補強。今年こそ、飛躍を誓う。

システムは今シーズンは4バックで4−2−3−1と予想した。

GKは、経験豊富な昨シーズンの正守護神であった高橋が有力だろう。シュートストップと的確なコーチングで、今シーズンもチームの柱となるだろう。その高橋の背中を今村と松原の若手2人が追う。

センターバックは、西野と遠藤の主力2人の退団があったが、即戦力として期待できる奥田、宗近、奈良坂を加えた。既存の4年目となる小松、成長著しい伊従も含め、年齢的なバランスもよく、誰がレギュラーとなってもおかしくないような熾烈なポジション争いが期待される。なかなか予想がつきにくいが、同カテゴリーでバリバリレギュラーを張っていた、新戦力の宗近と奥田がやや実力的にリードすると予想している。

サイドバックは、右は新戦力のベテラン金井が有力だろう。左右のサイドバックだけでなく、前の方のポジションもこなすことができるユーティリティ。攻撃性能が高く、シュートもうまく、ヘディングも強い。球際も激しく行くことができ、J3ではトップクラスのサイドバックとなること間違いない。さらにチームをリードしていけるような存在である。
左は、昨シーズン前半戦でレギュラーを張った臼井と、後半戦でレギュラーを張った田尾の激しい争いが予想される。ただ、今年のスタイルを考えるとゲームメイク能力の高い臼井がやや有利か。2人とも、足元は非凡なものを持っており、新指揮官の起用法に注目だ。

ボランチは、昨シーズンはCBの中央での起用が多かった長谷川と、抜群の右足を持つ経験豊富な江口のコンビが軸か。どちらかというと、フィジカル的な強さもある長谷川が守備的なボランチという位置づけになりそうだ。2人とも高精度なキックを持ち、ゲームをつくる能力も持っており、パイプ役として期待がかかる。また、多彩なパスでリズムを生むレフティーのルーキー竹村や岩本、鯰田という面々もゲームメイク能力に長けており、ロマンあふれる陣容だ。

2列目は、川﨑、森、高橋という並びを予想した。川﨑は、技術が高く、欠点がなく、なおかつマルチロール。ロングスローも持っており、10番にふさわしい存在。トップ下に予想した森は、テクニカルかつ献身性を兼ね備えており、チームを引っ張る力も期待される。左にはルーキーの高橋を予想。左サイドを制圧する決定的な仕事ができるアタッカー。関東大学サッカーリーグでもアシストランキング上位に。レベルの高いルーキーはいきなりレギュラーも有り得る。また、昨シーズン特別指定選手として14試合に出場した吉田もブレイクに期待がかかる。星稜高校で10番をつけた岩岸も個人的に注目。他の選手を見ても、かなり若い選手が多いポジションである。

最前線は、得点源だった松本が抜け、青戸、重松など多くが退団。実戦経験の浅い若手とJリーグ初挑戦組で構成されるため不安要素は大きい中、JFLで2桁ゴールを記録した、森本ヒマンと赤星は新たな得点源として期待がかかる。森本は、強靭な身体を生かしたプレーとシュートセンスが持ち味。赤星は大型ながらしなやかさがある注目の万能型FW。誰がレギュラーの座を射止めるのか注目だ。


○開幕4試合序列

新スタイルは順調に浸透。粘り強い守備と終盤での得点が目立つ。奥田と金井が加わった最終ラインはかなり良くなった。




愛媛FC


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 板橋
DF 栗山、西岡、鈴木、内田、高木
MF 小原、近藤、田中、前田、横谷
FW 進、大澤、吉田

新加入選手:
GK 牧口(←愛媛U-18)
DF 平岡(←仙台)、山口(←東京V)、大嶽(←柏)、吉田(←高知)
MF 曽根田(←水戸)、菊地(←大宮)、石浦(←東京V)、疋田(←岡山)、吉永(←大宮)谷本(←関西福祉大)、深澤(←関西大)、行友(←愛媛U-18)
FW 深堀(←群馬)、曽田←(福山シティ)、ベンダンカン(←セントラルコーストU-23)


反則級のスカッドでJ3制覇を狙う愛媛。J3のレベルではないような選手が上カテゴリーから複数名加入。さらに、若返りも並行して行った。一部主力は抜けつつも中心選手の大多数を残し、戦術的要素は昨シーズンで浸透。充実のオフシーズンとなったのではないか。

システムは、昨シーズンに引き続き4−2−3−1が軸だろう。

GKは、熟練のシュートストップで絶対的守護神として君臨するベテランの徳重が今シーズンも引っ張る形だろう。昨シーズン、2年ぶりに公式戦での出場機会を得た辻や、10代の2選手(黒川、牧口)も絡んでいきたい。

