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[5分小説]REDESIGN-公益-

Introduction

2030年。公正取引委員会の審議官ヒエムスはVR空間で公開会議public meeting®︎を続ける。
スートの組織のモルスがログインする。
ヒエムスはモルスと議論するが...

REDESIGN-公益-

2030年。ヒエムスはVR空間で公開会議public meeting®︎を続ける。
「ポストヒューマニズムで人類はポストヒューマンを認めるか?」
50代会社役員が答える。
「認めざるを得ない。」
ヒエムスが問い掛ける。
「オリジナルヒューマニズムで生身の人間の良さを再認識するか?」
20代主婦が答える。
「生まれる命も人間らしさを学んで欲しい。」
ヒエムスが問う。
「ハイブリットヒューマニズムでポストヒューマンと良好な関係を築けるか?」
80代老人が答える。
「折り合いをつけるしかない。」

10代学生が答える。
「学校の友達作りと同じだ。」
ヒエムスが問い掛ける。
「ハイブリットヒューマンフォーラムの合議体は必要か?」
60代非正規雇用者が答える。
「話し合いが必要だ。」
ヒエムスが問う。
「ハイブリットサークルオブライフで人類は道を示せるか?」
70代年金生活者が答える。
「人類が百獣の長となったのは力ではなく頭脳・理性だ。」
30代会社員が答える。
「ポストヒューマンも導いて行ける筈だ。」

「興味深い会議だな。」
"冥王"モルスがログインする。
ヒエムスが答える。
「皆、彼と2人で話がある。済まないがログアウトしてくれ。」
VR空間にヒエムスとモルスだけになる。
ヒエムスはモルスに問い掛ける。
「目的は何だ?」
モルスが答える。
「ソルのベルルムへの恒久的隷属だ。」
ヒエムスが問う。
「何故だ?」
モルスが返す。

「貴国は敗戦国だ。」
ヒエムスが答える。
「永遠の戦勝も敗戦もない。」
モルスが宣言する。
「未来はベルルムにより主導されなければならない。円卓の王が未来を決める。」
ヒエムスが問い掛ける。
「モナルカ・アウクトーリタース家が全てを決めると?」
モルスが答える。
「王の名を気安く呼ぶな。」
ヒエムスが返す。
「人類の未来を勝手に決めるな。ソルの120,000,000人と世界の7,000,000,000人で相手する。」
モルスが問い掛ける。

「ではお前が決めるか?」
ヒエムスが答える。
「ソルの120,000,000人と世界の7,000,000,000人で決める。」
モルスがログアウトする。
2040年。臨海副都心オーケアヌスの海辺を歩く17歳の公正取引委員会の審議官少女マレと元スートの組織の少女アニマーリアの前にモルスが現れ問い掛ける。
「real fantasy®︎の予言を知って居るか?」
マレが答える。
「知らない。」
モルスが答える。
「時は満ちた。マレ・インスラ・ウェルテックス、貴様を磔にする。」
「ロボットの俺にはナノマシン血液カプセルが搭載されて居る。」
《命》

海辺の植物がマレに絡みつき磔にする。
アニマーリアが答える。
「お姉ちゃん...!!」
海辺の魚、犬猫、鳥、植物、人がマレとアニマーリアに襲い掛かる。
マレが量子暗号通信のsecret message®︎で審議院仮庁舎に連絡する。
「アニマーリアにwide satellite®︎を接続して!!」
アニマーリアと広域人工衛星wide satellite®︎が接続される。
《超野生》
魚と魚、犬猫と犬猫、鳥と鳥、植物と植物、人と人が闘争する。
モルスが答える。
「命は争い、戦う。万物の万物に対する闘争だ。」
「無数の死をもって天国、地獄の門を開く。」

波が引きアニマーリアが答える。
「貴方が制御出来ない命を待って居たの。」
《野生》
鯨に似たバーラエナが打ち上げられモルスに突進し押し潰す。
モルスの機体がショートする。
2030年。オーケアヌスの海洋遊歩道でヒエムスの前にモルスが現れ答える。
「理解は出来たが納得は出来ない。私はモナルカ・アウクトーリタース家の代理人。私が撃てるか?」
2040年。smart handgun®︎を構えモルスを撃とうとするマレの前で植物がアニマーリアを引き摺り込みモルスが答える。
「小娘ゴト私ガ撃テルカ...!?」
マレが戸惑う。
アニマーリアが答える。
「お姉ちゃん、撃って!!」

