篠山 杜松子

途方にくれたり、鼻歌をうたったり、小説をかいたりしています。

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最近の記事

【小説】父さん、あのね。

 美月があいさつもなくリビングに飛び込んだとき、父の陽介はソファに座って本を読んでいた。  美月はなるべく忍足を心がけて近寄ったので、陽介はそばのローテーブルに置きっぱなしにしていた愛用の眼鏡を美月に奪い取られるまで、美月がソファの真横まで近づいていたことに気づかなかった。 「な、なんだ美月、こんな時間まで起きて、何をしている?」 「父さんこそ。もう二時だよ、いい加減に寝なよ」  陽介は本を閉じたが、美月の足元を見つめたまま、顔を上げようとしない。 「眼鏡を返しなさい、美月

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