センターバックは、栗山や鈴木など主力級の複数名が退団。その穴を埋める存在として期待できるのが、守備力だけでなくビルドアップにも定評にあるベテラン平岡の加入はかなり大きいだろう。その平岡の相方の候補となりうるのは、ボランチもこなせる高精度な両足を持つ森下や、スピードもあるレフティーの小川、チーム随一の空中戦の強さを誇る大城と実力な拮抗している面々。昇格を狙う上で、CB陣の安定はかなりキーポイントとなる。

サイドバックは、右は昨シーズンブレイクを果たした三原が有力。荒削りなところもあるが、積極的な攻撃参加は魅力的だ。離脱で出遅れとなっているが、本職はサイドアタッカーでありながら、サイドバックという新境地を開拓した忽那もいる。
左は、爆裂的なスピードと切れ味鋭い仕掛けからのクロスが持ち味の山口がレギュラー候補筆頭。バックアッパーに大嶽という構図が有力だ。内田、高木が務めたこのポジションは大幅な若返りを行った形となる。

ボランチは、ベテランが複数名退団。能力的には、パスでリズムを生む矢田と、新加入の天才肌石浦がレギュラー候補だが、2人ともレフティーでタイプ的にも似ている。期待度が高かったトップ下&ボランチを主戦場とする菊地が長期離脱となった中、谷本、深澤のルーキーコンビもチャンスは大いにあるだろう。

2列目の3枚は、ポジションは比較的流動的。先程も触れた菊地の長期離脱はあったが、曽根田や佐々木、茂木、佐藤、サイドならどこでもこなせる吉永などJ2でも充分に戦えるような戦力が揃っている。曽根田は、昨シーズンJ2でコンスタントに出場し、5ゴール決めており、J3にいるのはおかしい存在だ。また、昨シーズン2種登録で限られた出場時間の中で3ゴールという結果を残したラッキーボーイ行友にかかる期待も大きい。10番を背負った小原が移籍した穴を埋められるような面々にはなっている。

最前線は、万能で献身的な守備も武器の新10番エースの松田が残留。進、大澤、吉田が退団したものの、サイドでもプレーできるラインブレーカー深堀。地域リーグから上がってきたレフティーの曽田。さらに、加入が発表されたばかりのオーストラリア産の大型FWベン・ダンカンが加入し、まったく問題はないだろう。

改めて、昇格への本気度がうかがえるスカッドだ。


○開幕4試合序列

シュートシーンも多く作っていて、攻撃陣のクオリティーの高さも目立つ。サイドからの攻撃が光る。セットプレーの失点の多さが課題。




FC今治

昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 茂木、岡田、イ・ドヒョン
DF 安藤、飯泉、細川、吹ケ、駒野
MF 島村、福田、岡山、村井
FW 千葉、モハメドアダム

新加入選手:
GK セランテス(←ログロニェス)、伊藤(←群馬)
DF 二見(←長崎)、白井(←相模原)、櫻内(←神戸)、市原(←福山シティ)
MF 松本(←富山)、新井(←福島)、安藤(←鳥取)
FW ドゥドゥ(←町田)、桝田(←日本体育大)

昨シーズンはヘッドコーチを務めた髙木理己氏が新監督に就任。監督経験もあり、今治スタイルを熟知しているため、不安な要素は少ないだろう。主力の放出は一部あったが、そこはJ1やJ2で名を馳せたような選手を加えカバー。それだけでなく、J3のライバルクラブから即戦力も確保した。戦力的には昨シーズンより、さらに一段と豪華になった。新スタジアムで、昇格というミッション遂行を果たせるか。

システムは4−4−2で予想する。
GKは、2020年アビスパ福岡で正守護神としてJ1昇格に大きく貢献したセランテスが加入。圧倒的なセービングと足元も標準以上のJ3最高レベルのGKといえるだろう。他の3人はこの牙城を崩すのは、かなり難しいかもしれない。

センターバックは、圧倒的な強さを誇っていた安藤、飯泉が退団したが、J1・J2で多くの試合に出場し、ディフェンス能力だけでなく足元にも安定感がある二見が加わった。さらに、成長著しい照山も完全移籍に移行され、即戦力候補の白井も加入し、穴は埋めた格好。期限付き移籍から復帰した市原はサイドバックでもプレー可能な期待なホープだ。

