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経験者が語る                スギ花粉アレルギー免疫治療 


きっかけは気管支喘息発作

 今から約38年前に遡りますが、当時高校生だった私は風邪がきっかけで
 気管支喘息の発作を起こしてしまいました。
 私の母親は長くアレルギー性気管支喘息を患っていたことから、私も
 母親が通院している湯河原厚生年金病院(現在は廃院し、
 JCHO 湯河原病院に継承)に行くことになりました。

アレルギー疾患診断

 ここの病院には東大医学部の物療内科から赴任された村中正治先生がおら   
 れ、アレルギー性疾患や膠原病などの難病を専門に診察をされていま
 した。
 当時としてはまだ、現在に比べアレルギーや難病疾患専門の外来は少な
 かったと思います。
 初診でまず行ったのが、アレルギーパッチテストでした。両腕に12か所
 ずつ約24のアレルゲンを針で刺し、15~20分程度経過したのち、
 それぞれの皮膚に生じた、変異の大きさ(腫れ)や赤みなどをノギスを使
 って計測し、判定する方法でした。私の場合は食物ではエビ・カニ・イカ
 などの甲殻類で変異が見られ、もっとも強く反応を示したのはスギ、HD
 (ハウスダスト)でそのほかに、ブタクサなども少し変化がみられたよう
 ですが、こちらは問題なしで判定されました。結果、私はアレルギー性
 気管支喘息と診断されました。
 そして、この日からアレルゲンを使った減感作療法が始まりました。

減感作療法とは

 減感作療法とは、アレルギーの原因となる物質の抗原成分を皮下注射する  
 方法です。私の場合は右腕にスギ花粉、左腕にHDでしたが、初回はスギ
 花粉の注射がとてつもなく痛く、右腕が腫れあがってしまいました。
 最初の2か月間は2週間に一回程度通院し、それ以降は1か月に一度、
 半年を過ぎた頃からは2か月に1回といった間隔で治療が続きました。
 私の場合は約10か月程度で注射後もほぼ腫れがみられなくなり、体内に
 抗体ができあがったようでした。
 結局通院は1年半程度で終了しました。今ではスギ花粉が舞っていても、
 目がかゆくなったり、鼻水がでるということは全くありません。
 しかしながら、治療には個人差があり、人によっては数年かかる方の
 ほうが多いようです。

アレルギー治療について

 村中先生が言われるには、治療は若いうちのほうが効果があるとおっ
 しゃっていました。年齢が増すと、なかなか根治するのが難しくなる
 ようです。
 最近ではさまざまな治療法が確立され、舌下免疫療法などもあるよう
 ですが、これから治療を始められる方は自分にあった治療法を見つけ、
 また治療を途中で止めたりしないことをお薦めします。

 花粉が飛ぶ季節になるとさまざまな製薬会社からアレルギーを抑える薬の
 CMがよく流れていますが、あれはいわゆる対症療法で、アレルギー症状
 を緩和する効果はありますが、アレルギー免疫疾患そのものを治すもので
 はありませんので、ご注意を。
 村中先生が言われておりましたが、その当時もアレルギー緩和をする薬は  
 でていましたが、一時的に効果があったとしても、いずれ体が薬に慣れて
 しまい、効かなくなるのだと言っておられました。

ぜん息発作に対する注意点

 それから、村中先生は気管支喘息の方が注意しなければならないことも
 おっしゃっていました。それは発作を出さないことが非常に重要という
 ことでした。
 発作を起こすと咳を誘発し、それが長く続くからです。
 喘息には運動性喘息やアレルギー気管支喘息、また風邪などがきっかけ
 で起こるせき喘息などさまざまなタイプがあります。
 喘息が起きると、気管支や肺に負担がかかりますが、特に気管支について 
 は咳を長くしつづけると、気管支を傷つけてしまい、気道の”リモデリン
 グ”という現象が起きるというのです。
 気管支が傷つくと、気管支壁を修復し、これを繰り返すことで、気道の壁 
 が厚く固くなっていく現象です。そしてちょっとした咳でも呼吸が苦しく 
 なったり、喘息発作を誘発しやすくなるという悪循環に陥ります。
 なので、喘息で最も大事なのは、咳を出さないことなのです。気管支喘息 
 の治療薬でステロイド吸入薬を処方されている方は、発作が出た時だけ使 
 っている方もいるようです。確かに発作の時に使用する吸入薬もあります 
 が、多くは平常時も毎日使用し吸入するよう、先生や薬剤師の方から説明 
 を受けられているかと思いますので、途中で止めずに必ず続けましょう。



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