2030年。ヒエムスがモルスをsmart handgun®︎で撃つ。
2040年。マレがモルスを撃つ。
モルスがアニマーリアを盾にする。
《紅榴石》
アニマーリアがガーネットで結晶化する。
《紅榴石盾》
マレの放ったsmart bullet®︎がアニマーリア結晶体の盾で反射し跳弾がモルスに当たる。
マレがアニマーリア結晶体に問い掛ける。
「大丈夫!?」
アニマーリア結晶体が答える。
「大丈夫だよ。」
モルスが答える。

「我々ポストヒューマンモ生キテ居ル。迫害スルナ。」
マレが答える。
「約束するわ。」
アニマーリア結晶体が結晶化を解除する。
《野生》
大型犬がモルスを抱える。
モルスが問い掛ける。
「何故ダ?」
マレが返す。
「迫害しないと言ったでしょう。」
3人は審議院仮庁舎へ登庁する。
ウィンクルムとメディキーナはペクーニアエ・コンメリクム駅舎で待ち合わせする。

2人は南口と北口の高さ約28mのドーム天井、真下から見ると万華鏡の様に綺麗な南北ドームを見上げる。
王族が利用する時に開かれる御車寄せを抜けステーションギャラリーに行く。
駅舎建設時の貴重な煉瓦を使用したユニークな美術館だ。
ペクーニアエ・コンメリクム駅の歴史を紹介する常設展示の他、近代・現代美術を中心にバラエティ豊かな企画展を開催して居る。
八画塔に位置する螺旋階段を上りウィンクルムが話し掛ける。
「150年前から残って居る建物だ。」
メディキーナが答える。
「変わるソルを見守って来たのね。」
ウィンクルムが答える。
「僕も君をずっと見守って行きたい。」
メディキーナがウィンクルムを擽り笑う。
ウィンクルムが笑い答える。

「真剣に言って居るんだ。」
2人はペクーニアエ・コンメリクムビルに行く。
パスティーノ・エ・ヒストリアでヒストリアスタイルのパスタやドルチェが楽しめるコース料理を食べる。
ウィンクルムが答える。
「同僚の女性審議官ヴァニタスがスートの組織幹部を倒す為にヒストリアに行ったんだよ。」
メディキーナが尋ねる。
「それで超広域異常気象が止まったのね。」
ウィンクルムが答える。
「僕たちは公益を守って居る。この仕事に誇りを持って居るんだ。」
メディキーナが答える。
「同時多発サイバー攻撃も貴方が止めた。」
ウィンクルムが問い掛ける。

「誇りに思ってくれるか?」
メディキーナが答える。
「私のお茶目なヒーローさん。好きだよ。」
メディキーナがナプキンでウィンクルムの口元のソースを拭う。
ウィンクルムが恥ずかしがる。
オンラインのみでブランド実店舗オープンが話題のビル内天然由来スキンケアショップペッリスを訪れる。
メディキーナが商品を試す。
ウィンクルムが問い掛ける。
「未だスキンケアの年でもないだろう?」
メディキーナが答える。
「女の子の肌は敏感なんだよ。」
ウィンクルムはメディキーナにモイスチャライジング石鹸を買ってあげる。

2人は王居外苑を歩く。
広大な芝生の緑地とhybrid tree®︎で構成された広場だ。
メディキーナがカラスに似たコルニクスに持って来た豆の様なファバをあげ答える。
「此処に来たかったんだ。この子達もお腹が空いてると思って。」
ウィンクルムが答える。
「君は動物が好きだね。」
メディキーナが問い掛ける。
「だって生きて居るんだよ。人間と動物で何が違うの?」
ウィンクルムが問う。
「覚えて居るかい? 未だ高校1年生だった頃、君は病院敷地内の猫に餌をあげて居た。自分の事で精一杯だと思うのに美しいと思った。」
メディキーナが答える。
「ふふふ。」

ウィンクルムが答える。
「ステーションホテルを予約してある。もう日も暮れる。休もう。」
翌朝2人はマレが同時多発核攻撃でspace nuclear missile®︎を不発落下させたクレーターに行く。
小さな慰霊碑が建って居た。
ウィンクルムが答える。
「僕たちの生は無数の生きたかった命の上にある。」
ウィンクルムはメディキーナを慰霊碑の前で抱きしめる。
メディキーナは頷き問い掛ける。
「私たち、何時迄幸せで居られる?」
ウィンクルムが答える。
「ずっとだ。ずっと僕が君の傍に居る。どんなに引き裂かれても。死んだ後も君を離さない。」
メディキーナが笑い一筋の涙が笑顔を伝う。

©︎ Card Master

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