サイドバックは、右は野口、下口に加え、経験豊富でクレバーさも併せ持つ櫻内が加入。左は、徐々にJ3でブレイク中の松本を富山から獲得。上原、冨田も残留し、左右ともに激戦区となる。そのため、櫻内や冨田はやや層が薄いCBでの起用も考えられる。しかし、櫻内が開幕前に大怪我。ディフェンスのラインのやりくりに影響が出てくるかもしれない。

ボランチは、キャプテンを務める最古参のバランサー楠美と、リズムを生み出すベテランの三門が軸か。ポジションは流動的だが、新加入の新井やダイナモの山田もボランチのレギュラーに名乗りを上げる。この先が楽しみな若手も控えている。

サイドハーフは、昨シーズン「インディオ」の登録名で9ゴールを挙げ、J3でその名を馳せた新10番「マルクス・ヴィニシウス」が右のサイドハーフに入るだろう。パワーと瞬発力でゴリゴリと抜き去る突破力は一級品。カットインからの左足のシュートは強烈で、縦突破からの右足でのクロスも持っている。左は、こちらも今が旬のスピードドリブラー近藤が今シーズンも有力だろう。切れ味鋭いドリブルでのカットインからのシュートという一つの形を持っている。また、鳥取時代に髙木監督の指導を受けた両サイドをこなせるレフティーの安藤や、徐々にJリーグのレベルに適応してきたように見えるパクスビンらも控える。アタッカー陣の層は厚くなるばかり。

最前線は、昨シーズンのチームトップスコアラー中川が筆頭か。多彩なフィニッシュワークとオフ・ザ・ボールの動き、技術の高さ、ヘディングの巧さが光る。相方は、昨シーズン途中加入ながら中川に並ぶ12ゴールを挙げた千葉が退団。代わりに、日本での実績も十分なアグレッシブゴールハンターのドゥドゥか加わった。彼はJ3にいるべきではないクオリティーを持った選手の1人だ。しかし、ピシュチェクは怪我も重なり適応に苦戦、ラルフは復帰時期未定、桝田は未知数、髙瀬はもう一つ殻を破りたい状態と、中川&ドゥドゥに続く選手がなかなか出てこない。だからこそ、殻を破れば大化けしそうな3年目の髙瀬にかかる期待は大きいが、ベンチパワーも考えインディオが最前線に入ることもあるかもしれない。伸び盛りの千葉が抜けたことはドゥドゥの補強はあるものの、少し気になる点ではある。


○開幕4試合序列

負傷者を出しながらも、破壊力のあるタレントが躍動。層の厚さも現れてきている。相手を押し込む試合も多く、組織の面もレベルが高い。





ギラヴァンツ北九州


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣 

退団選手:
DF 藤谷、河野、中塩、藤原、永田
MF 針谷、西村、六坂、藤川
FW 佐藤、髙澤、狩土名

新加入選手:
DF 村松(←長崎)、夛田(←相模原)、山脇(←同志社大)、大石(←国士舘大)
MF 岡田(←宮崎)、野瀬(←八戸)、高吉(桐蔭横浜大)、岡野(←日本文理大)、若谷(←山梨学院大)、
FW 坪郷(←北九州U-18)高(←日本文理大)

育成中心の構成とし、育成力に定評のある田坂新監督を招聘。クラブが作り上げてきたパスサッカーには軸足を置く見込みのようだが、選択肢が多く、状況に応じて臨機応援にやっていきたい考えだ。田坂監督の代名詞であるストーミング、ハードワークのところをどう植え付けていくか。各ポジションにチームを引っ張っていけるような選手も加えており、興味深い陣容となっている。

システムは田坂体制らしく4−4−2で予想したが、場合によってはツートップを縦関係にしたり、4−2−3−1にすることもあるだろう。

GKは、全員の実力が拮抗している中で、昨シーズン1番多く出場機会を得た加藤を1番手と予想。しかし、監督も変わり全員に可能性が大いにあるだろう。

センターバックは2年ぶりに帰還した村松の存在は大きい。上背はないが、対人にめっぽう強く、保持のところも非凡なものがある。相方は、178センチと大きくはないが空中戦の強さが武器の本村が有力だ。しかし、河野、藤原、中塩という主力級の3枚が抜けて、村松と本村以外のプレーヤーは全員プロ1・2年目で実績が浅いという点は不安要素になる。

サイドバックは、右は昨シーズン全試合に出場した藤谷の放出は痛手。その穴を埋めるのは、新加入ながらキャプテンを任された夛田が有力か。とにかくハードワークできる田坂体制には持って来いの存在だ。
左は長身でセットプレーの得点源にもなれる乾が有力だ。ディフェンスラインは全体的に層が厚いわけではないので、例えば乾がCBを務めたり、本村や長谷川がSBを務めたりと流動的な起用となる可能性もある。

