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レストラン≠仕出し弁当≠総菜製造

新型コロナウイルスの感染防止に伴うもろもろで、飲食業が窮地に立たされています。この窮地を乗り切るべく、各飲食業が自助努力で、弁当を作って店頭販売をしたり届けたり、今日は、調理済みのもの(あえて何とは書きませんが)を真空パックして地方発送する新規事業を立ち上げた飲食店のニュースも見かけました。

私は、もと仕出し弁当店、のち総菜製造業の事業者です。東日本大震災の年に創業してこの2月までは営業していました(廃業予定)。もと同業者として、今、この社会の大混乱の中で飲食業の人たちが立たされている窮地とその涙ぐましい努力、そして、そこにたいした手当てがないということに、リアルに泣かされます。人様の営業とはいえ、本当になんとかのりきられますよう、日々、祈ることしかできません。

……っと思っていたのですが、ここのところのテイクアウトの日常化や、あれ?みたいな報道を見て、祈るばかりじゃなくて、ちょっと一言いっときたいと思って、現状と課題的なことについて書くことにしました。

本当は、営業中の飲食業の人とか、保健所の人とか、あるいはもっと違う分野の専門家とか(といってもどういう人が書くべきものなのかイメージできないんですが)、そういう人たちが書いたほうがいいと思うのですが、今、みなさん、とてもそれどころではないだろうと想像します。幸いというべきかなんというべきか、私はもう営業継続の意思がなく、就職活動中でヒマな時間がぽっかりと生まれたので、不十分だとは思いますが、まず、自分で書けることだけ書いてみようと思います。

なお、文中で、食品衛生法に関連することを書いていきますが、これはあくまでも一食品事業者だった私の経験によるものであり、間違っている可能性もおおいにあります。(ご指摘いただけましたら幸いです。)また、従来からいわれていますが、保健所によっても見解が違います。正確なところは必ず、管轄の保健所や法規に照らして確認していただくよう、あらかじめお願いしておきます。トラブルには一切の責任は持てませんし、そもそも、ざっくりとしたことしか書けません。ということをご了承くださる方のみ、続きをお読みくださいませ。

さて、まず、マスコミの報道を見ていると、当然なのかもしれませんが、マスコミのみなさん、飲食業の許可について、あんまりに知らなすぎてもう、はらはらどきどきです。たとえば、冒頭に書いた『調理済みのものを真空パックして地方発送する』というのは、これ、もしかして総菜製造業じゃないの?っという、かなりグレーゾーンなところだと思うんです。(OEMで製造委託しているという可能性もありますのでなんともいえませんが。)

で、そこに行く前にまず基本なんですが、飲食業をやるには保健所の許可が必要です。そして、その保健所の許可は、その飲食業の許可施設で何をやるかによって、細分化されています。わかりやすいのは、レストラン。ふつうにお店に入っていって、座って注文すると、その場でつくってくれて、食べさせてもらえる。ああいうやつです。そのレストランで出されているものをお客さんが「たまたま」持ち帰ってます、というのが「テイクアウト」。レストランの営業許可でできるのは、基本、そこまで。

システマティックに弁当の店頭販売をやって注文取って配達までやっていくとなると、厳密には、仕出しの営業許可が必要になってくるはずです。そこまでいくともう、食品の製造の領域に入ってくるわけです。(蕎麦屋さんの出前はどうなんだ、という話もありますが、あれは昔からやってたのでしょうがない、今から開業するところは無理ですねー、と某保健所にいわれたと、飲食業仲間がぼやいてました。あと、ファストフード店などは、あれはレストランの許可らしいです。店内とメニュー同じで客が持ち帰りたいっていうから持ち帰ってもらってるっていうスタンスらしいです。)

ですから、飲食店の営業をやりながら、同時に仕出しや製造業などをやろうとしたら、キッチンやトイレ、手洗い、仕切りなどがまた別途、それ用に必要になってくるんです。

調理品の地方発送についても同じです。それは、厳密には製造業の領域にいっていると思います。直売だったらいいだろう、みたいな解釈もあろうかとは思うのですが、そこらへん、保健所がどう判断するか微妙ですし、なにより、安全性の面で、そもそもなぜ許可が別になっているのかということを考えると、アイデアよければすべてよしとはならないと思います。そこらへんの安全性とか法規の問題については書き始めると長くなるので(すでに長いですが)割愛しますが、いずれにしても、ひとつの許可があればなんでもできるわけじゃないんですね、残念ながら。施設の使いまわしができないんです、現状のルールでは。

それができれば、どれほど楽だったか。ひとつの施設を使いまわして飲食で店内で食べさせながら、仕出しで弁当配達して、総菜つくって地方発送して。夢のようです。それができてたら、今頃、就職活動してません、私。

で、私がここでいいたいのは、じゃあ、やっぱ指導しろとか監視しろとか、それももちろん時には必要かもしれないんですが、そういうことではなくてですね、私はもう、これは、一時的な措置でいいので、ちゃんと現状にあわせてルール(施設要件など)を変更(緩和)して、同時に、ちゃんと飲食店にも指導を入れて、今、生き残るためにはグレーゾーンでやらざるをえなくなっている飲食業に、ちゃんと「やっていい」っていう、そういう規則なり法律なりをつくってほしいっていうことなんです。(もちろん、衛生上の配慮について一定の指導があって飲食店側が協力するっていう前提です。)

だって、ひどくないですか。今、密を避けろ、集まるなみたいなこといってて、それ、飲食業、まんまじゃないですか。そりゃ、他にやりようがないですよ。でも、保健所がその気になれば、それはダメですよって、一刀両断にされかねないんです。罰則とか営業停止とかそういうことにだって、場合によってはなりかねない。今は保健所が忙しいから監視にもまわれないけど、今の状況が長く続く可能性が否定できないなら、きちんとそれにあわせたルール変更が必要ではないでしょうか。

ということで、次の投稿で、具体的な提言を書きます。

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