ボランチは、針谷や西村といった実力者が抜けた中で、ロマンあふれる若手だらけの陣容。横一線の争いとなりそうだが、インカレ制覇の桐蔭横浜大から加わった、屈強で配給もできる高吉はブレイクの予感が漂う。4年目の永野はその溢れる才能を解放するときが待たれる。

サイドハーフは、左に入ることが予想される新加入で10番を背負う岡田には相当な期待がかかっている。圧倒的なテクニックを持ち、周りも使えて、自ら点も取れる。左斜め45度の位置はまさに岡田ゾーン。今シーズンも存分に暴れるだろう。他にも、池高、中山、野瀬などキレのある選手が揃う。穴がなく、洗練されたテクニックを持つルーキーの若谷も即戦力候補だ。

ツートップは、覚醒しかけている平山と点で合わせられる上形という昨シーズンは互いに4ゴールで終わった2人が、今シーズンこそ完全燃焼を狙う。特に、平山は個人的に大ブレイクの予感。少し違ったタイプの攻撃のマルチロール前川も含めた3人が軸となるか。スピード武器の高昇辰(コウスンジン)と坪郷のルーキーコンビも虎視眈々と出番を狙う。


○開幕4試合序列

ストーミングの激しさとパスの繋ぎの融合は順調。若手の躍動が目立つ。10番岡田は、ドリブル・パス・シュート全てにおいて一際存在感を示している。




テゲバジャーロ宮崎


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
DF 綿引、新保、奥田、瀧澤、神野
MF 千布、徳永、小野寺、岡田、西田、三村
FW 薗田

新加入選手:
GK 青木(←順天堂大)
DF 眞鍋(←山口)、井原(←鹿児島)、西岡(←愛媛)、北村(←福島)
MF 山崎(←長崎)、石津(←岐阜)、松本(←山形)、東出(←熊本)、金川(←日章学園高)、新城(←宮崎U-18)
FW 青戸(←讃岐)、南野(←G大阪)、杉浦(←おこしやす京都)、永田(←福岡大)

ポゼッションサッカーを作り上げてきた宮崎が、百戦錬磨の守備ベースの松田新監督が就任。どうやら、今までの良さを尊重しながら松田カラーを浸透させていくようだ。主力霸多数放出も、一昨年と比べれば少なく、補強も充実感がある。特に攻撃陣は様島な組み合わせが可能になりそうだ。ユニリーバスタジアムに照明も設置され、本気でJ2昇格を狙う宮崎の変革はどうでるか。

GKは、シュートストップとビルドアップとキックの3つが揃ったベテランコンビの石井と植田が引っ張ることが予想される。若い青木と清水はこの2人の背中を超えたいところ。ちなみに、清水は圧倒的なルックスでサポーターを魅了。

センターバックは、キャプテンの代が軸。奥田が抜けた穴は、待望の高くて強いタイプの眞鍋が加わり埋めた格好。地元クラブでのプレーとなる西岡や、2年ぶりに帰ってきた井原など戦力は充実。代と井原のゴールデンコンビ復活も期待されるが、跳ね返すという観点で、2人とも身長が180センチ未満だと厳しいか。それを加味して、代と眞鍋の組み合わせを予想した。

サイドバックは、昨シーズン後半に右でレギュラーを掴んだ奥田が本職の左に戻り、新保の穴を埋める形になると予想。守備の強度のさらなる向上が求められる。良質なキックを持つ『ホトちゃん』こと北村とのレギュラー争いとなるか。
右は、昨シーズン後半は怪我に苦しんだ青山が1番手か。クロス精度が高く、守備面も比較的安定し、松田体制では重宝されそう。

ボランチは新10番下澤と、ついに本職のボランチでの中心の起用となりそうな大熊のコンビが有力。千布が抜けたのは痛いが、大熊が入れば問題はない。2人ともゲームメイク能力に長けていてらチームの柱としての期待がかかる。ブレイク候補に挙げたいのは2年目の江口。パスセンスが高く、一気に局面を変えるパスの精度もかなり高い。選手権で躍動した金川も楽しみな存在だ。

サイドハーフは、徳永と岡田が移籍。その穴を埋めるべく、ベテランの山崎と石津。東出、松本という仕掛けられる若手を補強。既存の北村は、今シーズンはサイドハーフ起用が有力で、駒数的にもレベル的にも満足の補強と言えるだろう。山崎のキレ味鋭い突破や、東出のスピードと繊細なボールタッチ、変調を加えられるサイドアタッカーの石津、テクニカルなアタッカー松本と、新加入選手はそれぞれが一芸を持っていて、組み合わせのバリエーションも豊富で使い分けが可能だ。

最前線は、新体制でその身体を活かしたプレーがより生きそうな橋本の爆発が求められる。彼が2ケタ得点を取れると、昇格も見えてくる。相方は、やや低い位置で衛生的な立ち回りもできる青戸か。もちろん、空中戦も申し分ない。さらに、世代最高峰のストライカー18歳南野遥海。身体の強さ、高い身体能力、抜群のシュートセンスを誇る。また、大卒ルーキーの永田も練習試合で結果を出しており、楽しみだ。


○開幕4試合序列

守備の統率のところはかなり向上。ただ、横に振られたり、一気に局面を変えられたときがやや弱いか。攻撃陣は一芸に秀でた選手が多く、ベンチパワーもある。




鹿児島ユナイテッドFC


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 白坂
DF 小野寺、井原、砂森、衛藤
MF 牛之濵、八反田、石津

新加入選手:
GK 松山(←岩手)、大内(←長野)
DF 戸根(←岩手)、堀江(←法政大)
MF 千布(←宮崎)、山口(←鹿屋体育大)
FW  藤本(←神戸)、鈴木(←いわき)、河辺(←YS横浜)、武(←鹿児島U-18) 

既存の選手と新加入選手を見れば一目瞭然だが、まさにオフの勝者。主力放出もほぼなく、さらに戦術の浸透度も高い。史上最強のJ3の中でも頭2つ3つ抜けていると言っても過言ではない。優勝候補筆頭と言われて文句は出ない。

GKは、今オフ唯一の主力放出、絶対的守護神だった白坂がマリノスに復帰。しかし、その穴を埋めるべく、昇格争いライバルとなる岩手から松山、長野から大内を獲得。実力的にも選手層的にも、白坂の穴を完全に埋める十二分の補強といえる。

CBは、ディフェンスリーダーの広瀬と、昨シーズン後半戦は怪我に見舞われた新潟からの期限付き移籍を延長した岡本が健在。期限付き移籍で加入していた小野寺が栃木に復帰したものの、岩手からJ3時代はリーグトップクラスとも言っていいようなパフォーマンスを見せていた戸根を獲得。やや枚数的には少ないように見えるが誰が出ても同じレベルのパフォーマンスができるメンツとなっている。

SBも両翼の星と薩川は健在。右は、昨シーズンに引き続き渡邉が星の背中を追いかける形になるだろう。左は、チーム事情でCBもこなしていた貴重なバックアッパーであった砂森が退団。しかし、法政大学から即戦力候補の堀江を獲得。足元の技術が高く、鹿児島のスタイルにもマッチしそうだ。

ボランチは、中原と木村のベテランコンビは健在で、年齢的にも中堅でJ3No.1クラスのボランチ千布を獲得。彼のポジショニングとボールさばきは圧倒的で、ピッチ内に3人ぐらいいるんじゃないかと疑いたくなるぐらい、様々な局面に顔を出す。木村と中原が30代という中で、千布を獲得できたのは相当大きい。ルーキーの山口も既に特別指定選手として実戦経験があり、出番を掴んでくる可能性もある。

極め付きは前線4枚だ。五領、ロメロフランク、米澤、有田という最強カルテットは健在。そこに、鈴木、河辺、藤本が加わり、端戸も期限付き移籍から完全移籍に移行。この4人でカルテットを組んでもJ3最強だ。わかりやすく言うと、J3最強のオフェンスカルテットが2つある。さらに、木出、福田、武、山本、相馬勇紀2世と勝手に呼んでいる圓藤という若手も控える。米澤と木出は長期離脱中で、藤本も出遅れたが、これだけの枚数があるためまったく問題はないだろう。ピックアップすると、いわきから加入した鈴木。彼はサイドで競れるという貴重なタイプ。今まで鹿児島にいなかったタイプを持ってこれたのは大きい。

○開幕4試合序列

やはり、前線の駒数の多さは生きていて、多くの組み合わせをやってきている。したたかさも出てきている印象。




FC琉球


昨シーズン最終戦スタメン

今シーズン予想布陣

退団選手:
GK 猪瀬、
DF 田中、金井、沼田、李、岡崎、大森、中川、山下
MF 大本、池田、上里、加藤、バレラ、シティチョークパソ、ファムバンルアン、ブーホンクアン、澤田
FW 草野、上原

新加入選手:
GK ジョンジワン(←全北現代)
DF 牟田(←岩手)、鍵山(←おこしやす京都)、森(←筑波大)、山内(←関西学院大)、高安(←金沢)、荒木(←中央大)、チョウンス(←全南U-18)、柳(←無所属)
MF 森田(←奈良)、平松(←金沢)、藤原(←徳島)、岩本(←筑波大、)津霸(琉球U-18)、幸喜(2種)
FW 白井(←岡山)、金崎(←大分)


守備ラインを中心に、大量の血の入れ替えを行った。昨シーズンは、ポゼッションサッカーを捨てて、現実路線に走ったが降格という結果に終わり、琉球スタイルは更地になった。『人数を掛けて、即時奪回を狙い、敵陣で主導権を握るスタイルを目指す』と掲げる、倉貫新監督が復権をかけて指揮を執る。若いポテンシャルだらけの選手を中心に補強し、全体的にかなり若返った。巧さを持った選手が多く加わった印象だ。

システムは4−4−2が基本線か。

GKは、田口とカルバハルのJ3トップクラスの豪華なポジション争いが予想される。昨シーズンはお互いシーズンの約半分に出場した。2人とも、高いレベルのセービング技術を持っている。

センターバックは、李や岡崎といったベテラン。また、大森や中川といった期限付き移籍組も退団と大幅な入れ替えが行われた。層の薄さはやや懸念ポイントだが、経験豊富な牟田を迎え入れたのは大きい。空中戦に強く、ディフェンスリーダーとしての期待値は高い。相方は、筑波大から加入の森を予想。チームスタイルにおいて必要なボール保持を行う上で、足元の技術が高く、視野が広く、クレバーで気が利く森は確かな実力があり、1年目から主力級の選手だ。また、守備的ポジションのオールラウンダー鍵山もCBとして計算できる。駒数が少なく、Jリーグでの経験が少ない若手が多いのは不安要素だったが、CBもSBもそつなくこなし、高さ・強さ・ボール操作などを高いレベルでできる柳が加わり、不安は激減した。

サイドバックは、先程も触れた柳が右サイドのレギュラーか。再びJリーグでプレーする環境をもらった琉球に恩返しすべく、彼も闘志をみなぎらせているだろう。売り出し中の上原は、守備意識が高く人に激しく行けて、攻撃性能のさらなる向上を目論む。2人ともCBでのプレーも可能だ。
左は、左サイドのスペシャリスト福村が有力。スペシャルな左足を駆使したキックだけでなく、ゲームコントロールにも定評があり、ボランチでもプレー可能。新加入の高安は両サイドでのプレー可能。沖縄の地で、一花咲かせたい。

ボランチは、ボールさばきに優れたボックストゥボックスの武沢と、昨シーズンは奈良で司令塔となった期待の有望株森田の組み合わせを予想。森田は、繊細なボールタッチと、長短のパスを駆使したゲームメイクが武器。アイデアも豊富でJ3で楽しみな選手の1人だ。在籍12年目の富所や、サイドハーフとの兼任となりそうな筑波大のテクニカルな岩本もポジションを争う。このポジションも若手が多く、世代交代となった。

サイドハーフは、昨シーズン6ゴールの中野とベテラン清武の残留は大きい。白井、平松、藤原といったスピードやテクニックを武器とするフレッシュかつ実力を兼ね備えた選手も加わり、組み合わせも豊富な楽しみなポジションとなっている。しかし、平松と藤原が開幕前に負傷離脱。そのため、序盤はメンバーは流動的になるだろう。富所や武沢、ケルヴィンなどがサイドハーフでプレーする可能性もある。

最前線は、ベテランのストライカー野田。シュートパターンが多彩で、ゴールへ向かう迫力は衰えない。そして、J3の生態系を破壊しかねない新加入の金崎。技巧派でプレーの幅も柔軟。日本人離れしたハングリーさは若手が多いチームに好影響を与えそうだ。他にも、独特なリズムで刻むドリブルが武器のケルヴィンや、鋭い動き出しから得点に絡む人見。さらには、怪我で離脱中ではあるが、昨シーズン途中加入で強烈なインパクトを残したサダムスレイ。昨シーズン、松本山雅に所属したルカオを思い出していただくのが分かりやすいが、J3をパワーでぶっ壊しそうな選手も残留している。ゴールハンター阿部も大怪我から復帰し、J3トップクラスの充実の陣容だ。


○開幕4試合序列

離脱者が試合毎に出て、やりくりに苦しみながらもチャンスを決めきり勝ち点を奪取する強さが見られる。ボールを持つスタイルが少しずつ戻ってきている感覚もある。



J3負傷者情報

※多少見にくいですがご了承を!(追記あり)

※追記

八戸 MF姫野 3月19日 全治1ヶ月
YS横浜 MF土館 3月22日 全治8週
松本 FW渡邉 3月23日 全治6週
長野 MF青木 3月17日 体調不良につき全治未定
   MF近藤 3月23日 全治4~6週
岐阜 DF遠藤 3月23日 全治8〜12週
   DF藤谷 3月29日 全治4週
大阪 DF佐藤 3月16日 全治7ヶ月
今治 FW中川 3月27日 全治8〜10週
宮崎 MF松本 3月15日 全治3週
   GK青木 3月17日 全治2週




☆注目選手

今シーズンのJ3で注目している選手を4人ピックアップしてみた。


森本ヒマン(讃岐)

JFLのティアモ枚方から加わったコンゴ民主共和国とのハーフの187cm,85kgという恵まれた体格を持つストライカー。高校時代は矢板中央高校で星キョーワァン(秋田)とともに2枚看板としてチームを引っ張った。駒澤大学卒業後、JFLのティアモ枚方で2シーズンで18ゴール。去年は24試合14ゴーという素晴らしいスタッツを記録した。
彼は体格を生かしたパワーと裏への抜け出しの速さという持ち味があり、それプラス巧さがある。競り合いもジャンプで勝つというより、うまく身体を使って収める。裏抜けも相手の背中をとってタイミングをずらす。そして、なんといってもシュートの多彩さとうまさ。左右両足と頭、すべてで精度の高いシュートを放つ。ゴールへの嗅覚やシュートコントロールはもちろんだが、シュートへの流れがスムーズで、ファーストタッチですぐにシュートモーションに入る。大きな体格からは想像しにくいしなやかさも兼ね備える。準備力も高く、オフ・ザ・ボールで優位に立つ。トーキックやややアウトにかけたシュートなどコースを見た使い分けもできる。戦術理解とJの水への順応スピード次第で、昨年ブレイクして甲府に移籍した松本孝平の後釜以上の活躍が期待できる。  


平山駿(北九州)

この選手は初めてプレーを見たときから個人的に注目していた選手。スピードやフィジカルといった圧倒的な突出したものがある訳ではないが、不思議な魅力を感じる。ゴツい体格という訳ではないがヘディングの強さ、シュートセンス、そして徐々に柔らかいポストワークも出てきた。法政大学時代は大学トップレベルのテクニカルストライカーとも言われていたように、昨シーズン終盤にその鱗片を魅せていた。身体の使い方の巧さとボール操作の巧さ。ファーストタッチも絶妙でシュートのコントロールも卓越している。繊細かつしなやかなストライカーは3年目の今年はブレイクの期待が高まる。


大熊健太(宮崎)

何回かブログで取り上げているためご存じの方もいるかもしれないが、個人的に大熊はかなり好きな選手だ。今まではサイドバック中心の起用だったが、今年はボランチでの起用も増えそう。千布の穴はこの男がいれば問題ないのではないか。ポジショニングの的確さ、視野の広さ、展開力、キック精度、ゲームメイク能力。特に、左足から繰り出されるキックは別格だ。離脱なしで、シーズン通してのフル稼働を期待したい。J3を席巻するようなクオリティーのプレーヤーだと思っている。


濱名真央(松本)

山雅サポーターとして入れておきたいこの選手。松本大学から加入のルーキーだ。主に左のウイングを務めることになりそうだが、ドリブルにキレがある。パス精度も高く、昨年特別指定選手としてJリーグデビューを果たしたアウェイ相模原戦では、自分で持ち運んでからのノールックパスでのアシストをマーク。非常にテクニカルなチャンスメーカーにかかる期待は大きく、個人的には三笘薫のようなイメージがあり、三笘2世と期待している。イケメンアタッカーの虜になるサポーターは増えそうだ。




☆個人的順位予想



上積みがある継続体制✕戦力を考えたときに、鹿児島・長野・愛媛・富山が強いのではないかという予想。その中で、総合的に鹿児島が頭2つほど抜けているか。長野も基盤の上にピンポイント補強で万全の陣容。次いで愛媛、富山と予想した。

しかし、2位に相模原。5位に奈良を入れた。そこについて触れると、相模原は戸田監督はかなり緻密なサッカーを作ることが予想され、コーチ陣も充実のサポート体制。大学サッカーでトップレベルの選手も集まっており、サプライズを起こしてきそう。奈良はバサロ監督体制3年目の基盤と選手も主力放出無しでピンポイントに補強し、上位を狙えるチームであると考えた。

7位岐阜は、戦力はトップクラス。組織としてのレベルも上がってくると予想した。守備面の改善や攻撃のデザイン性は再現性が出てくれば紛れもなく昇格候補だ。

戦力で見ると松本や今治も申し分ないが、松本は11位、今治は13位と予想した。松本はサポーターでありながらこの予想はなかなか心苦しいが、既存の選手が多い中でスタイルの大幅変更がうまくいくのか、ギャップに苦しむかの不安が大きい。サポーター目線だと、この予想を盛大に裏切っていただきたい(笑)
今治は、攻守を引っ張った安藤と千葉の放出が気になる。若くて伸びてきている選手のところに比較的上の層の選手を補強しているが、そこがどうでるか。上のカテゴリーの経験値の高い選手の補強に個人的にあまりいいイメージが湧かないというのが大きな理由となる。ほぼ勘なのでお許しを。

降格組の2チームは低めの予想。両チームともに監督交代で、10位予想の琉球は金崎・柳という実力者をあとから補強しているが、キャンプ未消化なのが気になる点で、戦力の放出も少なくないのは気になるところ。怪我人も複数抱えているのも懸念ポイントだ。岩手は、監督経験の少ない松原監督がスタイルの変更を遂行できるか。組織として強くできるかが大きな注目。個々のところだけを見ると主力の放出があり、正直松原監督次第のところもあるため不安もある。J3は魔界なので何が起こるかわからないということも加味して18位と予想してみた。

躍進の予想でいうと、9位に予想したYS横浜、12位に予想した鳥取か。星川監督は理詰めのかなり魅力的なサッカーを展開。そこに、今シーズンは違いを出せるようなプレーヤーをJから複数名迎え入れ、上位進出してきそうなチームである。
鳥取はタレントが多く抜けるも、円熟味を増してきている経験豊富な選手を中心に補強し穴埋め。スタイルにバチッとハマりそうな普光院はかなり注目。若い選手も多く、昨シーズンより年齢的なバランスは良さそうで、楽しみなチームだ。

そして、今シーズン個人的に追いかけてみる宮崎に関しては、躍進というか昇格を狙えるチームなのでトップハーフは当たり前ぐらいで行かないと行けないかもしれないが、8位と予想。やはりスタイル変更はそう簡単ではない。ポゼッションから松田式カウンターが軸のサッカーへ、サポーターの去年とのギャップもやや不安だ。終盤には上げてくるだろうが序盤の出来が鍵か。守備の安定は見込める。

昇格組の大阪は新監督&大所帯が難点で17位予想。戦力的にはかなり実力が拮抗。うまく使いこなせるか、志垣監督の手腕も問われる。

降格圏には北九州と沼津を予想。北九州は、あれだけのポゼッションサッカーからストーミングが代名詞でカウンターベースを志向する田坂監督が就任することでどうなるか。ポゼッションを軸にしていくようだが、うまく仕込めるのか。主力も抜けており、少し不安がある。
沼津は中山新監督の守備の仕込みのところがかなり気になる。若い選手たちをうまく伸ばせるか。未知数な部分の多さもあり20位で予想した。

福島、八戸、讃岐は、福島は組織の強さ、八戸と讃岐は新体制の期待もあったが、いずれも全体図を見ると、中位から下位に落ち着くと予想した。



☆J3順位予想世論調査


Jリーグのサポーターの方々に協力していただきました。40人近くのご協力ありがとうございました。

◎計算方法について

順位✕票数の和がチームのポイントの合計となり、合計ポイントが少ないほど順位が高い。

(例)
1位予想 10票
2位予想 10票
3位予想 10票

1×10+2×10+3×10=60 
この場合、合計は60ポイントとなる。
では、いよいよ世論調査結果を解禁!!


・鹿児島圧倒的。80%程が2位以内に予想。
・今治2位、3位の予想が極端に多かった。
・松本は全員トップハーフに予想していた。
・長野、愛媛、富山は上位予想がかなり多かった。
・ 北九州、宮崎、琉球、岩手は特に予想が割れていて、かなり散らばっていた。
・昇格組の2クラブを降格圏に予想する人は少なかった。
・相模原を昇格圏に予想する人も数名。


魔界J3、一体どうなる!?



END

使用アプリ: Canva,LINEUP11

引用: Football LAB

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